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「死亡届」のルール

竹内豊行政書士
死亡届はいつまでにだれがどこにするかご存知でするか?(GYRO PHOTOGRAPHY/アフロ)

出生届は、出生の日から14日以内に、子の出生地・本籍地又は届出人の所在地の市役所,区役所又は町村役場に届け出ます(戸籍法49条・52条)。

このことは、ご存知の方も大勢いらっしゃると思います。一方、出生届とは反対の死亡届についてはご存知の方は少ないように思われます。たとえば、身内が死亡した際に、葬儀社に委任状を渡して代理してもらうことが多いようです。

そこで、今回は、死亡届について見てみることにします。

いつまでにする

死亡の届出は、届出義務者が、死亡の事実を知った日から7日以内にしなければなりません。

また、国外で死亡があったときは、届出義務者は、その事実を知った日から3か月以内にしなければなりません(戸籍法86条1項)。

戸籍法86条1項

1.死亡の届出は、届出義務者が、死亡の事実を知つた日から七日以内(国外で死亡があつたときは、その事実を知つた日から三箇月以内)に、これをしなければならない。

このように、海外で日本人が死亡の他、出生、婚姻など身分関係に変動があった場合は、たとえ当事者や届出人が海外にいても、日本の国戸籍法に基づいて届出が義務付けられています。

だれがする

届出義務者は、次の順序で死亡の届出をしなければならなりません。ただし、順序にかかわらず届出をすることができます(戸籍法87条1項)。

第1 同居の親族

第2 その他の同居者

第3 家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人

戸籍法87条1項

左の者は、その順序に従つて、死亡の届出をしなければならない。但し、順序にかかわらず届出をすることができる。

第一 同居の親族

第二 その他の同居者

第三 家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人

なお、死亡の届出は、同居の親族以外の親族、後見人、保佐人、補助人及び任意後見人もすることができます(戸籍法87条2項)。

戸籍法87条2項

死亡の届出は、同居の親族以外の親族、後見人、保佐人、補助人及び任意後見人も、これをすることができる。

水難、火災によって死亡した場合

水難、火災その他の事変によって死亡した者がある場合は、その取調をした官庁又は公署は、死亡地の市町村長に死亡の報告をしなければなりません。ただし、外国で死亡したときは、死亡者の本籍地の市町村長に死亡の報告をしなければなりません(戸籍法89条)。

どこにする

死亡の届出は、死亡地ですることがでます(戸籍法88条)。

戸籍法88条

死亡の届出は、死亡地でこれをすることができる。

また、死亡者の本籍地又は届出人の所在地の市役所,区役所又は町村役場に届け出ることもできます(戸籍法25条1項)。

戸籍法25条1項

届出は、届出事件の本人の本籍地又は届出人の所在地でこれをしなければならない。

外国人の方は本籍地がありませんから、所在地に届出ます(戸籍法25条2項)

戸籍法25条2項

外国人に関する届出は、届出人の所在地でこれをしなければならない。

死亡地が明らかでないとき

なんらかの事情で死亡地が明らかでないときは、次の場所で死亡の届出をすることができます(戸籍法88条2項)。

・死体が最初に発見された地

・汽車その他の交通機関の中で死亡があつたときは死体をその交通機関から降ろした地

・航海日誌を備えない船舶の中で死亡があつたときはその船舶が最初に入港した地

死亡者の本籍が明かでない場合又は死亡者を認識することができない場合

死亡者の本籍が明かでない場合又は死亡者を認識することができない場合には、警察官は、検視調書を作り、これを添附して、遅滞なく死亡地の市町村長に死亡の報告をしなければなりません(戸籍法92条1項)。

届出をしないと

親が死亡した後も死亡届を届出ないで、亡くなった親の年金を不正受給していたというニュースを耳にすることがあります。このように、死亡届を届出期間内にしない者に対して、戸籍法は、5万円以下の過料を規定しています。

戸籍法135条

正当な理由がなくて期間内にすべき届出又は申請をしない者は、五万円以下の過料に処する。

出生届も死亡届も自分では届出できないことは同じです。自分の大切な人の人生の幕引きとして死亡届を届出ることもあるかもしれません。ルールは覚えておきたいですね。

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

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