NY金15日:ギリシャ情勢の混乱、米指標悪化で反発
COMEX金8月限 前日比比6.60ドル高
始値 1,180.00ドル
高値 1,190.20ドル
安値 1,171.90ドル
終値 1,185.80ドル
為替相場がドル安気味に推移する中、反発した。
14日に行われたギリシャと債権団の交渉において、特に目立った進展が見られなかったことが警戒され、週明けのアジアタイムは買い優勢の展開になった。一定の進展も報告されているが、一層の改革を求める債権団に対して、ギリシャは改革に消極的なスタンスを崩しておらず、月末に迫る国際通貨基金(IMF)向けの債務支払いに向けてギリギリの交渉が続けられている。この問題は18日のユーロ圏財務相会合でも協議される予定だが、ギリシャのユーロ圏離脱の可能性も真剣に検討され始めており、リスク回避の動きが安全資産である金価格に対してポジティブに機能している。もっとも、こうしたギリシャ情勢はユーロに対してネガティブ材料(ドルに対してポジティブ材料)でもあり、欧州タイム入り後は逆に金相場を売り込むような動きも目立った。
ただニューヨークタイムに入ると、6月ニューヨーク連銀指数、5月鉱工業生産などの製造業関連指標が低調な数値になったことが、改めて金相場をサポートしている。6月16~17日には米連邦公開市場委員会(FOMC)の開催を控えているが、為替相場がドル安方向に振れたことで、引けにかけては一気にプラスサイドに切り返している。本格的に買い進むような動きまでは見られなかったが、FOMCに向けて更に大きく売り込むような動きも見られなかった。
FOMCでは特に政策変更は想定されておらず、利上げについての踏み込んだ言及も行われない見通し。ただ、今会合では参加者の経済予測も発表されるため、ここで強めの景気見通しが示されると、改めて利上げ着手の流れを織り込む動きが活発化する可能性がある。その際には、当然にドル建て金相場に対しては下落リスクが高まることになる。
ドルの通貨価値回復の流れが上値を圧迫する一方、ギリシャ債務問題が下値を支える不安定な相場環境に。月末から来月初めまではギリシャ情勢に絡んだ突発的な買いが膨らむリスクが残されている。ただ、従来通りに期限ギリギリで問題の先送りを促すような動きが見られれば、戻り局面は売り場との評価になる。