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パラ卓球トップ・アスリートによる普及パフォーマンス!

佐々木延江国際障害者スポーツ写真連絡協議会パラフォト代表
チームマッチで勝利したリベンジチームの板井淳記(旭化成) 写真・岡田友貴

 第2回JPTT ultimate team match

 パラ卓球・立位クラスの有力選手らがプロデュースする、ある試み「第2回JPTT ultimate team match」が、東京都練馬区にある中村南スポーツ交流センターで8月5日(日)開催された。

 会場には近隣の親子連れを中心に、仲間同士、クラブのチーム・ユニフォームを着用したり、ラケットなどを手にした子供たちの姿もあった。

 この試みは、昨年、日本のパラリンピック発祥の地・大分で始まった。

 「(ハイレベルな)プレーが一番の普及につながる」と、第1回を企画、地元で開催した、ロンドンパラリンピック日本代表・板井淳記(旭化成)は言う。

 2回目の今年は、リオパラリンピック日本代表、若きエースと評される岩渕幸洋(協和発酵キリン)が企画を担当。岩渕選手の地元でもあり、パラリンピックを2年後に控える東京に舞台を移した。

企画を担当した岩渕幸洋(協和発酵キリン/クラス9) 写真・水口之孝
企画を担当した岩渕幸洋(協和発酵キリン/クラス9) 写真・水口之孝

 「パラ卓球は、全国大会もありますが、なかなか生で見に行けませんよね。また、大きな大会は観客に見せるための会場作りをしていないので見づらいという側面もあります。

 最近、2020に向け体験型のイベントは増えてきたように感じますが、ここではパラ卓球のトップ選手が真剣勝負をする場を身近に見ていただけたらと思っています。今回多くの方々にご来場いただけて、選手のプレーを直接見ていただけて良かったと思っています」と岩渕。

 会場には1台の卓球台がステージのように配置された会場がセットされた。自由席で、卓球台にかなり近い席も多く準備していた。

観戦力を高めるデモンストレーション

同じレベルの障害を想定し装具などで固定してプレーする健常者トップアスリート・平野友樹(協和発酵キリン)観戦力を高めるデモンストレーションマッチで 写真・岡田友貴
同じレベルの障害を想定し装具などで固定してプレーする健常者トップアスリート・平野友樹(協和発酵キリン)観戦力を高めるデモンストレーションマッチで 写真・岡田友貴

 また今回の企画では、岩渕と同じ協和発酵キリンに所属し共に練習に励む(健常者)日本リーグのトップアスリート、全日本選手権3位の平野友樹に出演協力してもらいラリーや障害別に選手と模擬試合を行った。各クラスの障害による条件を想定し、平野選手の体や足を装具で固定、ハンディを負荷して対戦。どんな障害があり、どんなふうに戦えるのかを集まった多くの人々と模索した。

 東京では、2020に向けてパラ競技普及のさまざまなイベントが増えている。そんな中で、選手みずからのアイデア「魅せる卓球」を展開し、試合形式にこだわる取り組みはパラ卓球の他に例をみない。この日だけで300名近い集客もあった。

 見どころは、選手自身が発想し、卓球にかける思いをパフォーマンスに託している点だ。開催費用や準備からの全てに、実行委員のアスリートの知恵と工夫が詰まっているだけに、ユニークで、熱い。

今後の普及活動について

デモンストレーションでの岩渕(パラ代表)VS平野(一般トップ)の対決も迫力があった。 写真・岡田友貴
デモンストレーションでの岩渕(パラ代表)VS平野(一般トップ)の対決も迫力があった。 写真・岡田友貴

 「普及は周囲に任せて、選手は練習すべきという声もあります。もちろん2020に向け、これまで支えてくれた家族や協力者のためにも練習を減らすべきではない。練習をやりながら、見せる意識を高め、集中する。真剣な姿をみせて、強い興味を持ってもらいたい」第1回目を立ち上げた板井は、それが相乗効果になり、観客を育てるという。

 また岩渕も「2020年に向けた注目の機会に、間近で、真剣勝負を見てもらいたい。開催場所は東京にこだわらず、別の都市で第3回目、4回目と活動を続けていきたいと思っています」と話していた。若いリーダーとして今回大きな役割を果たした。

チームマッチを戦い普及の1日を終えた選手とスタッフ 写真・岡田友貴
チームマッチを戦い普及の1日を終えた選手とスタッフ 写真・岡田友貴

 選手たちは、日本選手権で1位(=チャンピオンチーム)5名、2位(リベンジチーム)の5名、合計10名のトップアスリートたち。ほとんどの選手たちは10月にジャカルタ(インドネシア)で行われるアジアパラ日本代表に出場する予定。

国際障害者スポーツ写真連絡協議会パラフォト代表

パラスポーツを伝えるファンのメディア「パラフォト」(国際障害者スポーツ写真連絡協議会)代表。2000年シドニー大会から夏・冬のパラリンピックをNPOメディアのチームで取材。パラアスリートの感性や現地観戦・交流によるインスピレーションでパラスポーツの街づくりが進むことを願っている。

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