MicrosoftのEvernote無料ユーザー乗っ取り計画がはじまった!
KNNポール神田です!
遠い昔。遥か彼方の銀河系で…
NetScape Navigatorというインターネットブラウザが、銀河の支持を得ていた。しかし、無料版から有料サービスへの基軸へと舵取りをした頃、すべてのOSの支配をもくろむマイクロソフト帝国軍は、完全無料のブラウザIEで、Netscapeユーザーの心を、無料フォースのチカラで取り乱そうとしていた…。
そして、ついにNetScapeユーザーはIEの軍門へと下ることとなった。まるで、あの頃の『ブラウザ戦争』の銀河へと「クラウド」は向かおうとしているかのようだ。そう、これは『クラウド戦争』勃発の兆候なのである。
Evernote反乱軍はこの「OneNote Importer」と、どのように闘うのだろうか?また、連合軍であると思われていたGoogleやAppleも、実はこの「クラウド戦争」への準備を着々と水面下で進めていたのであった…。
Microsoftのフリーミアム戦略
無料で制限なく、使えるというマイクロソフトの「OneNote Importer」戦略は、かつてのNetscape VS IEでのブラウザ戦争を彷彿させる。すでにアプリケーションは、Adobeを筆頭に、Microsoftも、サブスクリションモデルへと舵を切った。ハードウェアCPUのアップデート→OSのアップデート→パッケージソフトウェアの定期的なアップデート、という、サイクルモデルが通用しなくなったからだ。
パッケージソフトの画期的な機能アップに対応するためにCPUパワーが求められ、OSが洗練され、さらにソフトウェアが進化するという関係性が、どうでもいいようなソフトウェアアップデート、セキュリティ面中心のOSアップデート、CPUの単なるクロックアップというような、パーソナルコンピュータの市場環境が成熟することによって停滞を始めたからだ。
しかし、ネット環境の普及によって、インストールはダウンロードでパッケージを不要とし、データ管理もローカルディスクではなく、IDとパスワード管理によってクラウド保存が可能となった。同時にサービスの差別化は、一層難しくなり、Apple,Google,Microsoft,Amazon,さらにEvernote,Dropboxと同様のクラウドデータサービスが提供されるようになった。
「Netscapeのジレンマ」をEvernoteは超えられるのか?
当然、フリーミアムのサービスの先には、何らかの課金モデルが控えているものだ。しかし、メインの事業モデルが、クラウドデータサービスである、Evernoteのような場合、メインのビジネスを無料にはできない。これは「Netscapeのジレンマ」なのである。MicrosoftのOneNoteに対抗するためには、有料サービス化で、より高度な専門差別化をとるのか、無料でもOneNoteとは違ったサービス化を提供するのか、Evernoteの対応が気になるところだ。何よりも、無料と有料のサービスの中で、Evernoteの無料を選択していたユーザーにとっては、OneNoteの機能はすべて無料という点は魅力的に映るかもしれない。しかし、原状のEvernoteの無料版で、何一つ、不自由に感じていないユーザーにとっては、わざわざOneNoteに以降する必要もないのだ。それが最大のEvernoteの戦略になるのかもしれない。