Yahoo!ニュース

ローソンに行くと「100MB」もらえる povo2.0はサブ回線の決定版になるか

山口健太ITジャーナリスト
ローソンに行くとデータ容量がもらえる(KDDI提供資料より、筆者撮影)

KDDIのオンライン専用ブランド「povo2.0」で、ローソンの店舗に行くと100MBのデータ容量をもらえる新サービスが年内に始まります。

データ容量をもらうためにローソンで買い物などをする必要はないとのことですが、KDDIにはどのようなメリットがあるのでしょうか。発表会で語られた内容から考えていきます。

ローソンに行くだけで100MBもらえる新サービス

povo2.0はKDDIの携帯電話回線を用いたオンライン専用のブランドで、データ容量などの「トッピング」を購入して自分好みにカスタマイズできるのが特徴です。

何もしなければ料金は月額0円になります。6か月ごとに何らかの購入をする必要はあるものの、数百円の支払いでOKとハードルは低く、安価に維持できる設計になっています。

そして本日、KDDIが三菱商事と共同経営することになったローソンとの新たな取り組みとして、お店に行くだけで100MBをもらえる「povo Data Oasis」(ポヴォデータオアシス)を発表しました。

年内開始予定のこのサービスでは、povo2.0の利用者なら、アプリ操作により1日1回100MBのデータ容量をチャージできるとのこと。上限は1か月に10回、最大1GBまでとなっています。

ローソンの店舗に行くと、アプリから1日1回100MB、月10回までデータチャージが可能になるという(KDDI提供資料)
ローソンの店舗に行くと、アプリから1日1回100MB、月10回までデータチャージが可能になるという(KDDI提供資料)

サービス提供の狙いについて、KDDIの高橋誠社長は、「主回線にトラブルがあったときや容量が上限に達したときにサブ回線としてお使いいただける。ローソンへの来店機会が増えることも期待している」と語っています。

KDDIは2022年に大規模な通信障害を起こしたことがあり、サブ回線の普及に取り組んでいます。ドコモやソフトバンク回線をメインに利用している人にとって、KDDI回線のpovo2.0は通信障害時のバックアップに適しています。

またサブブランドやMVNOでは、月末になると容量が足りなくなり、データチャージの需要が増えるとされています。povo2.0ならローソンに行くだけで100MBもらえるので、回線を持っておいて損はなさそうです。

なお、ローソンに来店したかどうかは位置情報などで判断しており、買い物などをする必要はないとのこと。ただ、そこはいろいろと仕掛けがあるようです。

アプリの画面イメージによると、ローソンの「からあげクン」のような商品とデータ容量を組み合わせたトッピングが用意されています。

以前にはこうしたセットが期間限定で提供されていました。来店したついでに買ってみる人は意外といそうです。

ソフトクリームやからあげクンとデータ容量をセットにしたトッピングが用意されるようだ(KDDI提供資料)
ソフトクリームやからあげクンとデータ容量をセットにしたトッピングが用意されるようだ(KDDI提供資料)

これまでは期間限定で提供されていた(KDDIのプレスリリースより)
これまでは期間限定で提供されていた(KDDIのプレスリリースより)

また、KDDIは10月2日にauスマートパスを「Pontaパス」にリニューアルします。povo2.0の利用者がローソンを訪れる機会が増えることで、Ponta経済圏にも足を踏み入れることになりそうです。

追記:

11月12日、KDDIはローソン店舗に1回来店するごとに0.1GB(最大で月10回)もらえる「povo Data Oasis」の詳細を発表。11月19日から始めるとしています。

全国のローソンでeSIMを販売へ

今回の発表でもう1つ興味深いのは、2024年度内に全国のローソンの店舗でpovo2.0のデータ専用eSIMを買えるようになるという点です。

全国のローソンでeSIMを販売するという(KDDI提供資料)
全国のローソンでeSIMを販売するという(KDDI提供資料)

KDDIによれば、POSAカードのような販売形態になり、povo2.0の新規契約やデータチャージが可能になるといいます。

一般に、オンライン契約なら理論的には全国のどこに住んでいる人でも契約できるはずですが、実際には都市部の情報感度の高い人が中心になりがちです。

その点、ローソンは全国にあるので、これまでオンライン専用だったpovo2.0が、一気に全国の実店舗における接点を得ることになります。

すでにローソンでは他社のプリペイドeSIMを取り扱っているようですが、そこにpovo2.0が加わることで、ローソンとの親和性の高さや安価に維持できるという特徴が際立つことになりそうです。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

山口健太の最近の記事