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みんな大好き キアヌ・リーヴス、還暦を迎える。今後の出演作は?

斉藤博昭映画ジャーナリスト
今年の8月、自身のバンド「Dogstar」のライブで(写真:REX/アフロ)

キアヌ・リーヴスが、9月2日の誕生日で60歳になる。キアヌが還暦……というのは、いろいろな意味で感慨深い。

同年代のハリウッドスターでは、現在(2024年9月)、トム・クルーズが62歳、ジョニー・デップが61歳、ブラッド・ピットが60歳。キアヌもそんな“60代スター”に加わったわけだ。

キアヌ・リーヴスの俳優人生を振り返ると、要所でエポックとなる作品に巡り合い、長いキャリアを走り続けていることがわかる。プチブレイクの『ビルとテッドの大冒険』が24歳、アクションスターとしての大ブレイクの『スピード』が29歳、特大ヒット作『マトリックス』が34歳、そして現在に続く新たな代表作『ジョン・ウィック』が50歳(すべて全米公開時の年齢)。コンスタントに代表作が生まれており、俳優としての当たり役が少なくなった時期も、彼のプライベートでの“いい人”情報、たとえば現場スタッフへの驚くべきプレゼントや、地下鉄移動で席を譲るエピソード、大好きなバンド活動などが、ひっきりなしに流れ、トップスターとしてはありえない自由な生き方、誠実な性格で新たなファンを増やし続けてきた。それがキアヌなのである。

1994年、『スピード』のプレミアで
1994年、『スピード』のプレミアで写真:Shutterstock/アフロ

つまりキアヌは、60代に突入しても進化を止めないはず……というか、その誠実で自由なスタンスで、他のスターとは違った俳優人生をわれわれに示してくれるかもしれない。

これから控える、キアヌの出演作を紹介すると……(『ソニック〜』以外は原題。日本公開タイトルは未定)。

『ソニック×シャドウ TOKYO MISSION』

セガの人気ゲーム「ソニック」映画化の最新作で、キアヌは新たに登場するダークキャラのシャドウの声を担当。キアヌの声優といえば『トイ・ストーリー4』のデューク・カブーン役などが思い出されるが、今回はタイトルからわかるとおり、出番も多い。東京が舞台ということで、日本でも話題になってほしい。

日本公開は年末の12月27日。

すでに撮影が終わった作品は──

「ジョン・ウィック」の新たな一作

『バレリーナ』

「ジョン・ウィック」シリーズのスピンオフで、『ジョン・ウィック:パラベラム』に登場した、ダンサーで暗殺者の通称“バレリーナ”ルーニーが主人公。大人気女優、アナ・デ・アルマスが、家族の復讐を果たそうとするルーニー役で激烈アクションに挑む。キアヌのジョン・ウィックはサブキャラ的だが、バレリーナに殺し屋としてのアドバイスを与えるなど、重要な見せ場が用意されている。

2025年公開予定。

撮影中のキアヌの負傷も話題に

『Good Fortune』

このコメディでキアヌは天使ガブリエルを演じている。大富豪の雑用係で、運に見放された男の“守護天使”が、富豪と雑用係の心と肉体を入れ替えようとして、とんでもない事態に発展。コロナで製作が延期されていた本作の撮影で、キアヌは左膝を骨折。松葉杖姿がニュースでも流れた。つまりアクションも多め!? 監督と富豪役はコメディの名手、セス・ローゲン。

ハリウッド俳優を演じ、キャメロンと共演

『Outcome』

共演は、久々に映画界に復帰したキャメロン・ディアス。キアヌは、ハリウッド俳優という自身と重なる主人公役。仕事をしばらく休んでいる彼が、疑惑のビデオテープで脅迫を受けるというストーリー。サスペンスながらブラックな笑いの要素もあるようで、その仕上がりが楽しみな一作。監督はジョナ・ヒルで、彼は主人公の弁護士を演じる。ローゲン、ヒルと気鋭の俳優の監督作が続いたのは、キアヌの意図なのか?

間もなく製作開始なのが──

キアヌのライフワーク、ついに実現!

『BRZRKR』

コミック好きのキアヌ。なんと自身が手がけたオリジナルコミックの実写映画化で主役を演じる。何百年もの間、地球をさまよってきた不死身で、半神半人の主人公。アニメ版も作られ、キアヌは声優を務めるほか、本作に絡めた小説も共同執筆で発行するという。つまり、キアヌのライフワーク、キャリアの集大成になる可能性も。

今年7月のサンディエゴ・コミコンで『BRZRKR』をノリノリで語る
今年7月のサンディエゴ・コミコンで『BRZRKR』をノリノリで語る写真:REX/アフロ

世界の映画界で注目される鬼才の新作に

『The Entertainment System Is Down』

前作『逆転のトライアングル』がアカデミー賞作品賞にノミネートされた、スウェーデン出身の鬼才、リューベン・オストルンド監督の新作。タイトルのとおり、長距離フライトでエンターテインメント・システムが故障し、乗客たちがどうなるか……という物語。この監督らしい強烈で、風刺の効いた問題作になる予感。撮影のためにボーイング747を購入。気鋭のスタジオ、A24が配給権を獲得したのも話題。共演はキルスティン・ダンストら。2025年のカンヌ国際映画祭でお披露目の予定だという。

製作に向けて準備中なのが──

このキアヌを好きなファンも多し。待望の復活

『コンスタンティン2』

2005年に公開された前作は、キアヌのファンには根強い人気。俗世間から距離を置いた悪魔祓い。肺ガンを患っているのにタバコも酒も止めようとしないジョン・コンスタンティン役が、あまりにぴったりだったから! 何年もの間、続編への意欲を語っていたキアヌ。先日、脚本が完成したという知らせもあり、その念願がようやく叶いそう。監督は前作と同じフランシス・ローレンス。

このように、すでに撮影終了、あるいは製作が決まった作品は、どれも期待できるものばかり。60代になったキアヌ・リーヴスは、これまで以上に多彩な面をわれわれに見せ、愛されるスターになっていきそうな気配だ。

2010年、NYソーホーの公園で一人、サンドイッチを食べる姿は「ぼっちキアヌ」として話題になった。
2010年、NYソーホーの公園で一人、サンドイッチを食べる姿は「ぼっちキアヌ」として話題になった。写真:Splash/アフロ

映画ジャーナリスト

1997年にフリーとなり、映画専門のライター、インタビュアーとして活躍。おもな執筆媒体は、シネマトゥデイ、Safari、スクリーン、キネマ旬報、VOGUE、シネコンウォーカー、MOVIE WALKER PRESS、スカパー!、GQ JAPAN、 CINEMORE、BANGER!!!、劇場用パンフレットなど。日本映画ペンクラブ会員。全米の映画賞、クリティックス・チョイス・アワード(CCA)に投票する同会員。コロンビアのカルタヘナ国際映画祭、釜山国際映画祭では審査員も経験。「リリーのすべて」(早川書房刊)など翻訳も手がける。連絡先 irishgreenday@gmail.com

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