パリーグ白熱の首位打者争い。秋山の変化と柳田の隙の無さ
今季の秋山は早打ちになった?
先頭打者としてチームを引っ張る西武・秋山は侍ジャパン親善試合では日の丸を背負ったこともあるが、昨季の打率は.259。俊足強肩の持ち主で売りは打撃よりも守備だった。ところが全試合で1番を任される今季は5月と6月にイチロー以来史上2人目となる2ヶ月連続の月間40安打を達成するなど安打を量産。74試合消化時点で早くも昨季の安打数123本に並んだ。しかも打率の陰に隠れてはいるが昨季4本だった本塁打をすでに7本打ち、.360だった長打率が今季は.537。力強さを増している。他にも変化が見られ昨季は5.72打席に1回三振し、8.01打席に1つ四球を選んでいたが、今季は三振が8.09打席に1回、四球が15.82打席に1つとどちらも多くの打席を要している。三振も四球も少なくなったということは早いカウントから打つケースが増えた可能性が高い。狙い球の絞り方を変えたのか、インプットした相手投手のデータと体の反応がリンクするようになったのか、積極打法が好結果につながっているようだ。
柳田は穴の無い強打者
ソフトバンク・柳田は過去3年間の打率が.246→.295→.317と右肩上がりに上昇し、今季はシーズン折り返しとなる72試合を消化した時点で.381。6月23日の西武戦からは5試合連続複数安打。内外高低、満遍なく得意にしておりストライクゾーンのほとんどで4割以上の打率を残している。強いて言えば内角低めがやや苦手。それでも打率は2割を超えており全くお手上げというわけでもない。球種についても同様でストレートの.421をはじめほとんどの球種に高い打率を残しているが、唯一チェンジアップだけは.160と捉え切れていない。だが、インコースは甘く入れば長打の危険性があり、チェンジアップは少しでも浮けば力の無い絶好球となる。もしこれを完璧に投げ切れるならば柳田を抑えられるどころか全盛期のダルビッシュ有や田中将大クラスの成績を残すだろう。ほとんど弱点の無い強打者を抑え込むのは至難の技だ。昨季までDeNAの用具担当で今季ソフトバンクの三軍投手コーチを務める入来氏は長打力と対応力を併せ持つグリエルについて「強打者には内角を攻めないといけないんですけど、グリエルは内角を捌くのが上手い。するとボール球を振らせようとしてカウントを悪くする。そしたら甘い球が来やすくなる、といういい循環を作れてますね」と話していた。甘く入れば長打を打たれ、際どいコースを突けばカウントを悪くし歩かせてしまう。全力でフルスイングする”マン振り”が持ち味の柳田は正にそういう状態だ。28日の楽天戦でも2安打を放ち打率を.377から.382に上げたが、安打以外の3打席は全て四球。.468だった出塁率は.476となり打率以上に上昇した。打率に最も注目が集まるが長打率.626、出塁率.477はどちらも12球団トップの数字。首位を走るチームの強力打線の中でも一際強い存在感を放っている。