「塩らーめん」や「おでん」にうどんを入れた!?超変わり種カップうどん食べ比べ
カップ麺ならではの超変わり種うどん2品
寒い季節になってくると、カップ麺も冬仕様の商品が多くなります。こってり濃厚味のもの、生姜や鍋料理など体が温まりそうなもの、白い色合いのものなどが多くなるとともに、年末年始が近づいてくることもあってか、そばやうどんなど和風カップ麺が多く発売されます。
今年は例年に比べてカップうどんの発売が多い印象で、中でも今回紹介する2品は特に変わり種となっています。ひとつは、袋麺の大定番「サッポロ一番塩らーめん」のスープにうどんを入れてしまったカップ麺、もうひとつはおでんつゆにうどんを入れてしまった「おどん」。
どちらの商品も、うどんが往年の燃える闘魂を思わせる異種格闘技戦を展開しています。果たしてうどんイズムは異種の猛者相手にそのストロングスタイルを貫くことができるのでしょうか。
サンヨー食品「サッポロ一番 塩らーめん まさかのうどん!? タテビッグ」
まずはサンヨー食品の「サッポロ一番 塩らーめん まさかのうどん!? タテビッグ」。袋麺の大定番で、最近は「正麺」や「ラ王」の登場によって多少存在感は薄まっているものの、なお袋麺の絶対王者として君臨しています。
その定番の味のスープにうどんを入れてしまったのが今回のカップ麺。筆者はあまりやった記憶がありませんが、鍋で作った「サッポロ一番」のスープの残りにうどんの乾麺を入れて食べることでお腹を膨らませ、貧乏時代の飢えをしのいだという先人の武勇伝を伝聞したことがあります。
そのため、この商品は異種格闘技戦でありつつも、実は一部の人にとっては涙抜きには語れないノスタルジックカップ麺と言えるのかもしれません。
チキンベースにごまが香る塩味のスープに、まごうことなき油揚げ麺のうどんと、きざみ揚げ、かまぼこ、かきたまなどの具が合わせられています。
細かく見ると違うのかもしれませんが、スープの味はうどんが相手でも容赦なくいつもの「サッポロ一番塩らーめん」の味で、鶏の旨みとごまの香りが強く感じられるあの味で、まったく和風感はありません。
筆者は食べる前には正直、「サッポロ一番塩らーめん」のスープとうどんの麺は合わないのではないかと思っていましたが、多少違和感は残るものの相性が悪いということはなさそうで、多少感じた違和感も、筆者が単にミスマッチに見える組み合わせに身構えてしまっただけかもしれません。ただそれでも、ソフトで細めのいつもの麺の方がこのスープと相性が良いとは改めて感じました。
スープは「サッポロ一番」、麺はうどんで両者一歩も譲らぬ異種格闘技戦でしたが、具はきざみ揚げやかまぼこなど和風要素が強かったです。「サッポロ一番」のスープをたっぷり吸ったきざみ揚げなんて、この商品でしか味わえない貴重な存在ではないでしょうか。
別添の「味変化パック」という小袋には、かつお節の風味がつけられた褐色の油脂が入っています。この油脂を加えることで、「サッポロ一番」の味そのものだったスープが一気に和風味に転換し、うどんとの親和性が増すようになります。
スープとうどんがリング上で異種格闘技のクリーンファイトをしていたのが、セコンドにいたきざみ揚げなどの具がうどんに加勢し、さらにリングサイドを囲んでいた赤と白のTシャツを着たたくさんの人たちまでが一気にリングに上がってスープをコテンパンに叩き潰しているような感じでした。
この小袋は、入れた方が和のテイストで揃えられた味の完成度が高くなるのですが、「サッポロ一番」のスープとうどんの多少の違和感を含めた異種格闘技戦を楽しむには、あまり必要ない存在だったかもしれません。
エースコック「おでんにうどん おどん」
続いては、エースコックの「おでんにうどん おどん」。おでんのつゆにうどんの麺を入れてしまった画期的なカップ麺です。
お店でこのような食べ方をするのはあまり聞いたことがありませんが、和の味のおでんのつゆはうどんととても相性が良さそうなので、実は家庭ではこのような楽しみ方をしている場合は多いのかもしれませんね。
昆布やかつおのだしを効かせた薄口醤油味のつゆに、つるみのある油揚げ麺のうどんと、鶏だんご、えびすり身、麸といった具が合わせられています。全体的に色味が薄茶で、いかにもおでん感が出ています。
つゆは関西風のおでんだしで、昆布やかつおは一般的なうどんつゆと同じなのに、味はうどんではなく明らかにおでん。両者が具体的にどう違うのかはわかりませんが、今回はおでんの味で間違いありません。
そしてこのおでんの味のつゆと、つるみと弾力のあるうどんの麺がなかなかの好相性ぶりで、異種格闘技戦であることを忘れてしまうレベル。なぜこの組み合わせのメニューがあまり見かけないのか不思議に感じるほどで、今後コンビニでおでんとゆで麺を買ってきて自分で合わせてみようと思う人が続出するかもしれません。つゆ多めの注文が殺到して、お店のだしが枯渇する心配をしなければなりません。
おでん屋やうどん屋に当たり前のように、本格的なおでん種を入れたうどんが並ぶ日は遠くなさそう。その時がきたら、今回このカップ麺を作ったメーカーの功績は代々的に語り継ぐ必要がありそうです。
具として入っているのは、鶏だんご、えびすり身、麩。いずれもカップ麺でまったく見ない具というわけではありませんが、組み合わせることでおでんの雰囲気が出ていました。色味もおでんらしいですよね。味だけではなく見た目にもきちんとおでんらしかったです。
カップ麺らしい遊び心に溢れた商品
今回紹介した2品は、どちらもうどんをいつもと違う味のつゆ(スープ)と組み合わせていました。「サッポロ一番」は和のうどんと中華のラーメンのつゆをバチバチ戦わせた上、最終的には和の味の味変アイテムで無理やり味に和の統一感を持たせるという力技を見せたのに対し、「おどん」は和と和の共演で、まるで以前から共闘していたいたかのような安定感があり、同じ異種格闘技戦でも対極な存在。
単においしさだけなら「おどん」に軍配をあげますが、両者それぞれに面白さが詰まった商品で。カップ麺らしい遊び心に溢れていました。