なぜバルサはギュドアンを放出する可能性があるのか?グアルディオラとシティの関心…厳しい財政事情。
マーケットは、少しずつ、終わりに近づいている。
欧州で、2024年夏の移籍市場が開かれている。スペインでは、8月31日に閉鎖するが、ここにきて、動きがありそうなのがバルセロナだ。
■ギュンドアンの移籍の可能性
バルセロナはイルカイ・ギュンドアンに移籍の可能性が生じている。
ギュンドアンは、昨年夏、マンチェスター・シティからフリートランスファーでバルセロナに移籍した。バルセロナのファーストシーズンでは、51試合に出場。シャビ・エルナンデス前監督の下、必要不可欠な選手になっていた。
バルセロナは、この夏、監督交代を行っている。シャビ前監督に代わり、ハンジ・フリック新監督が就任。2024−25シーズンに向け、新体制で始動した。
リーガエスパニョーラ開幕節、バルセロナはバレンシアに勝利している。マルク・カサード、マルク・ベルナル、アレッハンドロ・バルデ、パウ・クバルシ、ラミン・ヤマル…。その試合では、カンテラーノが躍動した。
そう、今季のバルセロナはカンテラーノを重宝しようとしている。ここは、ひとつ、ポイントだ。
■カンテラーノと中盤の人数
またバルセロナは、中盤でポジション争いが激化している。ギュンドアン、ペドリ・ゴンサレス、フェルミン・ロペス、そして負傷からの復帰が待たれるフレンキー・デ・ヨング、ガビ、カンテラーノのカサード、ベルナル、加えて初戦ではラフィーニャがトップ下で起用され、ライプツィヒから獲得したダニ・オルモまでいる。
ハンジ・フリック監督は、前線からのプレッシングとショートカウンターを一つの武器にしたいと考えている。全員に、ハードワークを求める。その考えに従う場合、若い選手やフィジカルベースの高い選手が有利になるのは間違いないだろう。
ギュンドアンは、2026年夏までバルセロナと契約を結んでいる。だが問題はギュンドアンのサラリーだ。年俸2000万ユーロ(約32億円/総額)が、バルセロナにとって、ネックになっている。
現状、バルセロナはD・オルモの選手登録を行えていない。サラリーキャップで空きをつくる、また選手登録枠を一枚あける、というのは、クラブとしては有効な手段になる。
■シティとペップの関心
33歳を迎えているギュンドアンだが、そのクオリティはまったく錆び付いていない。
ギュンドアンには、古巣のシティが、関心を示している。
ギュンドアンは2016年から2023年まで、シティでプレーした。22−23シーズン、ペップ・シティが念願のチャンピオンズリーグ制覇を成し遂げた時、主将を務めていたのがギュンドアンだ。
ビッグイヤーだけではない。国内リーグ戦(5回)、国内カップ戦(4回)、スーパー杯(2回)で優勝を飾り、合計で12個のタイトルをシティで獲得している。
「ギュンドアンは、この数年、多くのタイトルを勝ち取ってきた。特別なキャラクターを持った、素晴らしい選手だ。イルハン(・ギュンドアン)は彼の叔父であり、代理人でもある。彼らは常にプロフェッショナルな決断を下してきた」とはトルコ代表でアシスタントコーチを務めるケナン・コシャックの弁だ
「ハンジ・フリックは個人的に残留を望んでいるだろう。けれども、フットボールの世界だ。一本の電話が、すべてを変えてしまう。私はグアルディオラのことも知っているが、当然、彼はギュンドアンの復帰を熱望しているだろう」
■シティの補強と収支
シティはこの夏、昨季ジローナにレンタル移籍していたサビーニョをトロイから移籍金2500万ユーロ(約39億円)で獲得したが、その他は目立った補強をしていない。
一方で、フリアン・アルバレスが、移籍金固定額7500万ユーロ(約119億円)で、アトレティコ・マドリーに移籍している。昨季まで、アーリング・ハーランドの2番手のFWとして、あるいはジョーカーとして獅子奮迅の活躍を見せていたストライカーが、スペインに去った。
選手獲得・放出で言えば、この夏のシティの収支は完全に「+」である。ギュンドアンに関しては、状況が状況なので、バルセロナがフリーで放出する可能性が高い。シティとしては、計算できる選手を、移籍金ゼロで獲得できるのだ。
「ギュンドアンは、そんなに喋る選手ではなかった。しかし、彼が話し始めると、監督の私を含めて、みんなが彼の言葉を聞いていた。彼はいつもダイレクトで、明確だった。私が指導してきたなかで、最もインテリジェントな選手の一人だった」
「スピードがある。シュート力がある。そういった選手は、存在する。だが、エリートのレベルに到達して、際立った選手になるためには、賢さが必要だ。プレッシャーが掛かっている中で、正しい判断をする。毎回、チームに必要なプレーをする。そういう選手を、私は求めている。インテリジェントな選手が、好きなんだ」
「ギュンドアンには、すべてを一度に説明すれば良かった。全部を理解して、ピッチ上で体現してくれた。それは本当に素晴らしいことなんだ」
これはジョゼップ・グアルディオラ監督の言葉だ。
ギュンドアンは先日、ドイツ代表からの引退を表明した。キャリアの終盤に向かい、身の振り方を考えているように見える。
ヨーロッパの最後のトップクラブとして、バルセロナを選んだと思ったが、クラブの財政事情により移籍の可能性が出てきた。シティでペップと再会、というのは、まったく悪いオプションではない。