中教審は「教員の働き方改革」を真面目に考えているのだろうか
いまや教員の過重労働が社会的関心事であることは否定できないのだが、「責任逃れ」ばかりが目立つのが現状である。これでは、根本的な「働き方改革」の実現など、期待するほうが無理なのかもしれない。
文部科学省(文科省)の審議会である中央教育審議会(中教審)は1月25日、教員の働き方改革についての答申「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について」を柴山昌彦文科相に提出した。
答申では、教員の残業時間を「原則、月45時間」としている。月80時間を超える残業時間をこなしている教員が小学校で全体の3割、中学校では6割を超えている現状からいえば、かなり大胆な削減案である。
ただし、それを実現する具体策については「あやふや過ぎる」のだ。
残業時間が長くなっている理由について、次の3点をあげている。
1.年齢が若い教員が多い
2.総授業時数の増加
3.中学校における部活動の指導時間の増加
1については、「若い教員の仕事は効率が悪い」といっているにすぎない。3も、「部活動は辞めろ」というわけだ。「現場が悪い」といっているだけのことで、「教師自身において自らの働き方を見直していくことも必要」と念押ししている。
2で総授業時数が多いといいながらも、具体的に「減らせ」との提言は見あたらない。不思議である。
総授業時数も増えているし、残業時間が増えているのも事実だと認めながら、「だから、現場で効率化に努めろ」といっているのだ。教員数を増やすことも、予算を増やすことも要求していない。
結局のところ、「国も文科省も何もしなくていい」というお墨付きを与えただけのことで、「現場で解決しろ」と押しつけているにすぎない。これでは、学校現場での「働き方改革」が前進していくはずがない。
中教審も実効性のある答申をだすべきだし、中教審の「お墨付き」に甘えることなく、国も文科省も実効性のある策を真摯に考え、実行すべきではないだろうか。