百田尚樹氏が「本気でつぶれたらいい」と語る沖縄の新聞を米軍はどう思っているのか?海兵隊将校に聞いた
今月25日、自民党勉強会に招かれた作家の百田尚樹氏が「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない」と発言。さらに参加した議員らからは「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのが一番。経団連に働きかけて欲しい」「悪影響を与えている番組を発表し、そのスポンサーを列挙すればいい」など、政権に批判的な報道を規制すべきだという意見が出た。
百田氏は冗談だと弁明しているが、28日、今度は大阪府泉大津市で開かれた講演会で「その時は冗談口調だったが、今はもう本気でつぶれたらいいと思う」と語った。
実は、J-WAVE「JAM THE WORLD」が8bitNewsの堀潤と共に戦後70年をテーマに特集する特別企画〈Beyond 70+ いつまでも戦後であるために〉 の取材で、今月はじめ、沖縄の新聞報道と常に対峙し向き合っている、アメリカ軍海兵隊の将校、ルーク・クーパー中尉に「沖縄メディアをどう思うのか?」率直に尋ねていたので紹介したい。
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Q
地元の新聞メディアは反対の意見が大勢を占めていて偏っているという声も聞きますが、どう捉えていますか?
A
自分は海兵隊員として、また広報官として自分の任務はアメリカであったり、米軍受け入れのホスト国に対して情報をできるだけ公開する、できる限りの情報を開示するというのが任務だと思っています。相手の報道が否定的であろうとなかろうと、そうでなかったとしても、ネガティブに書かれたとしても同じようにメディアを招待しますし、明らかにできる情報をできる限り公開していこうと思っています。情報をどう伝えるかはそれぞれのメディアの判断によりますから、それは相手に任せることになります。私の任務は情報を公開していくことに努めるということです。
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クーパー中尉は堀の取材に対し、民主主義にとって情報公開はとても大切なものだと事前に語っていた。
以下は「辺野古移設は唯一の解決策」と述べる日本政府の方針は本当なのか、海兵隊から見た沖縄基地問題について聞いてるので公開したい。
Q
海兵隊が沖縄に駐留する一番の理由は何でしょうか。
A
海兵隊というのはアジア太平洋地域における有事の際に、または危険な状況が発生した際にその能力を提供していくという立場にあります。攻撃に対する抑止力という面でも部隊の能力を提供することになりますし、災害対策としても運用しています。
Q
ネパールへも行きましたよね。
A
当時、海兵隊はフィリピンで訓練をしていてそこから急遽現場に向かいました。海兵隊は離れた地域からも迅速に対応できるということです。それに加えて沖縄の普天間基地からオスプレイ4機を派遣しました。
Q
国内の世論は、軍事的な抑止力も大きいと思います。中国や北朝鮮への対応はどの程度の役割を想定していますか?
A
海兵隊としては有事の際に備えるという点から、近隣のフィリピンや韓国、自衛隊などと共同で訓練をしながら備えています。特定の国に対応してというものではありません。全ての有事を想定し、危機的な状況に対応するための訓練をしています。
Q
沖縄の皆さんの選択と安倍政権との方針が対立しているということについてはどう考えていますか?
A
辺野古の問題が出ていますが、民主国家なので様々な意見を発するというのはそれぞれの権利があり、尊重します。海兵隊としては、地域の問題、国内の問題に関してコメントする立場にはありません。海兵隊としては相互に日米安全保障条約機構があるので、辺野古に移設されても、どこに移設されても、適切に移設先が決まるまでは普天間での運用を続けます。
Q
日本側で県外、沖縄以外に移設するという条件が整えば、県外でも任務の遂行は可能なのでしょうか?
A
海兵隊としては先ほどの安全保障条約機構に基づいていかなる場合でも抑止力を提供します。どこであっても、どこの場所であっても与えられた場所で自分たちの任務を全うします。
Q
日本では地理的に沖縄でなくてはいけいないという意見と、九州などでも可能だという声があります。かつて日本の元防衛大臣が「沖縄辺野古への移設は地理的な問題ではなく、政治的な問題だ」と発言したこともあります。例えば九州などでも海兵隊の任務は可能なのでしょうか?
