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【河内長野市】大人気のうたごえinプラ座の意義。高齢者の楽しみだけでない現役世代にも大きなメリットが

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野駅前にある長野商店街にあるにぎわいプラザで、いろんなイベントが行われていますが、前を通った時に会場いっぱいに人があふれて、楽しそうに歌を歌っている様子を見ることがありました。

どうやらうたごえinプラ座(外部リンク)という催しが月2回行われているようです。聞くところによると、大人気でいつも満席だとか。どんな様子かずっと気になっていたので、見学に行かせていただきました。

うたごえinプラ座は、以下の通り行われています。

  • 第1土曜日 ギター演奏に合わせて、懐かしい歌謡曲や童謡、フォークダンスなど
  • 第3土曜日 ピアノ演奏に合わせて、懐かしい歌謡曲や童謡など

直近では12月7日に開催されました。この日は河内長野駅前に「つながる」をテーマにした8つのイベントが行われた日です。そしてうたごえinプラ座は12月21日土曜日が今年の最終日とのこと。いずれも参加費は500円です。

さて私が取材させていただいたのは、先月の第3土曜日(11月16日)です。あまりにも人気があるため、できるだけ前の席をとるために、にぎわいプラザに電話で問い合わせをする人が殺到するほどだとか。いったいどこに人気の秘訣があるのか、うたごえinプラザの秘めた魅力の謎としてとても気になっていました。

うたごえinプラ座の観客です。満席のようですが、この日はいつもより短縮(特別講演があるため)のためか、いつもよりは少ないとのこと。多いときは会場内がいっぱいになるそうです。平均年齢は高めで、比率的には女性の方が多い気がしました。

ちょうど始まったところです。男性の進行役が中心となり、ピアノ演奏と歌を先導する方がいます。

スクリーンに歌詞が見えます。男性の進行役の人が指揮を、手前の女性がピアノ演奏を行い、左側に映っている女性の歌声に合わせて、会場の人々が一緒に歌います。

参加者には譜面が配布されています。それをもとにみんなで童謡を歌います。いい年をして童謡というのは一見恥ずかしいのではと素人目には思いますが、後で聞くとこれには深い意味があったのです。童謡を歌うことで、昔の記憶や家族、故郷を思い出し、孤独や不安を和らげたりする効果があるとのこと。そうだったのですね。

ただ歌うだけでなく、進行役の男性のトークが人気で、これがなかなか面白い!歌わない時は、笑い声が絶えません。

また、良く知られた童謡だけを歌うのではありません。あまり知られていないような歌が登場したり、

吉永小百合が出演した映画作品に関する歌を歌ったりと、ジャンルは意外に幅広いです。

トークは参加者だけでなく出演者も楽しいようです。ピアノ演奏の方も演奏をしていないときには思わず笑いがこみあげているほど、トークが楽しいことがうかがえます。

途中からギターの演奏の方も現れました。ギターにせよ、ピアノにせよ、すべて生演奏です。うたごえinぷら座は、高齢者の方も大好きなカラオケとは違うというのも人気の秘訣かもしれませんね。

歌うだけでなく、トークも楽しくさらにためになる。高齢者になるとついつい家に籠りがちで、買い物との往復という生活になりがちですが、このようなお楽しみの時間があるだけで生き甲斐が生まれそうです。高齢化がいち早く進んでいる河内長野にとって、うたごえinプラ座はとても重要なイベントのひとつなんだなと感じました。

ここまでなら、高齢者を中心に大人気のうたごえinプラ座と言うだけで終わりでしょう。しかし、今回はここからが本題です。画像に映っている歌をリードする女性ですが、実は意外な経歴の持ち主だったのです。

田倉みささん
田倉みささん

女性の名前は田倉みささんです。彼女はうたごえinプラ座では、歌を先導する役目を担っていますが、別の顔があり、それは日本音楽レクリエーション指導協会(以下、JMREC)の認定講師でもあります。

さて、うたごえinプラ座が途中休憩となり、この日特別に行われた講演の間、田倉さんにお話を伺うことができました。

JMREC指定講師として田倉さんのプロフィールが紹介されています
JMREC指定講師として田倉さんのプロフィールが紹介されています

さて、JMRECとはどういう団体なのかということですが、これは介護予防運動員養成事業の指定事業者とのこと。公式ページ(外部リンク)によれば「100万人を元気に!プロジェクト」をモットーに活動する一般社団法人で、音楽を通じて高齢者を元気にすることを目的として、2015年に設立された団体です。

JMRECの音楽レクリエーション指導士は、元気な高齢者を増やして要介護者を少しでも少なくすることが社会的急務だといいます。つまり現役世代の負担を少しでも軽減するためにも、元気な高齢者でいてほしいということなのです。

そして元気な高齢者を増やす方法の手段として「音楽やリズムの効果に関する知識や技能を持つ人」を育成する必要があると考え、そういう能力を持った人を音楽リクリエーション指導士として認定する制度です。

