安倍首相に35万人の署名届けたその日にアベノマスク届く
絶妙の、と言うべきか。よりによって、と言うべきか。アベノマスクが赤木雅子さんの自宅に届いた。改ざんの再調査を求める35万人超の署名を安倍首相宛に届けたきょう6月15日、まさにその日に。
改ざんの再調査求める署名が35万2659人に到達
森友学園への国有地巨額値引き売却をめぐり、取引の経緯を記した公文書が3年前に改ざんされた。改ざんに反対したにもかかわらず作業をさせられた財務省近畿財務局の上席国有財産管理官、赤木俊夫さん(享年54)は、そのことを苦にうつ病になり、自ら命を絶った。
改ざんについて財務省は調査報告書をまとめたが、具体的なことはほとんどわからない。
俊夫さんの妻、赤木雅子さんは、法廷での真相追究をめざして、改ざんを指示したとされる佐川宣寿元財務省理財局長と国を相手に裁判を起こすとともに、夫が書き残した改ざんについての「手記」を公表した。
さらに、真相解明のために第三者による公正な再調査を行ってほしいと求める署名活動を、インターネット上のキャンペーンサイトChange.org(チェンジ・ドット・オーグ)で始めた。署名の宛先は安倍首相と麻生財務大臣、それに衆参両院議長だ。賛同者は瞬く間に増えて、このサイトで行われた日本発のキャンペーンとして過去最多の35万2659人もの署名が集まった。
段ボール5箱の署名を安倍首相の元へ運び込む
この署名をA4の紙で印刷したところ16時間もかかり、量は段ボール5箱分にもなった。これを安倍首相の元に届けるため、赤木雅子さんの代理人、松丸正弁護士と生越照幸弁護士がきょう15日、首相官邸の向かいにある内閣官房に台車で運び込み、担当者に届けた。
この画像を見た赤木雅子さんからすぐさまLINEが届いた。
「内閣官房のテーブルの日の丸国旗。日の丸国旗が泣いてます。」
こういう言葉がすかさず出るセンスが素晴らしい。
その後の記者会見では、テーブル上に35万人超の署名を山積みにした上で、赤木雅子さんのコメントが読み上げられた。
「当時、財務省・近畿財務局の中で何が行われ、どのようにして夫が改ざんすることになったのか、改ざんを招いた土地取引に問題はなかったのか。こんなことが二度と起きないためにも、夫の死が無駄にならないためにも、私は真実が知りたいです。再調査を実施してください。お願いします。」
ちょうど同じ頃、アベノマスクが届く
会見が終わる頃、赤木雅子さんは外出先から自宅に戻った。すると郵便受けに何かが届いている。けさ見た時はなかったものだ。取り出してみると、それは世間で話題のアベノマスクだった。ようやく赤木さんの元にも届いた。
それにしても、35万人の署名を安倍首相に届けたその日にアベノマスクが届くとは、何という巡り合わせだろう。これは赤木雅子さんの「引きの強さ」と言うべきなのか?
待ちに待ったアベノマスク。再調査も待ってます
赤木雅子さんはさっそくアベノマスクを夫、俊夫さんの遺影の前に供えた。この遺影、手前が改ざん前、後ろが改ざん後に撮ったものである。表情がまったく変わっているのがわかる。
そのアベノマスクについて雅子さんは…
「待ちに待ったマスクです。ありがたく使わせていただきますが、暑そうなので当分お供えしときます。再調査も首を長くして待ってます。」
支持率がアベノマスク着用率並みになっても知りませんよ
ところでこのマスク、全国民に配られているというのに、安倍首相以外に使っている人をほとんど見たことがない。閣僚ですら違うマスクだ。アベノマスク着用率は相当の低さだろう。
もしも安倍首相が35万人を超える人々の思いを踏みにじり、改ざんの再調査に応じないとしたら、支持率がアベノマスク着用率並みに下がってしまうかもしれないのではなかろうか?
それでも、安倍首相、麻生財務大臣、やっぱり「再調査は必要ない」と言いますか?
【執筆・相澤冬樹】