ドル円は140円台と再び円安進行、試される日銀の意地、いや維持の姿勢
25日のニューヨーク市場では円安が進み、ドル円は140円台に乗せ、2022年11月下旬以来、ほぼ半年ぶりの円安・ドル高水準を付けた。ユーロ円も150円台に乗せてきた。
6月のFOMCでの利上げについてはFOMCメンバー内でも見方は分かれているようだが、利上げの一旦停止もかなり織り込まれており、むしろ0.25%の利上げのほうがややサプライズとの認識となっている。いずれにしても利下げ観測は大きく後退している。
ECBについては利上げが継続かとの見方も強く、結果として何もしない日銀と欧米の中央銀行の金融政策の方向性の違いが再び浮き彫りになり、それが円安の大きな要因となっている。
さらにここにきて欧米の長期金利が上昇基調となっていることも、円安要因となっている。特に注意すべきが英国債の動きか。英国債といえば、トラス・ショックなどもあり、昨年の世界的な相場変動の先駆けともなっていたことを思い出す。
24日に発表されたの4月の英国の消費者物価指数は前年同月比8.7%上昇となり、伸び率は前月比1.4ポイント下がり、8カ月ぶりに1ケタ台に鈍化した。しかし、市場予想(8.2%)は上回ったことで、この日の英国債は続落となり、10年債利回りは4.20%に上昇していた。この日のギリシャの10年債利回りが3.85%なのでそれを上回っている。
25日には英国の10年債利回りは4.36%とさらに上昇していた。
欧米の長期金利の動きをみると英国の長期金利が先導して上昇してきている。米10年債利回りについては4%までまだ距離はあるが、30年債利回りをみるとこちらは節目の4%近くとなっている。
日本の10年債利回りは欧米の長期金利が落ち着いていたこともあり、期初の買いなども入ってか、一時0.4%を割れるなどしていた。しかし、欧米の長期金利の上昇を受け、再び0.5%を意識してくる可能性がある。
そもそも日本の物価指数からみた日本の国債利回りはあまりに低すぎる。むろん、物価指数だけが長期金利の変動要因ではないが、日銀の意地が長期金利の低迷に安心感を与えているかのようにもみえる。その意地の維持が果たしてマーケットにとって、いや日本経済にとって本当に良いものなのか。あらためてこれから試される可能性もあろう。25日の債券先物のナイトセッションの出来高は1兆円を超えてきた。