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ローカル線沿いに佇む大繁盛店。満腹の焼鳥10本コースは希少部位も【鳥すけ/千葉】

今回、冒険するのは千葉県・松戸市新松戸の「鳥すけ」。新松戸駅のまわりに繁華街らしい場所はないものの、歩いてみればポツリポツリと飲み屋が目に入る。お目当ての「鳥すけ」があるのは流鉄流山線の線路沿い。道路と高低差がなく、線路越しに見る提灯にぐっとくる。こういうロケーションも含めての、町焼鳥だ。

希少部位も含めた10本コース

千葉県民のツレと店に辿り着いたのは20時。引き戸を開けてみれば、カウンターもテーブルも仕事帰りの客でびっしりだ。カウンターにポッと空いた2席。「飛び込みだとそうそう入れない」と聞いていたものだから、予約をしておいて大正解。

瓶ビールで息を整えるのはお約束。メニューを見てみれば焼鳥はアラカルトのほか、5本と10本のコースも。常連ならアラカルトで気ままにいくところなのかもしれないけれど、ここはしっかり10本コースで。お通しにサラダ、スープも付いて2,880円とお手頃だ。

ささみ
ささみ

どうやら10本コースはネタの内容も決まっているようだ(メニューにも書いてある)。まずは、定番のささみから。ささみというと最近はレア焼きのものも多いけれど、ここはふっくら、しっとりと。それに、思ったよりも塩も控え目で、噛めば優しい味わいが口に広がっていく。

ソリ
ソリ

続く2本目は意外なことに、ソリがお目見え。 もも肉の付け根にある希少部位で、濃いうまみと弾力が持ち味だ。1、2、3。そう、これだけでも1.5羽分。若鶏とはいえ希少部位。1串に3貫も打つのはなかなか珍しいと思う。柚子こしょうを添えて、風味もひとしお。

しかも、10本コースには必ずこのソリを入れるようだから驚き。「おいしいですよね、ソリ。量を確保するのは大変ですが、仕入れをがんばっています」と店主の圭介さんが笑う。うーん。いい仕事、してるなぁ。

レバー
レバー

お通しのたぬき奴もうまい

コースの箸休めはお通しの一品とサラダで。お通しは日替わりだろうけど、このたぬき奴が妙にうまいんだ。飲み屋で冷奴は定番だけれど、たぬき奴を食べるのは、何年ぶりだろう? 薬味の香気と揚げ玉のコク、豆腐の甘み……。この素朴さ、大アリ。

たぬき奴
たぬき奴

サラダ
サラダ

もも肉は塩でもタレでもなく味噌

もも肉は塩ではなく、味噌で。よく「焼鳥は塩で」という言葉を耳にするけれど、うまみがそれほど強くない若鶏はタレで味を深めたほうがネタの満足度も高くなると思う。

その点、「鳥すけ」はタレではなく味噌だ。しいたけやしし唐を挟むあたりも、どこか昔ながら。むちっとして、こっくり。んん。これはクセになるなぁ。

もも味噌
もも味噌

う玉
う玉

緩急を付けるように、う玉。最近の焼鳥屋のうずらの玉子は半熟に仕上げる店が多いのだけれど、ここは「ほわっ」と優しい味わいに。老若男女問わず楽しめる1本。

砂肝
砂肝

砂肝は思ったよりも大ぶり。だからこそ、もう少し塩がパチッと決まっているほうが好み。やっぱり、砂肝を食べると焼鳥屋に来た気分になる。ぼんじりと膝なんこつは2本出しで。やや太めの白髪ねぎを添えて、あと味さっぱりと。

ぼんじりと膝なんこつ
ぼんじりと膝なんこつ

お代わりしたくなる〝だんご〟

串も終盤。現れたのは見るからに力強い「だんご」だ。間違いなくこれが10本のなかのメインディッシュと直感。若鶏のだんご(つくね)は、もも肉の粗挽きがうまいんだ。ギュムッと押し返すような豊かな弾力。噛めば噛むほどうまみが溢れてくる……。んん。これは、お代わり確定事項。

だんご
だんご

手羽
手羽

串のトリは定番の手羽。まずは皮目を下にして皿に置き、骨をひねりながら外す。あとは欲望のままに骨抜きになった手羽を頬張るだけ。これが、うまいのなんの。

若鶏を使う店の〆はそぼろ丼で

コースに〆は付いていないものの、先のだんごを食べた瞬間に「ここは、そぼろ丼もうまいはず!」と直感。しかも、ハーフサイズも選べるというので即決だ。ポロポロになったそぼろは甘辛く、無我夢中でかき込んでしまうほど。

さすがに10本コースにお代わり串、そぼろ丼までいただくとさすがに腹もはちきれそうになる。でも、満足。一片の悔いなしだ。

そぼろ丼(ハーフ)
そぼろ丼(ハーフ)

随所に感じる、伊勢廣イズム

焼鳥コースを食べながら、串に東京の老舗「伊勢廣」やその流れを汲む新橋系のニュアンスを感じていた。もも肉を味噌で漬けたり、ぼんじりに白髪ねぎを合わせたり、粗挽きのだんごだったり。

「僕の師匠は新橋の焼鳥屋の流れ。その影響が大きいのでしょうね」と圭介さん。お、どうりで。ただ、伝統的な東京焼鳥を軸としながらもソリを組み込むなど、独自のスタイルを確立しているのも魅力。丁寧な焼鳥に、明るい接客。地元民が仕事帰りに寄りたくなるというのも、よく分かる。

〜冒険のおさらい〜

①5本、10本、アラカルトもOK

②だんごとそぼろ丼は必食!

③地元でも人気なので予約必須

店舗情報
【店名】鳥すけ
【最寄り駅】新松戸駅
【住所】千葉県松戸市新松戸1-448-2
【予約】047-700-5679
【定休日】日曜、祝日
【串のアラカルト】あり

毎週、焼鳥三昧! 焼鳥を斜めに逆さ撮りする〝ヤキトリスト撮り〟は元祖にして名刺代わり! 「焼鳥は串柄、人柄」をテーマに、大衆的で気兼ねない町焼鳥から、鶏にこだわり1本1本に心血を注ぐ専門店まで焼鳥まみれの日々を送っています。焼鳥好きの方、フォローよろしくお願いします!

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