小林可夢偉、スーパーフォーミュラの今季初テストは7番手。大きな存在感を示す!
3月9日(土)、10日(日)の2日間、鈴鹿サーキット(三重県)で「スーパーフォーミュラ」の今季初となる合同テストが開催された。今季より同レースに参戦する小林可夢偉にとっては、シーズン開幕に向けた本格的なテストということもあって注目が集まった。
2012年のF1日本グランプリ(鈴鹿サーキット)で3位表彰台を獲得し、日本中のF1ファンを沸かせた小林可夢偉が鈴鹿でどんなタイムを叩き出してくるか。可夢偉が走る姿を見ようと2日間のテストは平日であるにも関わらず、熱心なファンが数多くコースサイドやパドックに詰めかけた。
2日間の結果は総合7番手
鈴鹿サーキットは初日(9日)の午後が雨。そして2日目(10日)は午前中は突風が吹いただけでなく、最高気温も7度と降雪もあった寒い1日で、テストのコンディションは決して良いものとは言えなかった。
小林可夢偉の初日はトップから2秒落ちの1分40秒254で総合15番手(午後は雨の中5番手)。タイムは伸び悩んだものの、まずは慎重なスタートといったところ。
しかし、2日目には午前中が1分38秒640(8番手タイム)、午後が1分38秒150(6番手)と走るたびにタイムを削ってきた。テストの仕上げとなる最後の走行セッションでは、新品タイヤを履いてピットアウトした直後に他車のクラッシュが発生し、そのまま走行は終了となった。仮にアタックができていたらタイムを縮めていたかもしれないが、逆にライバルも最後のアタックチャンスを逃したために、小林可夢偉の本当の仕上がり具合、ポジションは分からないままテストは終了となった。
最終的には2日間のベストは1分38秒150。F1(ケータハム)で出したベストタイムの約1秒落ちのタイムまでは縮めてきたが、このタイムは中古タイヤで出したタイム。それで総合7番手は仕上がり上々といったところか。
謙虚な姿勢にも、圧倒的な存在感
2日目の最終走行セッション終了後、「KYGNUS SUNOCO Team Le Mans」の小林可夢偉と平川亮の2人が合同の囲み記者会見に応じた。
小林可夢偉は「鈴鹿サーキットで今まで乗っていたクルマ(F1)と比較して、自分の運転が良いのか悪いのか、(特に)高速コーナー(の仕上がり)をジャッジするという意味では大切なテストになりました」と2日間のテストを総括。
また、F1とスーパーフォーミュラの比較については「F1で僕が乗ったクルマ(ケータハム)が遅かったので何ともいえないですけど、間違いなくコーナリングスピードは速いし、グリップも良いので、鈴鹿を常に予選のような感じでレースできるっていうのは面白いと思います。非常に楽しめるクルマではないかと思う」と語る。
そして、ベストタイム1分38秒150については「テストなのでタイムをあまり意識することなくセッティングを変えて進めていった結果です。自分の中でも改善点はあるし、しっかりとこのクルマを理解してから自分の運転というのを作っていかないといけないなというのは確認できたので、そこが自分の中の収穫なので、あまりタイムは気にしていない」とあくまで謙虚な姿勢を見せる。
世界中のメディアがネタを探し、不用意な発言がその後のレース活動にも影響するF1時代と比べるとリラックスした様子で会見に応じていた小林可夢偉。彼自身は現段階ではまだスーパーフォーミュラに関して学びのタイミングにある現状をメディアに丁寧に説明していたのが印象的だった。
そして、彼はスーパーフォーミュラへの参戦を通じて、日本のモータースポーツをもっとメジャーにしたいという意思も強調する。
「このレースはいっぱいお客さんが来れば来るほど盛り上がる。ガラガラだと単純に臨場感が無さすぎて楽しくないですよね。それくらいこのレースは楽しいし、それは間違いない。今までのモータースポーツファンって、昔、F1にマンセルやセナが居て盛り上がっていた時代はクルマ勝負じゃなくて、もっとドライバー勝負な所を見ていたじゃないですか。今のF1にスター性のあるドライバーは居ないかもしれないですけど、それを見いだすのは、やっぱりファンだと思う。ぜひ(スーパーフォーミュラの開催サーキットに)来場して、ドライバーのキャラクターを見つけて、応援してあげて欲しい」と最後にはファンへのメッセージを熱く語っていた。
ルーキーと呼んでもらえない存在
今年、小林がレギュラー参戦するレースは「スーパーフォーミュラ」のみ。元F1ドライバーとしての肩書きを背負っての参戦だけに、世間からの注目度が大きい反面、常に結果を期待される1年になる。
「まだまだ勉強中です。あと1回しかテストがないのでヤバイなとは思う」と本人が語る通り、開幕戦の鈴鹿(4/19決勝)までに残されたテスト走行のチャンスは3月後半の岡山国際サーキットでの1回のみ。このレースの中ではルーキーなのに、ルーキーと言わせてもらえない小林可夢偉が開幕戦までに「学び」をまとめて仕上げてくるか、今季は可夢偉の動向から目が離せなくなりそうだ。