【京都市右京区】葛飾北斎富嶽36景を「手織りつづれ」で精巧に再現! 風神雷神や在りし日の京の市電も
まだまだ暑い日が続いています。暦の上ではとうに秋なのですが、「秋の実感なんて、まったくないよ」と思われている人も多いですよね。そんな中、2024年9月12日に嵐山の竹林の小径を訪れてみると、照り付ける強い日差しの中でもインバウンドの人たちや秋ツアーが始まった修学旅行生たちで歩けないほど溢れかえっていました。
メインストリートから少し入ったところにある「ART GALLERY シグナス」では、「北斎とつづれ織り」展が開催されていました。館内に入ると葛飾北斎の有名画9枚が先ず目に飛び込んできます。写真か絵画かと見まごうほどに精巧な匠の技のタペストリーは京都の伝統織物である「つづれ織り」で制作されたものだそう。
草木染めが醸し出す自然の色の糸を使ったこれらの逸品は、手織りつづれ工房「河野」の河野茂さんの作品です。年に三作品ほどしか作れないほど手間がかかりますが、北斎の富嶽36景は実際には46枚あって、あと35枚「がんばって仕上げていきたい」と話します。他にも名刺入れ、財布、がま口など、また市電や風神・雷神などの京都の風景などを織り込んだ作品が展示してありました。
そして、その草木染のストールや衣服を始め、バッグなど店内に並んでいたのは、手織りつづれ工房「河野」の河野淳子さんによって制作された作品の数々が並んでいます。自宅で栽培した花を摘んで天日乾燥して染料に仕上げたというマリーゴールド始め、藍、あかね、コーヒー豆やパール、緑茶、にんじんなども彩りを飾る素材になるのだとか。
河野ご夫妻は、お母さまが守り続けた「手織りつづれ」の伝統技法を受け継ぎ、京都府大山崎町の自然に包まれた住宅街の一画で夫婦で工房を営んでいます。「手織りつづれ」は、京都の御室仁和寺が発祥地と言われていて、正絹を使い、柄を一つ一つ爪で織り込んでいく(爪織り)は、大変手間のかかる伝統的な技法です。
異なる色糸を撚り合わせてぼかしたり、くっきりとした境界線を表したり、さまざまな技法を駆使して柄を描いていきます。機械織りでは味わえない布の風合いと手仕事ならではの自由なデザインを楽しめます。
この技術を継承しているのは、京都府でも数軒と言われています。圧巻の展示会に出かけてみてください!
手織りつづれ工房「河野」(外部リンク)京都府乙訓郡大山崎町円明寺薬師前65-8 075-952-7473
「ART GALLERY シグナス」京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町23