黄桜や月桂冠といった酒蔵のある通りは、元の酒蔵や町家をリノベーションした飲食店が立ち並ぶ一大グルメスポットとなっています。なかでも「おでん専門店 べんがらや」はなかなか予約の取れない人気店です。2023年2月27日、1カ月前に月曜日の早い時間を予約してようやく入店できました。

　築百年以上は経っているという町家の店舗前には、「本日は予約のお客様で満室です」の張り紙がありました。大きな提灯が夕日に照らされて風情を醸し出します。おでんやの文字とともにロールキャベツの文字も。

　店内の壁面には、押絵や人形、影絵などが飾られ、大正・昭和初期のレトロな雰囲気が満載。おでんや商品はもとより、店内の装飾もすべて手作りなのだそう。

　どれも美味い。褐色のあっさりだけど、まったりとコクの深い味わいのおでんだしが洗練された具材と絡んで絶品でした。おでんメニューはというと、大根、たまごやごぼう天、厚揚げといったシンプルなものから、湯葉、白玉団子や生麩といった京風の変わり種まで、チーズやネギ、おもちなど巾着の種類もいろいろあるのも嬉しいところです。

　なんといっても食べていただきたいのが、ロールキャベツです。筆者は正直ロールキャベツの青臭さが苦手で、あまり食べないのですが、ここのロールキャベツは、今まで食べたことがない食感と甘すぎない優しい味の出汁がしっかりとしみ込んで美味すぎる逸品です。しかもでかい！　5人で2個を分けるくらいがちょうどいい感じです。

　店長にお伺いすると、「食材は、京野菜を始め、地元から厳選し、料理はすべて自家製で作り上げています。出汁は、上質の鶏がら・豚に京野菜をブレンドし、くじらのコロでじっくり煮込み、しょうがをしっかり利かせてあり、ロールキャベツの隠し味は、お正月に用いる縁起かつぎの野菜くわいを入れてある」のだそうです。

　美味いはずだわあ！　伏見に行ったら酒蔵群の見学とともに、ぜひともべんがらやに訪れてみてください。予約は必須です！

「おでん専門店 べんがらや」（外部リンク）京都市伏見区上油掛町185-2　075-622-6908