元号問題、いや、すべて西暦に置き換えれば解決できる。むしろ世界的な表記ルールを制定しようではないか?
KNNポール神田です。
まさに、2019年5月1日から新元号がスタートであるが、新元号の発表は4月1日のエイプリールフール。実装までに約30日間だ。現在は、仮の元号でテストして運用し、5月1日から変更というシステムが運用されている。
みずほ銀行の2018年からの西暦対応変化が一番賢明でないだろうか?
□改元前に和暦から西暦に切り替えを進めている企業もあるようだ。例えばみずほ銀行は、18年から幾度かにわたって実施してきたシステム更新で、預金通帳などの表示を「30-9-28」(平成30年9月28日)といった和暦から「18-10-4」(2018年10月4日)といった形で西暦に切り替えている。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190304-00000024-zdn_n-sci&p=1
2019年を19年と表記することによって、通帳などの表記が問題なく変更される。少なくとも、あと81年はこのシステムで運用できる。もちろん、その頃には紙の通帳でATMという存在も必要ないことだろう。
もはや明治以前の元号を使う日常シーンがあるのだろうか?
日本の歴史を語る上において、天皇陛下と紐付けられてきた元号はとても重要な時代の『記号』である。しかし、日常生活で元号は、昭和はたまに、誕生日などで、使うことがあっても、大正、明治はほぼ使わない。むしろ、江戸時代以前の元号って使うのはほとんど歴史的なイベント事や災害年でしかない。
日本の元号をさかのぼると、飛鳥時代の西暦645年の『大化(たいか)』の皇極(こうぎょく)天皇以来、脈々と日本の元号は続く。しかも、皇極天皇は女性天皇でもあった。すでに、過去の元号は、歴史の『大化の改新』のようなイベント事でしか登場しない。しかも、西暦との対応は1573年まではユリウス暦で、1593年からはグレゴリオ暦となる。
もはや日本の『元号』は歴史的な側面での時代を表す『記号』でよいのではないだろうか?『元号一覧』を見てもわかるように、日本の元号を、もはやすべて暗記しておく意味はどこにもない。
https://ja.wikipedia.org/wiki/元号一覧_(日本)
また、海外の人が日本の歴史をネット上で調べた時なども、本文は翻訳ツールで翻訳できても、元号までは翻訳できる機能を持っていない。むしろ、西暦とリンクできる『標準化』された仕様があれば、もっと『日本史』を『世界史』として昇華させることができることだろう
または、PCなどの場合は、和暦のページに西暦を併記させるブックマークレットなど便利な機能もある。昭和と平成に対応している。
しかし、これもまた、2019年5月1日からの新元号に対しては新たに対応する必要がでてきた。そう、ローカルルールで対応してきたものはすべて個別対応しなければならないのだ。
免許証も西暦対応をしても、読み方に英語表記がないので、海外で『IDカード』としても使えないなどのローカルルールのひとつだ。
最大の問題は、勝手に作られてきた元号の運用ルール
マイクロソフト製品の『新元号への対応について』
データ交換で用いられることの多い XLSX、CSV、JSON、XML などでは和暦を文字列として使用されている場合があります。このような場合、データの送信元、送信先の間における相互運用、データ交換における処理の方法について慎重に調査・検討する必要があります。平成初期に作られたソリューションの中には、2 桁を平成の和暦、4 桁を西暦と判断する実装も確認しております。また、データの送信側、受信側の関係を明らかにしたうえで、更新順番を慎重に計画する必要があります。送信先よりも送信元が先に新元号に対応した場合、受信したデータに含まれる日付を認識できないなど相互運用の問題が生じる可能性があります。
『2桁を平成、4桁を西暦』って、元号変更後の歴史のことなど、まったく脳裏に残っていなかったローカルな実装に近い。事業者によっては、その変更が、今後のビジネスチャンスと考えるところも多かったのだろう。むしろ担当者がそこを見抜けなかったことを恥じるべきだ。しかしながら、平成初期の担当者は、すでに、とっくに引退されている…。戦犯は、もうどこにもいないというのがITの黒歴史として残り続ける。
今後も『元号』を使いつづけていくためには、『世界に通じる表記ルール』も制定すべき!
ちなみに、西暦の年号に「+12年」すると平成の年号が計算できる(下2桁)。2019年+12年は2031年で下2桁は31年となる。西暦から平成を知りたい時には使える。※2000年(平成12年)以降の場合に限る。
しかし、平成が終わり、新元号が登場しても、基本的には『西暦』を使うのが一番、世界的な標準化となる。誰も困らない。元号を使うから困ることが発生するのだ。まずは、行政から文書をすべて西暦へと率先して、変更すべきなのである。
そして、重要なのは、おなじ西暦でも『文字列型』ではなく、正しくは『日付型』のデータとして格納されることだ。
また、過去の統計データのPDFのような文書もそのうちAR技術などで本文は翻訳ができるが、『H31年(平成)』のようなローカル表記は、日本の文書への参入障壁のようなものになってしまう。開かれた国家としては、早急に、『世界に通じる表記ルール』を制定すべきかと思う。その標準化の仕様にそって、システム開発会社が考えれば、次の元号の時にまた同じ問題に悩まなくてもよい。
すでに、西暦を2桁(現在は、「19年」とか…)で表示している状況も、あと、81年後には問題が必ず発生する。『世界に通じる表記ルール』は、100年ごとに考えるようなルールではなく、二度と変更しないですむ恒常的な表記ルールを考えるべきだと思う。
新聞などの活字ニュースなどが特に「19年」などの表記は多いが、「31年」も交じるケースが多い。せめて行数や文字に制限がないウェブ媒体では、正式な年号で記載するべきだと思う。さらに、昨日とか一昨日とか未明とかの『相対的』なタイムスタンプで記載されるよりも、2019年3月5日というような『絶対的』なタイムスタンプでウエブなどでは表記すべき時代になっているかと思う。
紙の新聞が24時間で消費されるのとちがい、ウェブ媒体のタイムスタンプは何十年も後からも検索される可能性があるからである。