新興国のモバイル普及状況が気になるので調べてみた
新興国でも進む携帯電話、スマホの普及
持ち運びが容易にでき、通話やSMS(ショートメッセージサービス)を利用できる携帯電話、そしてその携帯電話をインターネットの窓口にすることが可能な、パソコン並の機能を実装したスマートフォンの登場は、人々の情報入手やコミュニケーションの様相を大きく変化させる力を持つ。その力による世の中の変化は先進国だけでなく、むしろ他のインフラの整備が立ち遅れ気味な新興国において著しい。
それでは現状において、新興諸国ではどの程度まで携帯電話、そしてスマートフォンが普及しているのだろうか。米大手調査機関Pew Research Centerが2014年2月に発表した調査報告書「Emerging Nations Embrace Internet, Mobile Technology」から、その実情を探っていく。この調査は対面調査方式によるもので、調査方法による偏り(インターネット経由で調査するとデジタル系アイテムの項目は世間一般より高い値が出やすい)は考慮しなくても良い。
その調査結果によれば対象となる24か国の成人(18歳以上)の携帯電話、そのうちスマートフォンの所有率は次の通り。最低値を示したパキスタンでも半数の人が、中国やヨルダンでは95%もの人が携帯電話を有している。
新興国では一部でイメージされている以上に携帯電話の普及が進んでいる。SMS(ショートメッセージサービス)を活用し、ビジネスに役立てる事例も数多く見られる。
報告書では新興国のモバイル普及に関して、通信インフラの整備の際に、先進国のような「固定電話から携帯電話の普及浸透の変化過程」ではなく、固定電話をパスする形で「何もないところから携帯電話の普及浸透」というプロセスを踏んでいると指摘している。先進国でも固定電話の利用者が漸減し、携帯電話のみの世帯も増えていることを思い返せば、当然の結果ではある。
携帯電話全体の所有率と比べれば低めだが、スマートフォンの所有率も案外高めな値を示している。一部の国を除けば最低でも1割、携帯電話所有率上位の国では2割から3割が普通に達している。また具体的値は提示されていないが、全般的には教育水準が高い人ほど(≒所得が高い人ほど)スマートフォンの所有率は高くなる。
決済手段として使われる携帯電話
新興国で携帯電話が普及する背景には、上記で触れた「電話インフラの整備」、そしてインターネットへのアクセス窓口としてだけでなく、決済手段としても多用されるという背景がある。
「新興国とスマートフォンの躍進ぶりを改めて納得・ケニアのケース」などでも解説しているが、情報インフラが立ち遅れていたアフリカ諸国では、携帯電話が普及すると共に、情報伝達の観点で革命的なまでの動きが見受けられる。個人、小規模ベースでもお金のやり取りやビジネスを携帯電話を活用することで、仕事の領域・可能性が桁違いに広がりを見せることになる。ケニアやウガンダを筆頭に、アフリカ諸国では携帯電話が決済手段として大いに活躍している。
携帯電話の普及は情報そのものだけでなく、その情報を活かす形で、人々の生活、考え方に変化をもたらしている。今後ウェブサービスの多様化、回線インフラの高速化、そして高機能を有しインターネットという新時代の世界への切符となるスマートフォンの普及が進むに連れて、この変化はさらに推し進められていくに違いない。
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