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ジャネット・ジャクソン、アッシャーらのダンサーを務めるCahogoldが語る“一流の証”とは

中西正男芸能記者
ロサンゼルスを拠点にするダンサーのCahogoldさん(この写真のみ事務所提供)

 AI、安室奈美恵、ジェイソン・デルーロ、ジャネット・ジャクソン、アッシャーらのダンサーを務め、世界を舞台に活動するCahogoldさん(27)。米・ロサンゼルスを拠点に、まさにワールドワイドに存在感を示していますが、トップアーティストと触れる中で感じた“一流の証”とは。

「なんで、あそこに自分がいないんだろう」

 4年前から基本的にはロサンゼルスに住んでいます。日本にはアーティストビザの更新だとか、こちらでのお仕事がある時に戻ってくる感じですね。

 もともと、私は3歳からダンスを始めて、目立つことが大好きだったんです。小学校の文化祭でもマイケル・ジャクソンのダンスをしたり(笑)。そこからヒップホップに力を入れて、世界に通用するダンサーになりたいと思ったのが高校の時でした。

 たまたま映像でビヨンセのステージを見ていて、そこにいる一人のダンサーを見た時に、すごく悔しくなったんです。「なんで、あそこに自分がいないんだろう」って。

 「絶対に、あの人を越えてみせる」。なぜか、瞬間的にそう思ったんです。そこから、海外に目を向けるというか、何をどうしたらあの世界に行けるのか。それを考え出しました。

 そんな中、テレビ番組の企画でブロードウェイでも通用するパフォーマーを育成するというものがあり、私の師匠にあたる(世界的ダンサーの)ヒントン・バトルがプロデューサー的な立場で参加していたんです。

 世界への扉が見えた気がして応募したところ、5次選考まで残り、ニューヨークで実際に2カ月間、ステージに立つという機会をいただきました。

 その時は大学1年生。たった2カ月なんですけど、私にとっては本当に大きな時間でした。ニューヨークに行く前は、正直、大学を休学することも不安だったというか、学生という立場がなくなってプロダンサーという形になることへの怖さもあったんです。

 でも、その2カ月で新しいお仕事の話をいただいたり、自分の中で自信を獲得できたんです。なので、2カ月後、大学を辞めました。そこからはもう学生でもない。完全にプロのダンサーとしてやる決意をしたんです。

 実際、アメリカでダンスの仕事を始めてポンポンお仕事が決まっていきました。渡米したのが2018年だったんですけど、仕事が途切れることなく入ってきて。

 ただ、去年からの新型コロナ禍で状況が一変しました。2020年3月、ライブツアーのリハーサル2日前に全てのステージがキャンセルになり、仕事がない状況にもなりました。

 エンターテインメントの世界の弱さというか、ダンサーで保険もないし、保証もないし、お仕事があればいいんですけど、なくなると全てがゼロになってしまう。大きな壁にもぶち当たったんですけど、幸い、人に恵まれて、なんとか今はお仕事ができています。このお仕事は、結局は人の魅力というか、繋がりというか、そこも本当に大切だなとも思いました。

一流とは

 そして、世界的に活躍する一流のアーティストのみなさんは人間としても一流。それも痛感しました。

 私が日本で最初に仕事をさせてもらったのがアーティストのAIさんでした。全国ツアーにダンサーとして1年間参加させてもらったんですけど、気遣いに驚きました。

 どんな人にも本当に優しいですし、控え室でも気づいたらAIさんがスタッフさん全員にお味噌汁を配ってたりだとか、ポーズでやるとかではなく、本当にみんなに対して分け隔てなく優しくて、朗らかなんです。

 あと、私が感動したのがジャネット・ジャクソンです。私たちダンサーにもすごく優しくて、ツアーで公演のない日は自分のホテルに私たちを招いてくれて、みんなでプールで遊んだり食事をしたりするんです。「みんながどんな人かを知りたいから、楽しく過ごしましょう」と言って。

 何百人もいるスタッフさん全員の名前を覚えていますし、そういう姿を目の当たりにすると、一流とは何なのか。それを痛感しました。

 私がなぜ踊っているかというと「自分のダンスでアジアの人たちの人生を変える」という夢を実現するためなんです。アメリカにいると、アジア人のアーティストがすごく少ないですし、なかなか世に出る機会もない。その壁をぶち破ることができたらなと。そして、Cahogoldというスタイルを世界に広めていけたらなと思っているんです。

 大きな話になっちゃいましたけど(笑)、いつの日か、本当にそれを実現できるように頑張りたいと思っています。

(撮影・中西正男)

■Cahogold(カホゴールド)

1994年6月22日生まれ。愛知県出身。本名・北折香保里。身長170センチ。2014年に世界的ダンサー、振付師のヒントン・バトル氏が手掛けたブロードウェイダンサー発掘オーディション「Road to Broadway」で勝ち上がり、ダンスの世界へ。17年12月から米・ロサンゼルスを拠点に活動を開始する。17年にはアーティスト・AIのバックダンサーとして全国51公演に出演。18年には安室奈美恵さんの「In Two」のミュージックビデオに出演。また、ジェイソン・デルーロ、Ciaraらの専属ダンサーを務め、ジャネット・ジャクソンやアッシャーのダンサーも務める。吉本興業の教育機関による「よしもとアカデミー学園祭2021in東京」(10月9日、10日、時事通信ホール)内の企画「HBDA PERFORMANCE」(9日)にも振付師として参加している。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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