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『iPhone 7』は機種によって通信速度が異なる可能性。LTEモデムチップにIntel製も採用

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
今度のiPhoneはインテル入ってる。(写真:ロイター/アフロ)

今年秋に発売予定とみられている『iPhone 7(次期iPhone)』に、A9プロセッサーのときと同様に性能の違いがある可能性が出てきました。LTEモデムチップに、従来のQualcomm(クアルコム)製だけでなくIntel製も採用されるためです。

この「Intel製モデムチップ採用」の情報はアメリカのメディア『Bloomberg』が報じたもので、複数の関係者の話として「Appleは米国内ネットワークで仕様されるiPhoneにIntel製モデムチップを採用する」としています。

事情に詳しい複数の関係者によれば、アップルは米通信会社AT&Tの米国内ネットワークで使用されるアイフォーンにインテル製モデムチップを採用する。米国外で使われる他のタイプのアイフォーンも一部対象となる。ベライゾン・コミュニケーションズのネットワークで使用されるアイフォーンについては引き続きクアルコム製を搭載する。アイフォーンの現行モデルで使用されているモデムチップはクアルコム製のみ。クアルコムにとって極めて重要なのは、中国で販売されるアイフォーンにはクアルコム製のモデムチップが搭載されることだと、関係者らは述べた。

出典:米インテル、アップルからiPhone搭載用チップ受注-関係者 - Bloomberg

「モデムチップにIntel製を採用する」話は昨年より“可能性の話”としていくつものメディアが報じてきており、今回の報道はその噂を確定するものになります。おそらくAppleは、iPhoneを構成する主要パーツのマルチソース体制を整えたいのだと考えられます。

Qualcomm製とIntel製に通信速度の差

ユーザーにとっては主要パーツがどこであろうと関係ないように思われますが、ここで問題になってくるのが採用されるパーツの性能差です。

Intel製モデムチップには『Intel XMM 7360』が採用される予定で、このチップの通信速度は下り最大450Mbpsです。一方のQualcomm製モデムチップは『Qualcomm MDM9645』であり、こちらの通信速度は下り最大600Mbpsと性能が大きく異なります。

同じような性能差の問題は『iPhone 6s』のときにも起きました。このときはA9プロセッサーの製造元が韓国のSamsung製か台湾のTSMC製かによって性能が異なり、おもにバッテリー消費に問題が出るとの話でした。

当時、この件についてはAppleも認めており「バッテリー性能差は2~3%に留まる」とコメント。炎上するようにも見えましたが、続くいくつかの消費者団体の調査で「有意な差はみられない」となり、事態は収束していきました。

それと同じことが、今回のLTEモデムチップでも起きる可能性があります。まだ日本で発売されるiPhone 7がどのようなモデルになるかは分かりませんが、性能差があまりないようにうまく調整して欲しいものです。

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。インターネット(SNS)で起きる炎上の解説、デマのファクトチェック、スマホやガジェットの話題、生成AIが専門。最近はYouTubeでも活動しています。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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