熱帯低気圧の北上を太平洋高気圧がブロック しかし週末までは梅雨前線の活発化に要警戒
今回の記録的な大雨により、甚大な土石流災害の発生した静岡県熱海市をはじめ、被災した方々にお見舞いを申し上げるとともに、一刻も早い救出を願うばかりです。
太平洋高気圧が熱帯低気圧の北上をブロック
過去の例から、このあたりに位置する熱帯低気圧は沖縄方面から本州付近へ北上してくるパターンも多いのですが、今回はちょっと違います。
上図のように先週2日(金)沖縄地方に、そして3日(土)奄美地方に梅雨明けをもたらした夏の太平洋高気圧が広く東シナ海方面を覆っているため、熱帯低気圧は真っすぐ北上することが出来ずに、これを避けるように台湾の南から中国大陸を指向する見通しです。
いわば熱帯低気圧が日本付近へ北上しようとしているのを西へ張り出した太平洋高気圧がブロック、阻止している感じとなっています。
台風になる可能性もあるが、中国大陸へ
参考までに、JTWC(米軍合同台風警報センター)の発表では、気象庁の予想以上に発達し、あす6日(火)には最大瞬間風速約35メートル程度の台風の勢力となる予想です。
ただ台風になったとしてもやはり沖縄付近に勢力を拡大している太平洋高気圧を避けるように北西方向へ進み、台湾の南を通った後、中国大陸南部へ上陸する予想です。
諸外国を含め、種々の計算をみると、最も東寄りに進む計算であっても台湾付近を北西進する予想ですから、まず日本付近への直接的な影響はほとんどないという状況です。
ところが直接的な影響がなくても、間接的な影響には注意が必要です。
間接的な影響には要注意
中国大陸南部に進む熱帯低気圧(あるいは台風)の北方には梅雨前線があり、熱帯低気圧とともに持ち込まれた暖湿気がこの梅雨前線に向かって流れ込むと、一段と活発な雨雲が発生し、これが今週後半にかけて、日本付近に次々と流れ込んでくる可能性があります。
8日(木)から9日(金)の雨雲の予想をみても、活発な雨雲が列をなして、朝鮮半島から本州付近へ流れこむ様子がうかがえます。
熱帯低気圧がなくても、南西モンスーンなどによりもともと存在している暖湿気の影響でこの時期は梅雨前線の活動が活発となりやすい時期でもありますが、このような場に熱帯低気圧起源の際立った暖湿気が絡んでくるとさらなる危険な雨雲が発生してもおかしくありません。
熱帯低気圧による直接的な影響がなくとも、梅雨前線を活発化させる間接的な影響にはしばらく注意・警戒が必要です。