ダブルナットだけじゃない!折れたスタッドボルトに溶接機が有効な理由とは?
今回は、「折れたスタッドボルトの抜き方」を皆様にシェアしたいと思います。抜くのが困難なスタッドボルトの頭が折れてしまうと、非常に苦戦します。しかし、「溶接機」を使うことによってかなり確実に抜くことができます。溶接ができるとこんなこともできてしまうというお話です。それでは早速行ってみましょう。
(YouTubeへのリンクです)→ 折れたスタッドボルトを(ほぼ)確実に抜く方法!≪溶接編≫
これは、テストピースではなくてヤマハSR400をレストアしていた時の話です。
その車体は事故車だったので、装着されていたフロントフォークが曲がっていました。そこで中古品をヤフーオークションで落札し、購入しました。
レアな部品にもかかわらず、思わぬ安値で落札。その理由は、フロントフォークのアウターチューブの下部を見てみると・・・
そうです、スタッドボルトが折れていました。
ちなみに、スタッドボルトを抜く時には「スタッドボルトリムーバー」という工具を使うのが簡単で手っ取り早い方法ですが、そんな高級な工具を持っていない私は昔ながらの原始的な「ダブルナット」という方法で外します。
それは、スタッドボルトのネジ部に二つのナットをかまして(間にスプリングワッシャーを入れると強度アップします)、その二つをお互いにしっかり締めこんでから、そのテンションを維持しつつナットごとスタッドボルトを回して緩めて外す方法です。
ただし、この「ダブルナット方法」は今回のようにスタッドボルトのネジ部分が折れて短くなっていると使うことができません。また、折れ方によっては先ほどの「スタッドボルトリムーバー」も使えないことがあります。
そうなってしまうと、ただでさえ高トルクで締め付けられているスタッドボルト。うまく掴む手段がないとお手上げになってしまうところですが、そんな時に頼れるアイテムが登場します。
満を持して登場しましたるのは「アーク溶接機」です。
まず、折れたスタッドボルトに少しでもネジが残っている場合は、ナットのひとつを無理やりでもネジ込んでください。もしネジ部分がなくなっていたら、すっぽりかぶさる大きさのナットを用意してください。
しっかりとアースを接続したら、スタッドボルトの軸部分とナットの内側をしっかりと溶接します。
作品を作っているわけではないので、強度さえ出せれば見た目は気にしません。穴が開く心配もないので、強い電流でしっかり溶接してください。
なお、溶接作業中にはスタッドボルトとフロントフォークのねじ穴に余計なスパーク(異常な放電現象)が発生している可能性があるため、タップがあればねじ穴をきれいに整えてから、新たなスタッドボルトを取り付けてください。
溶接直後は熱膨張によりスタッドボルトも太くなってしまうため、クールダウンするのを待ちましょう。温度が下がったら、ナットに適したスパナやレンチを使用して通常通りに回し、緩めてください。
もし溶接が割れたり溶接不良でくっついていない場合は、グラインダーなどで少し削ってから再度溶接してください。
しっかりと溶接ができていれば、ほとんどの場合、スタッドボルトは簡単に外れてくれるはずです。お疲れ様でした!
この方法は折れたスタッドボルトの抜去に溶接を使った例ですが、大きな機械の固着ボルトを回す場合やシャフトを抜く場合にも同様に溶接を使用することがあります。溶接は製品や作品の製作に使われるだけでなく、作業の補助としても十分に役立つものです。高度な機器でなくても十分に使えるため、興味のある方は溶接機をチェックしてみることをおすすめします。
この記事が誰かの参考になれば幸いです。ご視聴ありがとうございました!
(YouTubeへのリンクです)→ 折れたスタッドボルトを(ほぼ)確実に抜く方法!≪溶接編≫