「糞クサイ…」アメリカで起きた異臭騒ぎは『寒冷前線』が原因だった
今年6月の「白い飛行物体」以来のミステリーでしょうか。神奈川県の異臭騒ぎが話題になっています。「魚クサイ」「硫黄クサイ」「ガソリンクサイ」といった、不快な臭いが、横浜市や横須賀市などで相次いで報告されているのです。
アメリカの異臭騒ぎ
異臭騒ぎと言えば、昨年アメリカでも同じような事件がありました。
異臭が報告されたのは、中部ミズーリ州の最大都市カンザスシティです。2019年11月6日、鼻を突く臭いがすると、住民から警察に多数の電話が寄せられました。どのような臭いだったかというと、「人の足のよう」「糞のよう」だったとのことですから、相当気分が悪くなるような状態であったことが分かります。
臭いの原因
一体、異臭の原因は何だったのでしょうか。実は「糞そのもの」であった可能性が高いようです。
面白いことに、このミステリーの解明に一役買ったのが、地元の気象局でした。
寒冷前線の仕業
カンザスシティ気象局は、当時寒冷前線が通過したため北風が吹いており、北部の州から空気が流れ込んでいたと発表しました。上がその時の天気図ですが、まさに東西に延びる寒冷前線があったことが分かります。
そのうえで、この前線は「浅く(shallow)」、高度の高いところまでは大気の不安定な状態が起きていなかったために、空気が上下に大きくかき混ぜられず、臭いが地上付近にとどまった可能性が高いと発表しました。
さらに気象局は、通常火山の噴煙などの動きを調べる技術を用いて、臭いの発生源も特定しました。その結果、アイオワ州やミネソタ州などの農場地帯であった可能性が判明したのです。気象局の行動力と分析力に感動してしまいます。
ちなみに警察はこの発表を受けて、ツイッターに下のようなユーモラスな絵文字を使った投稿をして、警察に電話しないように呼びかけました。
神奈川の異臭の原因は?
カンザス気象局に劣らず、横浜市もすごいもので、早速、異臭を分析し、ガソリンなどに含まれる化学物質が含まれていたと13日発表しました。幸い、体に害をもたらす恐れは低いようです。
しかし依然として原因は謎のままです。
神奈川県で何があったというのでしょう。異臭騒ぎがあった今月1日、3日、12日などの風向の記録を見てみると、いずれも北東から南東方向の、海からの風が吹いている時間が長かったことが分かります。
どうやら海に秘密があるのではないかとも思えますが、いち早い真相の解明が待たれます。