米国、ドイツ:ホロコースト追悼施設では「ポケモンGO」やめて!と呼びかけ:学生は授業よりゲーム
世界的に「ポケモンGO」が大人気である。
「ポケモンGO」はユーザーが街でスマホのGPSとカメラを起動すると、カメラの画面に映った現実の世界にポケモンが現れる。そしてそれを画面上で捕まえて遊ぶゲームで他のユーザーと戦わせたりすることができる。屋外でスマホで遊べることも「ポケモンGO」の人気の1つで、場所によって出会えるキャラクターも異なるから、いろいろな場所に出向くと多くのキャラクターに会える。また遭遇したキャラクターの写真を撮影することもでき、Twitterには多くの写真がアップされている。
欧米でも「歩きスマホ」による事故や死体を発見するといった問題も発生している。
「ホロコースト関連施設ではやらないで」と呼びかけ
「ポケモンGO」はそのゲームの特徴から、屋外のいろいろな場所でポケモンが現れることから、行った場所でスマホを見ながら遊ぶことができる。
アメリカのワシントンDCにあるホロコースト記念博物館では、入場者が博物館で「ポケモンGO」で遊ぶために、『博物館の中では「ポケモンGO」をやらないで』と呼びかけた。博物館の広報担当Andrew Hollinger氏は「博物館はホロコーストでナチスの犠牲になった600万人を追悼している施設でゲームをやるのは不適切だ」と怒りを露わにして、今後はゲームから博物館を除外するよう要請することも検討している。
アメリカには各地にホロコーストを記念する追悼施設がある。ボストンのホロコーストメモリアルでも、入場者が「ポケモンGO」で遊んでおり、ボストンのユダヤ人団体の Jeremy Burton氏は「スマホでゲームをやるなら、施設に来ないでほしい。メモリアルはゲームをやる場所でない。ナチスのユダヤ人大量虐殺で殺された犠牲者に対して失礼だ」と訴えた。
またアメリカでは多くの人がホロコースト追悼施設で「ポケモンGO」をすることからニューハンプシャー州のホロコースト追悼施設の隣で、死体を発見してしまった。アメリカではワイオミング州ではポケモンを探していた19歳の女性が川で遺体を発見してしまったことも話題になっていた。
また、ドイツのベルリンにある「虐殺されたヨーロッパのユダヤ人のための記念碑」でも「ポケモンGO」を楽しむ人が多くて、頭を悩ましている。同施設の広報担当Sarah Friedrich氏も同じように「ここはナチスのホロコーストで犠牲になった600万人のユダヤ人を追悼した施設だから、ゲームをやる場所ではない」と怒りを露わにして、今後施設ではゲームができないような措置を検討しているとのことだ。
過去の悲惨な歴史よりもスマホのゲーム
欧米ではホロコースト関連施設は、地元の学生が社会科見学で行くことが多い。学生は「たまにしか行かない、しかも学校の授業の一環で行く施設」であり、自分では行くことがない場所だから、ポケモンのキャラクターを見つけたい。また学生としては過去の悲惨なホロコーストの歴史よりもスマホの中のポケモンが気になってしまうのだ。
たしかにホロコースト関連施設にある多くの写真や遺品は、あまりにも壮絶で大人ですら見るに堪えられないものが多く、授業での訪問とはいえ目を逸らしたくなる。
また博物館などでは、スマホに熱中していて歴史的な展示物にぶつかって壊されてしまうことも懸念されている。たしかに歴史的な遺産や展示物を破壊されてしまう恐れがあるから、博物館や寺院などではスマホによるゲームは禁止した方がよいだろう。
日本でも間もなく「ポケモンGO」がリリースされると、修学旅行に行った先や社会科見学で訪れるような場所でもスマホに夢中になってしまうのではないだろうか。
イスラエル大統領も「ポケモンGO」に熱中
ユダヤ人の大量虐殺ホロコースト関連施設での「ポケモンGO」をやらないようにと呼びかけている一方で、ユダヤ人が作った国家イスラエルでも「ポケモンGO」は大人気のようだ。
イスラエルのルーベン・リブリン大統領は、自身のFacebookページに大統領官邸にポケモンのキャラクター「ニャース」が現れて「誰か警備員を呼んでくれ!」とヘブライ語で投稿していた。大統領は欧州でユダヤ人が迫害されていた1939年生まれだが、エルサレム出身なので本人にホロコーストの経験はない。
またイスラエル海軍も公式Facebookページに軍艦にポケモンのキャラクター「ギャドス」が乗っている写真を投稿していた。
600万人以上のユダヤ人が犠牲になったホロコースト関連の施設での「ポケモンGO」を遊ぶことには怒りを表しているが、ユダヤ人も個人としては「ポケモンGO」を楽しんでいるようだ。