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「バンビーノ」、“ダンソン”ブレイクの裏に“ラララライ”の教え!

中西正男芸能記者
「バンビーノ」向かって右が石山大輔、左が藤田裕樹

コントの中に出てくるフレーズ“ダンソン”が、今まさに旋風を巻き起こしている「バンビーノ」石山大輔(30)と藤田裕樹(29)が2008年にコンビを結成しました。昨年10月にTBS系「キングオブコント2014」で決勝進出、さらに「8.6秒バズーカー」「クマムシ」が生み出したリズムネタブームの追い風を受け、今、最も勢いのあるコンビとなりました。そんな2人にとって支えとなったのは、かつて同じ道を歩んだ先人の言葉だったと言います。

石山「本当にありがたい話ですけど、3月は休みなしでお仕事をいただいています。大きなきっかけとなったのは、やっぱり『キングオブコント2014』でした。そこで多くの方に知っていただいて、ある意味、そこでまいた種が今になって実ってきたのかなと。実際にスケジュールが埋まり出したのは、今年の1月下旬からでしたね」

藤田「本当にグッと来たのは2月末からだと思います。『8.6…』の“ラッスン”がブレイクするにつれ、僕らの仕事も増えていきました。なので、お笑い好きの方にしたら『“ダンソン”なんて前々からあったネタじゃないか』と思ってくださるかもしれませんけど、広く知っていただくようになったのは“ラッスン”の後。だから『“ラッスン”に乗っかって、また次のリズムネタが出てきたよ…』と思われてる方もたくさんいらっしゃいますしね」

もともとはリズムネタじゃなかった

石山「ま、それもこれも含めて『8.6…』“兄さん”のおかげでもあるんですけど(笑)。ただ、僕らはよくリズムネタ芸人と言われるんですけど、“ダンソン”で言うと、純粋に『歌と踊りで動物を誘う民族』ということをやりたくて、その一部分が、リズムネタっぽく見えると言えば見えたのかな…という認識なんです。もっと根本的なところで言うと、そもそもは見ている人がハッとするほど血なまぐさい弱肉強食みたいなことをネタに盛り込みたいなと。そこのインパクトを際立たせるために、最初はできるだけポップに入っていた方がギャップが生まれて、弱肉強食が強調されるだろうなと。そのための歌であり、踊りだったんですけど、まさか、そのポップな部分がここまでフィーチャーされるとは思ってなかったですね」

“ラッスン”より有利!?

藤田「リズムネタのつもりでやったわけではないので、確かに予想外でした。僕らの前を“ラッスン”が走っていてくれたからこその流れだったんだと思います」

石山「今の僕らは、F1レースの走り方みたいなもんだと思ってます。『8.6…』が前にいるおかげで、空気抵抗が抑えられるというか(笑)。それと、彼らが先に走ってて、それはそれは飛ばしてますからね。そりゃ、あんな走り方をしたら、正直、タイヤ、ツルツルですよ(笑)。だから、ピットインしてタイヤ交換をしてる間に、こっちは一気に行こうと思ってます。そこで響いてくるのが“タイヤの持久力”。今まで7年間やってきて、こっちはネタをとことん作ってきた。その蓄積が僕らのアドバンテージやろうなと考えています」

リズムネタの先輩の指導も!

藤田「あと、リズムネタで一世を風靡された『藤崎マーケット』さんから直接教育を受けているのも大きいと思います(笑)。日頃から『今後、こういう仕事が入ってくるぞ』『こんな時は、こういうカラミをしなさい』といったことを事細かに教えてもらってますからね」

石山「以前からご飯を食べさせてもらったり、お世話になっていたんですけど、僕らが“ダンソン”で取り上げられるようになってから、とても心配してくださいまして。『お前らは今から“リズムネタ芸人”というレッテルを貼られて走っていくことになるだろう。その前に、言っておきたいことがある』と(笑)。自分たちが経験されたことをたたき込んでくださっているので、ありがたいことやと思っています」

藤田「先日開催した僕らの単独イベントの時にも、ネタとネタをつなぐブリッジ部分のVTRとして『藤崎…』さんとの対談をさせてもらったんです。ただ、それがあまりにもガチンコすぎまして…。経験談とともに本物の銀行通帳を持ってきて、振り込まれたギャラの額も見せてくださって『一発屋というのはこういうことや!!』と。僕らとしては本当にためになったんですけど、あまりにもガチすぎて、お客さんには全然ウケなかったです…」

