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東京で全国トップのさくら満開 週末のお花見は花冷えを超えた寒気の中

饒村曜気象予報士
東京タワーと桜(写真:アフロ)

開花から満開まで

 平成最後のさくらは、3月20日(水)に長崎、21日(木)に東京、横浜、福岡で開花したあと、関東から西の地方で次々に開花しています。

 気温や雨、風によって異なりますが、一般的には、開花から1週間から10日位で満開と言われています。

 例えば、東京では開花から満開までの日数は、さくら開花・満開の統計をとりはじめた昭和28年(1953年)以降の66年間の平均が7.8日です(図1)。

図1 東京のさくらの開花から満開までの日数
図1 東京のさくらの開花から満開までの日数

 平成になってからの30年間では、平均が7.7日で、最短が平成10年(1998年)の4日、最長が平成元年(1989年)の14日でした。

 最短となった平成10年(1998年)は、開花日である3月27日の最高気温が16.3度で、翌日以降の最高気温は、28日19.4度、29日22.2度、30日24.5度と連続で20度を超え、4日目の最高気温が18.6度であった31日に満開となりました。

 これに対し、最長となった平成元年(1989年)は、3月20日の最高気温15.2度の日に開花したものの、その後は、最高気温が15度以下の日が続き、28日の最高気温が8.6度でした。このため、満開は4月3日でした。

 平成最後の年の東京のさくらは、3月21日の開花後の気温が、極端な暖かさと極端な寒さのあと、ほぼ平年並みの気温の予報です(図2)。

図2 東京の3月の最高気温と最低気温(3月27日~4月2日は気象庁、3日以降はウェザーマップの予想)
図2 東京の3月の最高気温と最低気温(3月27日~4月2日は気象庁、3日以降はウェザーマップの予想)

 単純に、平年並みとすると、開花日の3月21日に平均の8日を加えた、3月29日が満開日です。

 3月27日10時52分、気象庁は東京のさくら(靖国神社の標本木)が満開と発表しました。

 平年より7日も早い満開で、沖縄・奄美地方を除くと、全国で一番早い満開です。

 また、開花から6日目ということで、これも平年より短い開花から満開です。

 これは、開花日の21日、翌22日の最高気温が20度を大きく上回る暖かさであったのがきいたと考えられます。

 ウェザーマップでは、もっと詳しく計算し、さくらの見頃予報を発表していますが、開花一番乗りの長崎の満開は、東京より遅い4月1日です(図3)。

図3 東京と長崎のさくらの見頃予想
図3 東京と長崎のさくらの見頃予想

週末の寒気南下

 さくらの開花がすでに始まった関東から西の地方では、3月最後の週末、3月30日(土)から31日(日)は、5分咲きから満開となり、すでに満開となった東京は散り始めをとなって花見のピークになりそうです。

 しかし、北日本上空約5500mには氷点下36度という真冬並みの寒気が南下してきます。

 氷点下36度という気温は、冬場であれば、大雪の目安となる気温です。

 東日本から西日本でも、上空に氷点下30度近い、冬場であれば雪が降ってもおかしくない寒気が南下してきます(図4)。

図4 日本上空約5500mの気温(3月31日朝)
図4 日本上空約5500mの気温(3月31日朝)

 昼間は日射によって20℃くらいまで気温が上昇しても、夜は寒気と放射冷却によって5度位まで冷えるところが多くなります(図5)。

図5 各地の週間天気予報(気象庁発表)
図5 各地の週間天気予報(気象庁発表)

 花見の頃はちょっとした寒気が南下しやすく、多くの年は「花冷えになりますので、夜桜見物は暖かい服装で」との呼びかけがあります。

 しかし、今年は、「花冷え」のイメージ以上の強い寒気が南下します。

 ライトアップしてきれいな夜桜ですが、花冷えを超えた寒気の花見になりますので、暖かい服装が必須です。

 

  (本記事は、東京のさくら満開の発表により、3月27日13時に一部補足・修正しました。) 

図1の出典:気象庁資料をもとに著者作成。

図2の出典:気象庁資料とウェザーマップ資料をもとに著者作成。

図3、図4、図5の出典:ウェザーマップ提供。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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