【ロシアW杯】韓国2-0ドイツ。韓国メディアはどう報じたのか。猛批判を浴びたJリーガーは名誉挽回!
崖っぷちの戦い。
韓国にとってのロシアW杯グループリーグF最終戦、ドイツ戦はまさにそういったところだった。FIFAランキング1位相手に勝つしかない。それも2点差以上の勝利が必須。さらに同時進行のメキシコースウェーデンでメキシコが勝利することが必須だった。
重要な試合の直前、「SPOTV」はこんなニュースを報じた。
「現地(試合会場のカザン)にドイツを応援する中国サポーター1万人。韓国サポーターより多い」
追い込まれたなか、結果は予想外の”ノルマ達成”。2-0で勝った。しかしスウェーデンが3-0でメキシコを降したため、グループリーグ敗退。これを韓国メディアはどう報じたのか。
チャン・ヒョンスが名誉挽回。Jリーガーで組んだボランチを称賛
地上波のKBSは「奇跡」を強調するヘッドラインを打った。
「大韓民国VSドイツ 2-0で試合終了。かなりのことを成し遂げた大韓民国! 1%は恐ろしかった」
勝つ確率は1%だ、と見られていたということだ。
サッカー専門誌「ベストイレブン」はJリーガーで組んだダブルボランチを称える見出し。
「チャン・ヒョンス+チョン・ウヨンのプランB、点数は十分なA+だった」
キャプテンでボランチの軸でもあるキ・ソンヨン(スウォンジー)が負傷により欠場。緊急処置としてチャン・ヒョンス(FC東京)のポジションをCBからボランチに上げた点が奏功したということだ。
特にここまでCBとして大きな批判を浴びてきたチャン・ヒョンスへ惜しみない賞賛を送った。
「まずチャン・ヒョンスは守備で韓国DFラインを助けることに大きく貢献した。特に前半43分にカウンターを浴びた状況では大きくバランスを失った韓国DFラインの位置まで下がり、的確な判断でバランスを維持した。また後半に韓国の4バックの間のスペースにドイツ攻撃陣が侵入した際にはCBの間に入り、時に5バックの形態を作ってスペースを埋めた。試合終盤、ドイツがバランスを崩した際には攻撃に顔を出し”フリーロール”の役割を果たした」
いっぽうでこの試合後のグループリーグの状況では「韓国はグループリーグ敗退を喫したが、一人では落ちなかった。前回王者をグループ敗退の泥沼に落とすことに成功した」という表現も。
チャン・ヒョンスについては、「インターフットボール」が「闘魂を発揮したチャン・ヒョンス、拍手を受ける資格十分」と報じた。いっぽう、チョン・ウヨンについては「ニューシス」が前半のFKをこう称えた。「クリスチャーノ・ロナウド級の無回転FK。世界最高のGKも”ビクビク”」。
しかし、ベスト16入りはならず。これを各紙はどう報じたか。
いっぽうでグループリーグ敗退をこの勝利で慰めようという見出しも目立った。
「ベスト16ほどに大きなプレゼント…世界1位に勝った(世界日報)」
「ベスト16入り失敗、しかし韓国サッカー界はチョ・ヒョヌを発見した(マイ・デイリー)」
これは、ドイツ戦でMOMを獲得したGKチョ・ヒョヌの存在が救いだった、ということ。国内の小さなクラブ、テグFCでプレーするGKの存在が大きくクローズアップされる大会にもなった。
国内最大の通信社聯合ニュースは「1%の奇跡に挑戦した韓国、2大会連続のグループリーグ敗退」との冷静な見出し。KBSが「ドイツ戦の勝利」を可能性1%としたのに対し、こちらは「グループリーグ突破」を1%と表現した。
シン・テヨン監督に関する言及も多く見られた。「よく戦ったシン・テヨン、批難世論をひっくり返した(デイリアン)」。ちなみにシン監督は試合後「勝って嬉しいが、脱力感もある」と発言している。
最大手ポータルサイト「NAVER」にて、試合後90分時点で最大のアクセス数を得た記事はインターフットボールが試合終了直後にアップしたものだった。「W杯現場レビュー ”キム・ヨンクォン、ソン・フンミン劇的ゴール”の韓国、世界ランキング1位ドイツに2-0の劇的勝利……ベスト16入は挫折」。深夜2時30分過ぎの時点で約81万7200アクセスを得ている。
盛り上がらない、と言われてきた韓国でのW杯。しかし大会開幕後には盛り上がりを見せ、さらに最後にきてぐっと大きな波が来たのだった。