【杉並区】何を頼んでもハズレ無し!荻窪で57年間、地元の常連に愛され続ける町中華の王道
荻窪『光陽楼』(こうようろう)
”町中華”という言葉が生まれたのは、わりと最近の事なのだが、何となく昔からあった呼び方であるかのような錯覚を覚えてしまう。昭和の時代の商店街には、必ず一軒は中華料理店があって、大衆食堂としての活気に溢れていたせいではあるまいか。
荻窪『光陽楼』は、そんな”町中華”の先駆け的存在となった老舗のひとつ。
元々は江東区の亀有が発祥の地であった『光陽楼』は、暖簾分けによって都内中に広がって行き、最盛期には60店舗ほどにも及んだそうだ。
本店で修業を積み、独立して北千住に自分の店を構えた初代が、その後、荻窪を移転先に選んだのが昭和41年(1966年)の事。当時の店は、現在よりも駅寄りにある「教会通り」の中央付近に有って、従業員も数多く抱える繁盛店だった。
二代目店主である佐京重男さんは、高校に通いながら16歳の頃から厨房を手伝っていたという筋金入りの調理人なのである。
現在の場所に移転してから、約20年。ホールを担当する妻の玉恵さんと二人三脚で店を切り盛りしている。何を食べてもどこか懐かしい味わいが感じられるのはもちろん、下町発祥の店ゆえに”お腹を一杯にしてもらうのが目標”というポリシーは、昔から何ひとつ変わってはいない。今でも「教会通り」時代から、二世代、三世代の家族ぐるみで通い続ける常連客が多いというのも納得がいく。
荻窪駅の北口から徒歩で約10分。青梅街道と環状8号線が交差する四面道交差点の手前を右折して「日大二高通り」に入ると、すぐ右手に『光陽楼』の暖簾が翻っている。
長年通っている常連客ならお分かりかと思うが、つい最近、真新しい暖簾に新調されたばかりだ。
一見、バスの停留所の標識を模したような手作りのオブジェがご愛嬌。小さな文字のメニュー表と営業時間が貼られている。
北国の玄関先を思わせるような二重の引き戸を開けて店内へ。4人掛けのテーブルが4卓と6人掛けのテーブルが1卓のみで、カウンター席は設けられていない。静かで落ち着いた雰囲気はどこか和の趣があるのだが、以前は寿司屋だったと聞いて溜飲が下がった。
厨房は店内の奥の方にあるため、客席からは調理風景は臨めないのだが、時折り中華鍋を振る小気味良い音が聞こえてくる。
ホール担当の玉恵さんの物腰の柔らかい接客にも好感が持てて、なるほど家族ぐるみで常連となる訳がここにもありそうだ。
麺類をはじめ、ご飯類、一品料理、各種定食、セットメニューなどなど、メニューは実に豊富。炒飯や餃子などの定番物も驚くほど旨い。
リーズナブルな値段にも注目なのだが、残念ながら年明けからは値上げを余儀なくされているとの事だった・・・。
毎日でも通いたくなる定食の充実ぶり!
酔街草にとっては、定食の種類が多いのも魅力のひとつだ。ランチにはとても重宝しているのだが、何にするか決めあぐねてしまうのが毎度の悩みでもある。
生卵は、労働者や学生の客に精をつけてもらおうと先代から続けているサービス。最後に料理に混ぜて味変するのも良し、TKGにして楽しむのも良しだ。ちなみに生卵が苦手という人は、味付け海苔と交換してもらえる。
塩味仕立てのあっさりとしたスープや自家製の漬け物も美味。米は茨城県産のコシヒカリを使用しており、ふっくら感とほろ甘さが丁度良い。
寒い日には熱々の麺が五臓六腑に沁み渡る
普通のラーメンも捨て難いのだが、寒い日などは無性に食べたくなってしまうのが「もやしそば」(800円)。もやしのたっぷり入った餡かけが細麺に絡んで、箸が止まらなくなること請け合いだ。本日のサービス品になることが割りと多いのも楽しみ。
「五目そば」(900円)。これまた野菜と海老、椎茸、ハムなどが彩りを添える餡かけが胡麻油の良い香りに包まれて登場!
一風変わった定休日の成り立ち
夜の時間帯になると、ほとんどが常連客だという、地域に根付いた町中華の『光陽楼』。定休日が毎月10、11、20、21、30、31日と、やや変則的なのにも理由がある。
「曜日によって通って来る常連さんがそれぞれ居るんでね〜、公平を期すためにそうせざるを得なかったんです」と、重男さんは苦笑いしながら答えた。
どこまでも、常連客を思いやる気持ちに満ち溢れた店ではないか・・・。
さてさて今宵も大満足、ご馳走様!
荻窪 光陽楼 Rettyページ
住所:東京都杉並区天沼3-12-7
電話番号:03-3392-2929
アクセス: JR荻窪駅・ 東京メトロ丸ノ内線 荻窪駅 北口から徒歩約10分
営業時間: 11:30~15:00(L.O.14:30) 17:30~22:00(L.O.21:30)
定休日:毎月10、11、20、21、30、31日
*年末年始は12月30日〜1月3日まで休み
カード不可、現金払いのみ