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脱プラスチック化するスーパーの棚 北欧のお茶をリサーチ

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事
Photo: Asaki Abumi

欧州では、環境や気候変動問題の議論が盛んで、脱プラスチック化が急速に進んでいる。

今、海外のスーパーの棚を見ていると、商品パッケージの変化は目に見えてわかる。

そういう意味では、私たちは次の時代への移り変わりを目撃していることになる。

「どうして、プラスチックなの?」。  疑問に思う消費者は、写真を撮り、SNSで問いかけ、ニュースとなり、企業は動く。写真はスウェーデンのスーパーのお茶 Photo: Asaki Abumi
「どうして、プラスチックなの?」。 疑問に思う消費者は、写真を撮り、SNSで問いかけ、ニュースとなり、企業は動く。写真はスウェーデンのスーパーのお茶 Photo: Asaki Abumi

プラスチック包装やレジの袋が生活から減ったとしても、慣れると不便は意外と感じないものだ。

北欧といえば、コーヒーの消費量が高いことで知られる。冬が長いので、お茶の栽培は難しい。「メイド・イン・ほかの国」で、「デザイン・バイ・北欧」のケースもよくある。

デンマーク・首都コペンハーゲンのスーパーの棚。複数のサイズの紙の袋があり、必要な量のお茶だけ買うことも。必要最小限の量で食品ロスをおさえることもできる Photo: Asaki Abumi
デンマーク・首都コペンハーゲンのスーパーの棚。複数のサイズの紙の袋があり、必要な量のお茶だけ買うことも。必要最小限の量で食品ロスをおさえることもできる Photo: Asaki Abumi

先日、日本から郵便が届いた。日本のティーバッグがお土産にいくつか入っていたのだが、手にして、なにか違和感を感じた。それは袋がプラスチックだったからだ。そういえば、ノルウェーではプラスチック袋入りのティーバッグを見たことがなかったのかもしれない。

スウェーデンのスーパーの棚、ポップなデザインのティーバッグ Photo: Asaki Abumi
スウェーデンのスーパーの棚、ポップなデザインのティーバッグ Photo: Asaki Abumi

