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復帰戦開幕直前、ゴルフ界の王者ウッズが語ったPGAツアーの今後。「だから僕は理事になった」

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 バハマで開催されるヒーロー・ワールド・チャレンジ(11月30日~12月3日)の開幕を2日後に控えた11月28日(米国時間)、大会ホストのタイガー・ウッズが会見に臨み、米メディアから投げかけられた数々の質問に丁寧に答えた。

 今年4月のマスターズを最終日に途中棄権し、直後に右足首の手術を受けてリハビリに専念していたウッズが、試合に臨むのは今大会が実に7か月ぶりとなる。

 「しばらくプレーから離れていたから、僕のゴルフは錆びついている。でも、オーガスタで感じた痛みは今はまったくない。右足首はグッドな状態。手術は成功だったんだ」

 笑顔を覗かせながらそう語ったウッズは、一方で「右足は良くなっているけど、その代わり、膝も腰も痛い」と、肉体に懸念材料を抱えていることも明かした。

 ウッズの健康状態を、一通り尋ね終えた米メディアは、そこから先はウッズに関する質問というより、PGAツアーの今後に関するウッズの意見を尋ねる質問に切り替えていった。

 今年6月にPGAツアーのジェイ・モナハン会長とリブゴルフを支援するサウジアラビアの政府系ファンド「PIF(パブリック・インベストメント・ファンド)」のヤセル・ルマイヤン会長が統合合意を電撃的に発表した際、果たしてウッズは「どう感じたか?」

 「他の選手たちと同じように、僕もとても驚かされた。交渉が水面下で進められ、僕たち選手がみんな蚊帳の外に置かれたことに、とにかく驚かされ、今後はそうならないよう、僕たち選手がコトの進行に必ず関わっていけるようにしなければならないと思った。だから僕は理事になった」

 ウッズと入れ替わるかのように、それまでPGAツアーの選手たちのまとめ役を務めてきたローリー・マキロイが理事を辞任する意向を発表したことに対しては「とても理解できる。毎週のように優勝争いをしつつ、理事も務めてきた彼は大変だったはずだ」と頷いてみせた。

 選手たちの意見を反映させながら進められているPGAツアーとPIFとの統合の結論を出すデッドラインは12月31日とされているが、米メディアから「間に合うのか?」と尋ねられたウッズは、「僕たち理事は何時間にも及ぶ議論を重ね、全選手にとっての最善策を見出そうと頑張っている。いい方向に向かっているし、満足もしている。ただ、進行がスローで遅々としているところにはフラストレーションも感じている。12月31日はすぐにやってくる」と気を引き締めた。

 そして、メジャー15勝、通算82勝の王者として、あるいはPGAツアーの理事として、こんな言葉を口にした。

 「現在のゴルフ界では、たくさんのことが動いている。PGAツアー?統合?チーム戦?いろんなことが動いている中、選手やそれぞれのツアー、団体にとって、何が最善の解決となるのかを見極めたい」

 王者ウッズには、復帰戦に臨む選手としての期待のみならず、PGAツアーの今後を担う理事としての期待も膨らむばかりだが、「ウッズの大会」の開幕は2日後だ。まずは、7か月ぶりのウッズのティオフと力強いガッツポーズを心待ちにしていたい。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、長崎放送などでネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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