「誤審」騒動、NPBは謝罪すべきではなかった
22日のオリックス-ソフトバンク戦での「誤審」騒動に関する根本的な問題点についてはすでに記したが、この件において火に油を注いだのはNPBがオリックスに謝罪したことである。これは決してすべきではなかった。
「取りあえず頭は下げとく」というのは日本社会における一つの処世術・トラブル対処方ではある。しかし、NPBは本件に関し「試合はすでに成立している」という立場に立つなら、実際に打球がファウルポールのどちら側を通過したかに依らず、「ビデオリプレーの結果、そう判断された」で押し通すべきだし、「やりなおし」も視野に入れていたなら正式な提訴があるのを待っていれば良いことであり、その後は規定に沿って検討を進めるだけだ。
どちらにせよ、ノコノコ出掛けて行くべきではない。また、現場での判断の間違いも謝罪することではない。それは現場(審判団)に対する侮辱でもある。ミスが発生した際には、それに対する異議申し立てのルール・ルートをしっかり確立しておけば良いのだ。
少なくとも現時点でのNPBは、「悪いのはこっちです、でも改めません」という極めて矛盾したスタンスを取っている状態だ。今後、オリックスや世論の猛烈なプッシュを受け押し切られるように前言を翻し「問題の場面からやりなおします」などということになれば、それこそ最悪の展開だ。スキャンダルに対し「問題ない」と言い続けた政治家が最後は屈して辞任するようなものだ。
もう一度言うが、「やりなおし」をするつもりにせよ、そうでないにせよNPBは「誤審」を謝罪すべきではなかった。それでも謝るとすれば、審判団の誤審(と思われる)判断に対してではなく「リクエスト」そのものの体制・設備の不十分さに対してだろう。