【札幌市】10月12日~開催「あわいのいきものたち」。5人の絵本作家による「あわい」の世界へようこそ
「あわい」という言葉を耳にしたことはありますか? 「あわい」とは、あるものとあるものが重なり合うところ、交わる場所を指します。私たちが暮らす都市と自然の境界にある「あわい」。そこには、はっきり目には見えないけれど、でも、確かに何かは存在しています…。
そんな「あわい」に棲むいきものたちを光と影で表現したインスタレーションが、10月12日(土)~20日(日)、札幌市民交流プラザ1階SCARTSコートに登場します。札幌在住の絵本作家5人(かとうまふみさん、すずきももさん、橘春香さん、ひだのかな代さん、マット和子さん)が集まり、それぞれの感性をフルに生かした光と影によるインスタレーションを創り上げます。さらに期間中は「あわいのいきもの」を表現するパフォーマンスや影絵の変身グッズのワークショップも実施。開催直前、準備で大忙しの絵本作家さんたちの打ち合わせにおじゃまし、見どころなどを含めてお話を伺いました。
この日集まっていたのは、絵本作家のかとうまふみさん、すずきももさん、橘春香さん、ひだのかな代さんの4人です。場所は、7月にオープンした円山のギャラリーカフェ「ポンピイェハウス」。すずきももさんが店主を務めるお店です。
それぞれ絵本作家、イラストレーターとして活躍している(しかも多忙な)5人が揃ってこうしたインスタレーションを行うというのは、絵本好きやファンにとってはワクワクする夢のような企画です。そもそもどういうきっかけで「あわいのいきものたち」を行うことになったのでしょうか。
「私たち5人の誰かが言い出したわけではなく、俳優で朗読家の石橋玲さんがSCARTSの企画公募に応募しませんかと声をかけてくださったのがきっかけなんです」とかとうさん。今回の企画にもパフォーマンスで参加する石橋玲さんが、札幌に暮らす絵本作家の方たちと一緒に何かできないかなと考えたのが始まりでした。まずは以前から親しくしていた橘さんに石橋さんが話をし、そこから順に声がかかっていったそう。
会場となるSCARTSには、1階のSCARTSコート、2階のSCARTSスタジオ、それから1階と2階のSCARTSモールがあり、当初は2階のスタジオを使って蛇腹絵本のグループ展を考えていたそう。「でも、せっかくこのメンバーが集まったので、SCARTSの中でもメインとなる1階のSCARTSコートでチャレンジしたいと思ったんです。そこで、都市と自然、見える世界と見えない世界のいきものを作って影絵で表現したいという大枠のコンセプトを打ち合わせの際に提案しました」と橘さん。「いいね」「おもしろそう」とみんなからの賛同を得ると、石橋さんから「あわい」という言葉を用いるのはどうかという案が出て、「あわいのいきものたち」にタイトルが決まりました。
普段は1人でクリエイティブな仕事に取り組んでいる個性的な5人、あえてプロデューサー役を置かず、全員が対等な関係で進めていくことにしたそう。ところが、「全員がイメージを共有するのは想像以上に大変でした。アイデアが次々と出てくるし、話は脱線するし(笑)。何度も打ち合わせを重ねました」とすずきさん。「それでも不思議と最後はそれぞれの得意を生かしてパーツが埋まっていき、面白かったです」と笑います。確かにこのメンバーだとアイデアの量は凄そう…。そして、みんなのアイデアが形となったのが今回のインスタレーションです。
「みんな絵を描くのが仕事なのに、今回のインスタレーションでは誰も絵を描いていないんです」と橘さん。絵ではなく、影絵で「あわいのいきもの」たちを表現するため、造形ものがほとんど。「絵本作家5人の原画などが展示してある催しだと思う方も多いかもしれませんが、今回はいつもの絵本の感じとはまったく違う新しい世界を見てもらえると思います」とすずきさん。
チラシやポスターに映っている6体の「あわいのいきものたち」も、5人と石橋玲さんがそれぞれ考えて作ったもの。ひだのさんの繋がりで人形劇団の関係者に立体的なものの作り方など、アドバイスをもらったそうです。ちなみに何色のいきものが誰かは会場に行くと分かるかもしれませんよ。
とはいえ、絵本がまったくないわけではありません。「あわいのいきものたち」というタイトルのスペシャルな蛇腹絵本が限定300部発売されます。5人がそれぞれ絵を描き、詩人の古川奈央さん(俊カフェ店主)が言葉を添えたもの。さらに蛇腹絵本の後ろから光を当てると、あわいのいきものが浮かび上がるそうです!
会場は3つの部屋に分けられ、私たちが日々暮らしている現実の世界から少しずつ「あわい」の世界へ入っていくような仕掛けになっているそう。見慣れた札幌の街や自然も登場するとか。「来場者の方たちにもあわいのいきものになってもらいながら、その世界へ入ってもらう参加型のインスタレーション。子どもだけではなく、大人も一緒にあわいの世界を楽しんでほしい」とひだのさん。さらに、「絵本作家の頭の中はいつもこんな感じだと思ってもらってもいいです」と笑います。
初日の12日と最終日の20日には、5人と石橋さんによるギャラリートークがあるほか、14日と19日には石橋玲さんによる「あわいのいきもの」パフォーマンスも行われます。12日と13日には、「あわいのいきもの」変身グッズづくりも実施(予約優先)。
最後に橘さんは「来場者の方たちがおうちに帰ったあとも、おうちに『あわいのいきもの』がいるなぁって感じてもらえたらいいなと思います」とニッコリ。かとうさんは「絵本作家たちの新しい表現を体感してもらえたらうれしいです」と話してくれました。12日からの「あわいのいきものたち」、楽しみですね!
絵本作家が見る札幌の都市と自然
「あわいのいきものたち」
日時:2024年10月12日(土)~ 2024年10月20日(日)10:00~18:00
会場:札幌文化芸術交流センター SCARTSコート(札幌市中央区北1西1)
◎ギャラリートーク
10月12日(土)14:00〜15:00
10月20日(日)16:00〜17:00
◎『あわいのいきもの』パフォーマンス
10月14日(月・祝)11:00〜11:30
10月19日(土) 14:00〜14:30
出演/石橋玲
料金/1500円
定員/各回30人
※事前予約制
※パフォーマンス中は一般入場不可
◎『あわいのいきもの』変身グッズWS
10月12日(土)11:00〜12:30
10月13日(日)13:00〜14:30
対象/3歳以上(小学生以下のお子さんは保護者同伴で)
料金/1000円(グループ参加の場合は2人目から500円)
定員/各回30人
※事前予約制
予約・問い合わせ
あわいのいきものたち実行委員会
awainoikimono@gmail.com
公式サイトはこちら