今回は、北欧デザインとプラスチックの視点で、北欧各国のスーパーが取り扱うお茶のパッケージデザインをリサーチしてみた。

プラスチック包装は最小限に

あまり驚きはしないが、プラスチックの袋で包装されているものは少ない。

緑茶の消費量が日本ほど高くないので、外装は「緑色の茶葉」をイメージさせるものでもなく、カラフル。

外装の箱や袋に表示されている文字情報も、少なめの傾向がある。

フィンランドのルイボスティー。外装は紙。おしゃれなデザインで、このままプレゼントできそう Photo: Asaki Abumi
フィンランドのルイボスティー。外装は紙。おしゃれなデザインで、このままプレゼントできそう Photo: Asaki Abumi
デンマークのオーガニック・カモミールティー。デンマーク王室にも飲まれているようだ。箱を開けると、20袋が、ほかになにも包まれていない状態で出てくる。無駄な包装を徹底的に省いたパターン Photo: Asaki Abumi
デンマークのオーガニック・カモミールティー。デンマーク王室にも飲まれているようだ。箱を開けると、20袋が、ほかになにも包まれていない状態で出てくる。無駄な包装を徹底的に省いたパターン Photo: Asaki Abumi
デンマークのスーパーの棚で、ほかのお茶とは際立ってデザインが違っていた、オーガニック・ダージリンティー。複数の第三者機関からの認証マーク入りで、環境に配慮した商品であることを強調。中を開けると紙の袋に包まれたお茶が Photo: Asaki Abumi
デンマークのスーパーの棚で、ほかのお茶とは際立ってデザインが違っていた、オーガニック・ダージリンティー。複数の第三者機関からの認証マーク入りで、環境に配慮した商品であることを強調。中を開けると紙の袋に包まれたお茶が Photo: Asaki Abumi
外装だけだと、ホットココアの箱にも見えてしまう Photo: Asaki Abumi
外装だけだと、ホットココアの箱にも見えてしまう Photo: Asaki Abumi
スウェーデンで見つけたチャイ&抹茶のブレンド。「緑茶」と書かれているが、抹茶に生姜、北欧で人気のリコリスなどを混ぜている。日本の緑茶のデザインとはかなり違う。箱を開けると、ピラミッド型のティーバッグがそのまま出てきた Photo: Asaki Abumi
スウェーデンで見つけたチャイ&抹茶のブレンド。「緑茶」と書かれているが、抹茶に生姜、北欧で人気のリコリスなどを混ぜている。日本の緑茶のデザインとはかなり違う。箱を開けると、ピラミッド型のティーバッグがそのまま出てきた Photo: Asaki Abumi
デンマークで見つけたアールグレイ。一輪車や紳士帽がデザインされている。中を開けると、紙の袋に包まれた20パック Photo: Asaki Abumi
デンマークで見つけたアールグレイ。一輪車や紳士帽がデザインされている。中を開けると、紙の袋に包まれた20パック Photo: Asaki Abumi
スウェーデンのスーパーの棚で、独特のかわいいデザインにふらふらと引き寄せられた。20パックが紙の袋に包まれている Photo: Asaki Abumi
スウェーデンのスーパーの棚で、独特のかわいいデザインにふらふらと引き寄せられた。20パックが紙の袋に包まれている Photo: Asaki Abumi
ピンク色で、ベリー味かと思ってしまうが、こちらはなんと、煎茶。煎茶にストロベリーとクリームバニラで味付けをされているらしい。フタを開けると、甘い香りのする茶葉がたくさん入っていた(プラスチックの袋で包装などはされておらず、葉がそのまま缶に入っている)。デザイン性の高い缶は、あとでほかの用途に使えそうだ。デンマークにて Photo: Asaki Abumi
ピンク色で、ベリー味かと思ってしまうが、こちらはなんと、煎茶。煎茶にストロベリーとクリームバニラで味付けをされているらしい。フタを開けると、甘い香りのする茶葉がたくさん入っていた(プラスチックの袋で包装などはされておらず、葉がそのまま缶に入っている)。デザイン性の高い缶は、あとでほかの用途に使えそうだ。デンマークにて Photo: Asaki Abumi
北欧では日中はコーヒーの消費量も多いので、夜寝る前に飲めるようなカフェインフリーのお茶のバラエティが多い Photo: Asaki Abumi
北欧では日中はコーヒーの消費量も多いので、夜寝る前に飲めるようなカフェインフリーのお茶のバラエティが多い Photo: Asaki Abumi
今回コレクションした中で、一番ユニークで、思わず微笑んでしまったのがこちら。おしゃれなおばあちゃんが笑いながらお茶を飲んでいる、スウェーデンで見つけたブラックティー。「朝のお茶は、ヘビーメタルに」とも書かれている Photo: Asaki Abumi
今回コレクションした中で、一番ユニークで、思わず微笑んでしまったのがこちら。おしゃれなおばあちゃんが笑いながらお茶を飲んでいる、スウェーデンで見つけたブラックティー。「朝のお茶は、ヘビーメタルに」とも書かれている Photo: Asaki Abumi
他にも表情豊かな子どもや女性版もある。外装は缶にみえるが、紙の丸い包で、中にある茶葉も紙の袋で包装されていた。このようなデザインだと、お茶を飲もうと手にするたびに、ちょっと楽しい気分になる。個人的に、デザイン賞ナンバーワンをあげたい Photo: Asaki Abumi
他にも表情豊かな子どもや女性版もある。外装は缶にみえるが、紙の丸い包で、中にある茶葉も紙の袋で包装されていた。このようなデザインだと、お茶を飲もうと手にするたびに、ちょっと楽しい気分になる。個人的に、デザイン賞ナンバーワンをあげたい Photo: Asaki Abumi
スウェーデンのブレックファスト・ティーレックファスト・ティー。紙の箱のフタをあけると、ティーバッグがそのままでてきた 余計な包装を最小限におさえている Photo: Asaki Abumi
スウェーデンのブレックファスト・ティーレックファスト・ティー。紙の箱のフタをあけると、ティーバッグがそのままでてきた 余計な包装を最小限におさえている Photo: Asaki Abumi
フィンランド旅行をする方なら、スーパーや空港で目にする、ムーミンのティーバッグ。外装の箱は紙だが、ルイボスティーを包む袋はプラスチックのよう。ムーミンキャラクターがひとつひとつにデザインされているので、ばらまき土産にいいかもしれない。北欧では、日本のようなおみやげ文化はなく、商品は簡易包装なので、ばらまき土産を探すのに手間がかかる Photo: Asaki Abumi
フィンランド旅行をする方なら、スーパーや空港で目にする、ムーミンのティーバッグ。外装の箱は紙だが、ルイボスティーを包む袋はプラスチックのよう。ムーミンキャラクターがひとつひとつにデザインされているので、ばらまき土産にいいかもしれない。北欧では、日本のようなおみやげ文化はなく、商品は簡易包装なので、ばらまき土産を探すのに手間がかかる Photo: Asaki Abumi
ノルウェーのスーパーで見つけたレモン味付き緑茶。高級感を出すために黒いパッケージ。紙の箱のふたを開けると、プラスチックに包まれた15のピラミッドティー。オーガニック Photo: Asaki Abumi
ノルウェーのスーパーで見つけたレモン味付き緑茶。高級感を出すために黒いパッケージ。紙の箱のふたを開けると、プラスチックに包まれた15のピラミッドティー。オーガニック Photo: Asaki Abumi

