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早稲田大学・大田尾竜彦監督、「獲り切れる時に獲り切ったチームが勝った」。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
現役時代は主将を務めた。(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 一昨季、昨季と大学選手権で決勝に進んでいた早稲田大学ラグビー部が、年内でシーズンを終えた。

 2021年12月26日、東京・秩父宮ラグビー場。選手権準々決勝で明治大学と対戦。加盟する関東大学対抗戦Aで17-7と下していた相手に、15-20と惜敗した。前半は7点リードも、後半は好機を逃して無得点だった。

 試合後、就任1年目の大田尾竜彦監督が会見した。

 母校の早稲田大学、ヤマハで司令塔として活躍した大田尾監督は、持ち前のクレバーさを示しながら「選手1人ひとりと向き合う。そうしなければならない」との思いを選手選考で体現してきた。

 この日の準々決勝でも、教え子が複層的な攻撃を披露。スタンドを沸かせていた。

 以下、共同会見時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

「きょうの試合は早明戦の再戦ということで、まぁ、厳しい相手との厳しい勝負になるとわかっていました。これまで40週練習してきて自分たちの現在地として『日本一を狙えるところまで来ているけど、そのなかのひとつは明治大学なのは間違いない。そこでどれだけ、自分たちのやってきたことをやり切れるか』とゲームに臨みました。早明戦から変わったこと、変わらなかったこと、色々とありますが、トライを獲り切れる時に獲り切ったチームが勝った。ただそれだけです」

——対抗戦終了後、この試合までどんな準備をしたか。

「(対抗戦終了後は)リカバリー、レビューをして、そこから色んなことを足すことなく、頭のなかをクリアにして、このゲームで自分たちが出し切れることにフォーカスして進めてきました。あとはセットプレーの再確認に時間を費やしました」

——セットプレーといえば、左プロップの小林賢太選手を本職の右プロップに戻しました。

「小林を3番(右)に戻すことはずっと選択肢にありました。(もともと)我々が次のステップに行くにあたり、(4年生の)小林に頼りきりではしんどいことがあるので、亀山(昇太郎=1年生の有望株)に(3番で)挑戦させたのですが、選手権前に小林と話をして『1回、3番に戻ろう』と。そこが一番、自分たちのウィークポイントで劇的に変えられるところだと思ったので」

——後半31分、スタンドオフを伊藤大スケ(示に右)選手から吉村紘選手に交代させました。

「外側にスペースがあるとわかっていたのですが、伊藤は内側を向いていた。外側を突こうと思った時、ストラクチャーを組んでポゼッションラグビーができる吉村に期待して入れました。現に最後(チームが)走ったあたりとかでは、スペースを突いていたと思います」

——その吉村選手は、34分頃にペナルティーキックをタッチラインの外へ出す際にミスを犯しています。そもそも、ペナルティーゴールを狙う選択肢もあったと思われますが…。

「70数分で、5点差(15―20)で、風下で、トライを獲りにいった。結果論ですが、そんなに外れた選択ではなかったと思います」

——さかのぼって後半14分頃、伊藤選手が大きく抜け出した後、敵陣22メートルエリアでのパス交換が乱れました。

「ああいうところを(点を)獲り切らないと、数点差以内のスコアで1年間やってきた(互角の)チームにはなかなか勝てないですよね。たらればですけど、あそこでおそらくスコアしていたらゴール成功で9点差になって、明治大学さんのメンタル的なプレッシャーも違ったでしょう」

 痛恨の場面を踏まえ、伊藤は「やってはならないことをやってしまっていた」。明治大学は来年1月2日の準決勝へ進み、東海大学とぶつかる(東京・国立競技場)。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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