実は、うたごえinプラ座でも、歌いながら手を足を使う行為を田倉さんが指導していました。これは、体を動かすことで、健康増進を行っていたのです。田倉さんによればこういうことを高齢者の方に指導して実践してもらうことが音楽レクレーション指導士であるとのこと。

田倉さんによれば、音楽レクリエーションに必要なのは次の5要素だといいます。

  • コミュニケーション
  • 運動(体操)
  • 笑顔
  • 音楽(音)、歌
  • 脳のトレーニング

このようにしてみると、うたごえinプラ座は、進行役とのコミュニケーション、時には体を動かすような簡単な体操を行い、さらにトークで思わず笑顔になる、さらにメインの音楽に合わせて歌い、譜面を意識して見ながら歌うことで、ある種の脳のトレーニングと考えれば、見事に5つの要素を満たしていると考えられます。

外に出て体を動かしたり、歌を歌えば、家で何もしていないよりも健康に良さそうということは私でも何となくわかります。とはいえそれは本当に根拠があるものかどうかまではわからず、なんとなくイメージで考えている場合が多いのではないでしょうか?

画像提供:田倉みささん
画像提供:田倉みささん

ところが、田倉さんはこちらの資料を見せてくださいました。これは67歳男性の前頭葉の血流量の変化を測定したデータとのことですが、左上時の安静時は何もしていないので白くなっていて、物を書いたり、黙って読む、声に絵に出して読む、何かを計算すると、赤くなっている部分と青くなっている部分がまだら模様にように出ることを表しています。そして特筆すべきはいちばん右下です。

画像提供:田倉みささん
画像提供:田倉みささん

これは歌う行為ですが、前頭葉がほぼ真っ赤になっています。真っ赤なのは血行が良くなったという意味があるとのこと。田倉さんはこれこそ歌うことがいかに健康に良いことであるかが裏付けられているといいます。

そんな田倉さんは、講師として、来年の2月に松原市の岡公民館で高齢者を元気にするための講座を2月20日に行う予定とのこと。音楽レクリエーションの陳列棚のようなイベントというニュアンスで「音楽レクリエーションショーケース」と名付けました。

さて、ここまでなら、うたごえinプラ座で歌を楽しく先導している田倉さんは、実は高齢者を元気にするための音楽レクリエーションの指導者だったということで終わるかもしれません。しかし、田倉さんはその先のことを考えていたのです。

それは河内長野で多くの音楽レクリエーション指導士やその上である認定講師を増やしたいというのです。

スマホと資料で説明してくれる田倉さん
スマホと資料で説明してくれる田倉さん

田倉さんによれば、自ら河内長野市の各地に出向いて指導することは可能でも、それには限界があるし、そもそも河内長野の各地域まで指導のために出向くのは大変という事情があります。

ならば地域で指導できる人を育成すれば、地域ごとにリーダとなるべき、音楽レクリエーション指導士や認定講師を育成することで、その地域を任せようという動きがあったのです。地域ごとに指導できる人間が誕生すれば、その人が主体となって指導しますから元気なお年寄りがますます増えるであろうということだったのです。

このような流れで地域で行う無料セミナーを2026年2月まで開催しているとのこと。これは各地域の福祉委員を対象としたものです。つまり一般向けではなく地域の福祉関係者向けに行う無料セミナーです。

直近では12月16日に河内長野市内で開催するとのこと。富田林市ではまだ行っていないそうですが、2025年には富田林も含めてできるだけ多くの地域の福祉委員に同様のセミナーを行いたいそうです。

無料セミナーはあくまで地区単位なので、直接一般市民とは関係ありませんが、無料セミナーを通じて音楽レクレーション指導士が各地域に増えれば、地域に在住している音楽レクリエーションの指導員から地域住民に対して気軽に指導が受けられるようになり、結果的に楽しく健康的な高齢者が増えていくわけです。

田倉さんのお話を伺いながら、うたごえinプラ座という楽しいだけのイベントでなく、楽しく歌うこと、体を使ったり、コミュニケーションを図ることは、将来的に介護に頼ることなく、現役世代に余計な負担をかけずに過ごせる元気な高齢者になるために重要なイベントであることがわかりました。

さらに、河内長野駅前のうたごえプラ座まで足を運ばなくても、各地区で学んだ音楽レクリエーション指導士が、地区に常駐する(住んでいる)ことで、地域の高齢者が気軽に指導を受けて元気になるという中長期的にはとても素晴らしい取り組みであることを知りました。

高齢化の波の最先端を行く河内長野にとって、一連の動きはとても大切なことなんだと取材をしながら思いました。現役世代にも大きなメリットがあるわけなんですね。

にぎわいプラザ(うたごえin広場)

住所:大阪府河内長野市

次回開催日:12月21日土曜日 14:00~16:00
アクセス:南海・近鉄河内長野駅から徒歩3分
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奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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