石山「唯一『藤崎…』トキさんの『一番メンタルがしんどかった時は、タンクトップが着られないよう、腕にタトゥーを入れてやろうかと思った…』というところだけはウケてましたけど、あとはお笑いイベントで流すようなトーンの映像やなかったです(笑)。でもね、通帳を見せてもらった時に思ったんです。僕らなんて、一発すら全然当たってないなと。ファウルチップもいいところです。だからこそ、いい意味で煮詰まりすぎないというか、まだまだ頑張らないといけないし、常に新鮮に、楽しく、ネタができている。いくつも『藤崎…』さんに感謝せなアカンなと」

藤田「後輩の『8.6…』が前に立っていて、後ろからは『藤崎…』さんが後押しをしてくれている。ありがたい話、そんな中で僕らがいるんやなと思います」

石山「あと『藤崎…』さんもそうだからこそ、とても説得力のある言葉だったんですけど『今は、いくら“踊って”いてもいい。実力があるヤツは、最後に絶対にマクれるから』と。その言葉で、腹をくくれました。正直、仕事先で『“ダンソン”をやってください』と言われることに対して『そればかりでは…』という葛藤もあったんです。ただ、その言葉をいただいてからは、堂々とブームに乗って踊ろうという覚悟ができました」

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きん枝叔父さんの態度が急変

藤田「あと、僕で言いますと、叔父さんが変わりましたね。母親の弟が落語家の桂きん枝さんなんですけど、ずっと『バンビーノ』には興味なかったんです。『…ま、頑張りや』くらいで。ただ、エライもんで『キングオブコント2014』で決勝に行った後から、態度が急に変わりまして…。頻繁に電話がかかってくるようになってます」

石山「確かに、最近、増えてるよな」

藤田「東京でもお仕事をさせてもらうことが増えまして、なんとか甥っ子をサポートをしてやろうと考えてくれているのか『東京の吉本興業の担当社員さんの名前、教えといて。オレから事前に、よろしくと言うとくわ』と声をかけてはくれるんです。そこで『○○さんと、□□さんと…』と伝えると、きん枝さん、見事にどの名前も知らなくて。『すまんなぁ、力になれなくて…』と(笑)。これまでは親戚として年に1回正月に会うくらいで、アドバイスと言えば『桂米朝師匠の落語を聴け』ということだけだったんですけど、最近は驚くほど親密です」

石山「これまでも、ツカミで『おじさんがきん枝さんなんです』ということはやらせていただいていたんですけど、ただ、選挙で落選された時だけは、そのツカミは使えませんでした。そういう意味では“影響”を受けていると言えば、受けてます(笑)」

女難の相が!

藤田「あと、気をつけなきゃいけないのが、最近、お仕事で占いをしてもらう機会があったんですけど『女難の相が出ている』と。このあたりも、叔父さんゆずりなのかなと思いまして…」

石山「そこは、ホントに気を付けてください(笑)。あと、その占いで言うと『ニュージーランドに行ってください』とも言われたんです。というのも、運勢的には『南半球に行くと最強です』とのことでして。なので、大きな話になりますけど、いずれは海外で活動もできたらなと思っています。なので、出国・入国をスムーズにするためにも、くれぐれも『女難の相』には気を付けてください」

藤田「エエ加減、叔父さん、怒ってくるわ!!」

■バンビーノ

1984年12月10日生まれで愛媛県出身の石山大輔と、85年7月30日生まれで大阪出身の藤田裕樹のコンビ。吉本興業の芸人養成所・NSC大阪校の30期生として出会い、2008年にコンビを結成。リズミカルなネタで注目され、芸人にとって真の実力が試されるとも言われる、先輩芸人の結婚式の二次会にも引っ張りだこの存在となる。「キングオブコント2014」で決勝進出。石山はブラジルへのサッカー留学経験あり、藤田は落語家・桂きん枝の甥という顔も持つ。吉本興業の芸人が集結する一大イベント「大阪よしもと漫才博覧会」(3月11~13日、東京・草月ホール)にも出演。3月31日にはDVD「バンビーノ#ダンソン」も発売される。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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