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今年達成が期待される「投手の金字塔」。チームメイトが同時に200勝と200セーブの可能性も

宇根夏樹ベースボール・ライター
マックス・シャーザー Sep 29, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 通算200勝以上の投手は、511勝のサイ・ヤングを筆頭に、119人を数える。ナ・リーグとア・リーグ以外のリーグで挙げた白星を除くと、116人となる。現役投手は、ジャスティン・バーランダー(ヒューストン・アストロズ)とザック・グレインキー(カンザスシティ・ロイヤルズ)の2人だ。それぞれ、226勝と219勝を挙げている。そこに、今シーズンは、マックス・シャーザー(ニューヨーク・メッツ)が加わりそうだ。200勝まであと10勝。簡単な数ではないものの、2010年以降の12シーズン中、シャーザーの白星が二桁に届かなかったのは、短縮シーズンの2020年(5勝)しかない。

 シャーザーに次いで200勝に近い2人の現役投手、クレイトン・カーショウ(ロサンゼルス・ドジャース)とアダム・ウェインライト(セントルイス・カーディナルス)は、到達まで15勝と16勝だ。どちらも、すべての白星を1チームで積み重ねてきた。ウェインライトが最初に在籍したのはアトランタ・ブレーブスだが、メジャーデビュー前にカーディナルスへ移った。現在の年齢は40歳。カーショウは、3月19日に34歳となる。ちなみに、シャーザーは、2人のちょうど間、37歳だ。

 カーショウとウェインライトは、昨年9月にシャーザーが到達した2500イニングにも、近づいている。あと45.1イニングのカーショウはまず間違いなく、あと124.1イニングのウェインライトも、長期離脱さえなければ、たどり着くだろう。アービン・サンタナは、あと13.1イニングながら、現役続行の意思があるのかないのか、あったとしても契約を得られるのかどうか、わからない。年齢は39歳だ。

筆者作成
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 クレイグ・キンブレル(シカゴ・ホワイトソックス)は、ここから28セーブを挙げると、史上7人目の400セーブとなる。もっとも、ホワイトソックスのクローザーは、リーアム・ヘンドリクスだ。昨シーズン、キンブレルはシカゴ・カブスで23セーブを挙げたが、夏にホワイトソックスへ移籍後は1セーブにとどまった。今シーズンも、役割は変わらない。400セーブまで50セーブのケンリー・ジャンセンは、まだ球団が決まっていない。到達するには、クローザーとして迎えられ、そこで自己最多を上回るセーブを挙げる必要がある。

 エドウィン・ディアズ(メッツ)は、あと27セーブで200セーブに到達する。こちらの達成者は52人。チームメイトのシャーザーとディアズは、200勝と200セーブを同時に達成する可能性もある。昨シーズン、シャーザーの10勝目は8月15日、ディアズの27セーブ目は8月31日だった。

 なお、154セーブのザック・ブリットン(ニューヨーク・ヤンキース)は、昨年9月にトミー・ジョン手術を受け、今シーズンは全休となりそうだ。2018年の夏にボルティモア・オリオールズからヤンキースへ移籍後は、計15セーブ。ヤンキースには、アロルディス・チャップマンがいる。

 この他、ダルビッシュ有(サンディエゴ・パドレス)の100勝到達は来シーズンだろうが、今シーズンの初白星により、79勝の黒田博樹を追い抜き、日本人投手の単独2位に浮上する。日本人投手の最多は、123勝の野茂英雄だ。ライセル・イグレシアス(ロサンゼルス・エンジェルス)は、200セーブまで60セーブ。1シーズンに60セーブ以上は、2008年にエンジェルスで62セーブのフランシスコ・ロドリゲスだけだ。この年のエンジェルスは、両リーグ最多の100勝を挙げた。

 打者編は、こちらで書いた。

「今年達成が期待される「打者の金字塔」。カブレラとアップトンが迫る「2000」は、これまで6人だけ」

 日本プロ野球の投手編は、こちら。

「今年達成されそうな投手の記録。和田と岸は150勝、石川は3000イニング、平野は200セーブ…」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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