キャサリン妃、化学療法終了も完全復帰の道遠し
■「ただ愛し、愛されることを」
[ロンドン発]1月に腹部手術、3月にがん治療を告白、6月チャールズ国王の誕生日を祝う行事で公務に限定復帰したキャサリン皇太子妃が9月9日、Xに家族の動画を投稿し「暗闇から光は生まれます。だから、その光を明るく輝かせて」と化学治療を終えたことを報告した。
キャサリン妃のメッセージは次の通りだ。
夏も終わりに近づき、ようやく化学療法を終えることができ、どんなにホッとしているか分かりません。
この9カ月間は家族にとって信じられないほど辛い日々でした。ご存知のように人生は一瞬にして変わり、私たちは荒波と未知の道を進む方法を見つけなければなりませんでした。
がんの旅は、誰にとっても、特に身近な人にとっても、複雑で、怖く、予測不可能なものです。
謙虚になることで、これまで考えたこともなかったような形で自分自身の弱さに直面することになり、それによってあらゆるものに対する新たな視点が生まれました。
この時間は何よりも、ウィリアム(皇太子)と私に、人生においてシンプルでありながら重要なこと、そして、それに感謝することを思い出させてくれました。ただ愛し、愛されることを。
がんにならないためにできることをすることに集中しています。化学療法は終わりましたが、治癒と完全回復への道のりは長く、一日一日を大切に過ごしていかなければなりません。
今後数カ月のうちに公務に復帰し、可能な限り人前で仕事をすることを楽しみにしています。
これまでいろいろなことがありましたが、私は希望と人生への感謝の気持ちを新たにして回復の新たな段階を迎えます。
ウィリアムと私は、私たちが受けてきたサポートにとても感謝しており、私たちを助けてくれているすべての人々から大きな力をもらっています。皆さんの優しさ、共感、思いやりに本当に心が動かされました。
それぞれのがんの旅を続けているすべての人たちへ、私はあなた方と手を取り合い、共に歩んでいきます。暗闇から光は生まれます。だからその光を明るく輝かせてください。(了)
■「まだ森から出ていない」
キャサリン妃は6月14日、Xに写真を添えて「化学療法を受けている人なら誰でも知っているように良い日と悪い日があります。悪い日には弱さや疲れを感じ、体を休ませざるを得なくなります。私の治療は現在も続いており、あと数カ月はかかる予定です」と報告。
翌15日にはチャールズ国王の誕生日を祝う毎年恒例の行事に参加。「まだ森から出ていないことも分かっています」と回復の道のりが遠いことをにおわせていた。
「夏にはいくつかの公的な行事に参加したい」と望み、7月にテニスのウィンブルドン選手権男子シングルスの優勝選手にトロフィーを授与したものの、完全復帰への道のりはまだ遠そうだ。
これまでの経過は次の通りだ。1月17日、ケンジントン宮殿は「皇太子妃は昨日、腹部手術のためロンドン・クリニックに入院した。手術は成功し、10日から14日間入院し、その後自宅に戻って療養する予定だ」と緊急発表。
母の日の3月10日、キャサリン妃は子ども3人に囲まれた家族写真を公開したが、加工されていたため通信社から配信を撤回され、翌11日「私も時折編集を試みる」と謝罪。同月22日、がんで予防的な化学療法を受けていることをビデオメッセージで告白していた。
■心許ない英王室の未来
英世論調査会社ユーガブによると、英国人の63%がチャールズ国王に好感を抱いているのに対し、ウィリアム皇太子は75%、キャサリン妃は74%と国王を上回っている。カミラ王妃は49%だ。ただ18~24歳の若者層に絞ってみると、英王室の未来は心許ない。
好感を抱く若者層はチャールズ国王25%、カミラ王妃13%、ウィリアム皇太子48%、キャサリン妃41%。好感を持たない人を差し引いたネット支持率はチャールズ国王マイナス28ポイント、カミラ王妃マイナス51ポイント、ウィリアム皇太子20ポイント、キャサリン妃23ポイント。
キャサリン妃がこの日、投稿した動画はウィリアム皇太子、ジョージ王子、シャーロット王女、ルイ王子と家族5人が素顔で過ごす伝統的な家族観を映し出している。英王室の未来はこの家族の柱であるキャサリン妃にかかっていると言っても過言ではあるまい。