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NY金13日:米小売売上高を受けて大幅続伸

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

COMEX金6月限 前日比比25.80ドル高

始値 1,192.50ドル

高値 1,218.50ドル

安値 1,190.40ドル

終値 1,218.20ドル

4月米小売売上高が市場予測を下回ったことを受けて、大幅続伸となった。

アジア・欧州タイムは新規手掛かり難から1,190ドル台前半を中心に揉み合う展開になったが、小売売上高発表後に為替相場が大きくドル安方向に振れた動きと連動して、金相場は一気に上値追いの展開になっている。米消費支出が予想以上に伸び悩んでいることが示されたことで、早期利上げ観測の後退がドルにネガティブ、金にポジティブと評価されている。1,200ドルの節目突破でチャート主導のストップロスも巻き込む形になり、一気に上げ幅を拡大した。1,215ドル水準で上げ一服となるも、本日の高値水準を維持して引けている。

引き続き、主要経済指標に過剰とも言える反応を示す傾向が見受けられる。4月米小売売上高は前月比横ばいとなっており、特別にネガティブな数値になった訳ではない。ただ、市場予測+0.2%を下回ったのは事実であり、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げを強力に後押しする内容にならなかったことが、ドル売り・金買いを促している。

3月分が速報の+0.9%から+1.1%まで上方修正されていることを考慮すれば、2ヶ月累計では想定通りとの評価も可能だった。しかし、4月は自動車・同部品が-0.4%、家具が-0.9%、電気製品が-0.4%など、必ずしも生活に必要不可欠ではない財の売り上げが落ち込んでいることで、米消費者マインドの改善の遅れに対する警戒感が、改めて金相場を押し上げた。

引き続き、利上げ時期について日々発表される経済指標から推測する他はない以上、日々の値動きは荒れるものの、トレンド形成は困難な地合が続き易い。今週最大のイベントとみていた小売売上高を手掛かりに改めて売り込む動きに失敗した以上、次にトレンド形成を打診するのは5月20日引け後に予定されている米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(4月28~29日開催分)になるだろう。基調としては金からドルに対する資金シフトの動きは継続すると考えているが、その流れを確信させるような材料が要求されるステージが続いている。今後も経済指標の結果に一喜一憂する不安定な相場展開が続くことになる。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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