「うつ病」を発症しても気づかない?!発症した人が見ている世界とは?
こんにちは、精神科医しょうです。
うつ病はどんな世代にも起こり得る病気で、気分が落ち込み、憂うつな症状が2週間以上続くと、この病気が疑われます。
うつ病を発症すると、不安や無気力感に苛まれるなどの精神症状が表れ、不眠や頭痛、食欲不振などの身体症状も長期間続きます。
うつ病を発症する原因は定かではありませんが、原因の一つに長期間にわたるストレスが影響しているものと考えられています。
強いストレスを感じ続けることで、幸せホルモンと言われている「セロトニン」やストレスに打ち勝とうとする時に働いてくれる「ノルアドレナリン」などの分泌不均衡が起き、抑うつ症状が表れると言われています。
そこで今回はうつ病を発症すると、心身にどのような影響をもたらすのか?について解説したいと思います。
「うつ病」だと自分では気が付かないことが多い?
イヤなことがあると誰でも気分は落ち込み、無気力になることがありますが、通常であれば好きなことをしたり、人と話しをしたりすることで、数日程すれば憂うつな気分は晴れていくものです。
一方でうつ病を患うと抑うつ感が長期間続き、好きなことさえする気が起こらなくなります。
気分転換もできず、不安や焦燥に駆られ非常につらい状態が続きます。
にもかかわらず、患っている本人は「気合が足りないだけ」「こんなことくらいで」と無理をしてまで乗り越えようとしてしまうことがあります。
軽度のうつ病であれば、気分の抑うつはあるものの体は動くことがあるため、我慢して日常生活を送ることができるからです。
しかし、症状が進行すると起きられなくなったり、絶望感を感じる頻度が高くなったりするため、2週間以上、下記の症状が続いている場合は、すぐに医療機関を受診するようにしましょう。
・ネガティブな感情がずっと続いている
・不眠症状が続いている
・食欲がない
・突然、動悸が起こることがある
・「消えたい」と思ってしまう
「うつ病」になる原因は一つではない?
適応障害の場合は、ストレスとなっている原因が明確なため、ストレス要因から離れることで、症状は改善していきます。
しかし、うつ病は明確な原因が分からないことがあります。
うつ病の発症要因を特定するよりも、現在置かれている困難な状況を一つ一つ改善していくことが求められます。
たとえば、仕事でストレスを抱えているのであれば、一旦休職を選択する、不眠症状が出ている場合は、薬を飲むことで改善を図る、不安や焦燥感が頭から離れない場合は、カウンセリングを受けるなどの対処が必要になります。
うつ病になると見える世界が変わる?
うつ病の人と健康な人を比べると、見えている世界が違うと言えます。
どのように違っているのでしょうか?
いくつか例をあげてみたいと思います。
・体が重く感じる
うつ病の進行具合にもよりますが、体が重く感じられ、寝てもスッキリとしません。
少し動くと息切れがして、当たり前のことが身軽にできず、もどかしさやつらさを感じてしまうことがあります。
・些細なことが決められない
健康な状態であれば決められていた簡単なことを、判断力や集中力が低下することで、その場ですぐに決めることができなくなります。
・常に何かに追われているような感覚がある
寝る前になぜか不安が浮かんできて常に切迫感があり、入眠に時間がかかったり、熟睡したりすることができません。
何に対して不安を感じているのかは本人にも分からないため、症状があるにもかかわらず、受診をためらってしまうことがあります。
・同じことばかり考える
考えても解決しないことを繰り返し、考えてしまいます。
考えても仕方がないと頭では分かっているのですが、考えることを止めることができず、追い込まれてしまいます。
・無感動になる
何を見ても心が動かなくなります。
好きなテレビ番組やスポーツ中継、美しい風景など、健康な時は思わず声に出したり、笑ったりできていたことなどができなくなり、急につまらないものに感じてしまいます。
うつ病を患うと、ほんの一例ではありますが、上記のような症状が表れます。
しかし、一生続くわけではなく適切な治療をすれば症状は改善し、元の生活を送れるようになります。
まとめ
うつ病はある日突然発症するというよりも、我慢に我慢を重ねた結果、発症してしまっていたというケースが多いと言えます。
うつ病になると、自分を責めてしまったり「何とかしないと!」と焦ったりしがちですが、まずは頑張ってきた自分を認め、心と体を休ませることを優先しましょう。
また、うつ病を患っている人が身近にいる場合には、くれぐれも本人を責めるようなことを言ったり、「頑張れ!」と励ますようなことをしたり、これからのことを聞いたりなどしないようにしてくださいね。
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