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「10K」とは何を意味している?テーラーメイドやピンが謳うドライバーのやさしさとは【ゴルフ】

野洲明ゴルフ活動家

テーラーメイドやピンの新作ドライバーでは「10K(テンケー)」を謳っている。これは、ヘッドの慣性モーメントのこと。

数値が大きいほど、回転しにくく、ブレにくい。10K=10,000。

慣性モーメントの値は「グラム立方センチメートル」で表され、10Kを謳っているドライバーは10,000グラム立方センチメートルを超える慣性モーメントを有しているということになる。

ブレにくさ、は、2つに分ける必要がある。「左右」と「上下」だ。

左右の慣性モーメントには規定上、5,900という上限が設けられている。この規定を守りながら、左右と上下、合計の慣性モーメントが10,000を超えているのが10Kドライバーなのだ。

2つの慣性モーメント

左右の慣性モーメント

左右の慣性モーメントが大きいほど、ヘッドの内部重心を中心軸にした、左右の回転が抑えられ、方向が安定しやすい。

左右の回転のブレが抑えられる。赤い点が内部重心
左右の回転のブレが抑えられる。赤い点が内部重心

上下の慣性モーメント

上下の慣性モーメントが大きいほど、ヘッドの内部重心を中心軸にした、上下の回転が抑えられ、高さが安定しやすい。

上下の回転のブレが抑えられる。赤い点が内部重心
上下の回転のブレが抑えられる。赤い点が内部重心

操作性との兼ね合い

「ブレない」「ミスヒットに強い」となれば、良いことしかない、と感じるかもしれないが、デメリットもある。

それは、操作性が損なわれやすくなる、という点だ。

慣性モーメントが大きいクラブはヘッドを回しにくい。そうなると、スイング中、フェースの開閉を積極的に使うことが難しくなる。

それは、テクニックを駆使しにくくなる、というだけでなく、始動からダウンスイングのどこかの局面でフェースが開く度合が大きくなると、そこからフェースをスクエアに戻しにくくなる、ということ。

クセが強いスイングをしているゴルファーにとっては、10Kはマイナスに働く場合があるかもしれないのだ。

また、操作性があるアイアンを使っていて、ドライバーの性能との違いが大きくなると、ドライバーとアイアンの両立をコースラウンドで表現することが難しくなる。

ドライバーは、アイアンとの兼ね合いもふまえて、選んでいきたい。

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ゴルフ活動家

スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとに、論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。

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