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大谷翔平を凌駕する?!レッズのロレンゼンが目論む“先発投手兼先発外野手”の二刀流

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
オンライン会見でメディアの質問に答えるマイケル・ロレンゼン投手(筆者撮影)

【先発ローテーション入り目指すロレンゼン投手】

 2年越しで二刀流の完全復活を目指す大谷翔平選手に、強力なライバルが出現しそうだ。

 レッズの二刀流選手として知られるマイケル・ロレンゼン選手が、今シーズンは先発ローテーション入りと先発外野手としての出場を目指し、スプリングトレーニングで調整を続けている。

【2015年からMLBで二刀流を継続】

 ロレンゼン投手は大学時代から“リリーフ投手兼外野手”の二刀流選手として活躍。2013年にレッズからドラフト1巡目指名を受けプロ入りした後も、二刀流を継続してきた。

 そして2015年4月にMLB初昇格を果たし、投手として主に先発を任せられながら代打として起用されMLBでも二刀流で起用。2016年以降はリリーフ投手に転向し、2018年からは代打のみならず外野手としても起用されるようになっていった。

 ロレンゼン選手が二刀流として最も活躍した2019年は、投手として73試合に登板し、1勝4敗7セーブ、防御率2.92を記録するとともに、外野手として29試合に出場し、中堅手として5試合に先発している。

 短縮シーズンで実施された昨年は、シーズン終盤で2試合先発投手を務めるなどして、今シーズンは5番手として先発ローテン入りが期待されている。

【先発投手の方が二刀流として起用しやすい?】

 もちろんロレンゼン選手も先発ローテーション入りに強い意欲を示している。現地時間の2月20日に実施されたオンライン会見で、以下のように話している。

 「時間と経験を費やしながら、焦ることなく、その一方で少しでも早く成長できるよう頑張ってきた。現在は必要なスキルを身につけ、自分なりの強みを得て、自分がどんな投手であるかを理解できている。今年は(先発ローテーション入りし)180イニング以上投げてみたい。

 自分としては(投手として)先発した方が、他のツールを最大限に生かせると思っている。現在は(選手を起用する上で)ゲームプランニングが複雑なのは理解しているが、デビッド(・ベル監督)やコーチ陣がより簡単に指揮できると思う」

【登板日翌日以外は出場可能と断言】

 ロレンゼン選手が指摘するように、これまでのようにリリーフ投手として準備していると、どうしても投手以外での出場機会が難しくなってくる。それが先発投手として起用された場合明確な空き日ができるため、外野手や代打なので起用しやすくなる。

 ロレンゼン選手は、すでに先発ローテーション入りした場合の起用について青写真も描いているようだ。

 「先発した翌日は休みが欲しいが、個人的にはそれで十分だ。もちろん監督やコーチが決定することだが、もし先発前日の試合で自分を起用する価値があると考えるなら、自分は問題ない。

 ただ登板翌日だけは身体的かつメンタル的にリカバリーさせなければならないが、登板2日後なら自分はいけるよ」

 もしベル監督が、ロレンゼン選手が思い描く青写真通りの起用法を採用するなら、今シーズンの彼は、投手、先発外野手、代打、守備固め、代走(2019年に5盗塁を記録)の起用が想定される。まさに大谷選手を上回るマルチな活躍が可能になってくる。

 ロレンゼン選手の野望を実現するためにも、まずはスプリングトレーニングで先発ローテーション入りを勝ち取ることが最低条件となる。オープン戦での彼の投球に注目したいところだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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