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デンマークのスーパーの棚。紙の袋に入っているお茶も多い Photo: Asaki Abumi
デンマークのスーパーの棚。紙の袋に入っているお茶も多い Photo: Asaki Abumi

私は意識して集めていなかったのだが、ほとんどの商品に「レインフォレスト・アライアンス認証マーク」、「オーガニック認証マーク」などがついていた。

緑茶も、日本の緑茶のパッケージとはだいぶデザインが違う。

外装がおしゃれなものが多いので、棚に見えるように置いておいてもよい。写真は私の家の棚。右側はコーヒー豆が入った白い袋と、手前のヴィンテージ食器にはコーヒーのペーパーフィルターを入れている Photo: Asaki Abumi
外装がおしゃれなものが多いので、棚に見えるように置いておいてもよい。写真は私の家の棚。右側はコーヒー豆が入った白い袋と、手前のヴィンテージ食器にはコーヒーのペーパーフィルターを入れている Photo: Asaki Abumi
これだけたくさんコーヒーやお茶があると、収納スペースも多くなる。以前、蚤の市で買ったヴィンテージのパンを入れるボックスに、お茶を入れている。右側の赤いポットはフィンランドのヴィンテージ Photo: Asaki Abumi
これだけたくさんコーヒーやお茶があると、収納スペースも多くなる。以前、蚤の市で買ったヴィンテージのパンを入れるボックスに、お茶を入れている。右側の赤いポットはフィンランドのヴィンテージ Photo: Asaki Abumi

ノルウェーに住んで、環境議論を聞きなれていると、必要性がわからないプラスチック包装には、無意識に違和感を感じてしまう。

どうせ買うなら、プラスチックを減らす努力をしているブランドを支持したいと思うようになった。

進む脱プラスチック化で、スーパーの棚の商品の変化は今とても速い。

今当たり前のものも、数年後には形を変えているだろう。

そういう意味で、私たちはおもしろい時代に生きているのかもしれない。

Photo&Text: Asaki Abumi

写真&文:あさきあぶみ(鐙 麻樹)

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信16年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。北欧のAI倫理とガバナンス動向。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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