A
海兵隊は与えられた場所で作戦を全うするというのが任務ですので、必ず任務を遂行する方法を見つけなくてはいけません。海兵隊は空陸任務部隊というのが基本になっていまして、航空部隊と地上部隊と、兵站部隊、その3つが一緒に活動しているのが海兵隊ですので、それらは近くにいなくてはならないというのはあります。海兵隊の中心的部隊というのは航空部隊が岩国や普天間にありまして、韓国、ハワイにも分散されて航空部隊が配備されていますが、それぞれの地域から必要な任務を遂行できるようになっています。
先ほども説明しましたが、フィリピンにいてそこから急遽ネパールの支援に行きました。そういう形で海兵隊というのはその時の状況に応じて臨機応変にその場その場で迅速に対応するという部隊です。それに必要な条件というのが、空陸任務部隊というのが海兵隊の特徴ですので、空と陸と兵站部隊が常に緊密に活動するというのが条件になっています。海兵隊としては、次の代替施設が作られて運用が可能になるまで運用を普天間基地で継続していきます。
Q
辺野古の反対運動をしている方々からは、綺麗な海を埋め立てて欲しくないという声が聞こえてきます。辺野古でなくてはならない理由というのは何なのでしょうか?
A
日本政府の決断だと思います。海兵隊としては代替施設ができるまでは普天間基地での運用を続けます。
Q
実際に沖縄県外に移した場合、陸海空と一体運用できる範囲は本土のどの辺りまでになるのでしょうか?
A
もしという仮説にはお答えできないというか、細かな条件、どこなら可能だというのは考えていません。海兵隊にとっては普天間基地の代替施設ができるまではそこで運用する、決まったところがあればそこで部隊を運用するということになります。
Q
沖縄にアメリカ軍の基地が集中していて、本土の方でも受け入れに関する議論がされていけばよいなと思っています。米軍の基地が沖縄に集中している利点は何か?逆にリスクはどんな点にあるのか教えて下さい。
A
これは日米政府間で決められて、海兵隊は行けと言われたところに行って任務を全うしているので海兵隊としての意見というのはありません。政府間で決められたところに我々は行きます。それがグアムかもしれないし、ハワイかもしれないし、そこで任務を全うします。移設先がどこであっても、辺野古かもしれないし、グアムかもしれないし場所はわからないのですが、私たちが言えることは、移設先が適切に準備されていて、移設に向けた段階がスムーズに行われて、その時に運用が止まるということがないように全てがスムーズに移行されることが大切です。移行の間に、有事が起きたり何かが起きて対応が遅れるというのはあってはならないと思っています。
Q
総合的な計画を定めていけば、様々な選択肢を日本側で用意するのは不可能ではないということですね。
A
※だまって頷く。
Q
日本国内では安全保障の法律を議論しているところですが、フィリピンやベトナムでは中国軍の活動が活発になっていますね。海兵隊は中国の動向をどう見ていますか?
A
海兵隊としてはどの国という名前をあげることはなく、有事があった際に迅速に対応するのが任務で、政治的な問題に考慮することはなく、何かあった場合にすぐに動くという部隊です。日頃から連携をとっている国と緊密に行動をしていくということです。フィリピンなどへの支援は今に始まったわけではなく30年も前からずっと継続した関係、交流をもって訓練をして備えてきたことが迅速な対応につながっている訳です。常日頃からパートナー国と連携をとっておくことが大切だと思っています。
Q
基地の中に沢山の沖縄の人たちが働いていたり、フリーマーケットを開いたりして地元との交流を続けてきましたね?どういう目的でそうした交流を続けてきたのでしょうか?
A
海兵隊の地域交流は海兵隊にとっては基本的に軸になっていることですが、実は年間1500以上の交流イベントがあるんです。1日に5件くらいある。老人ホームにいったり、高校生と活動したり、英語を教えたり地域交流をしています。海兵隊にとっては地元を知る機会になるし、地元の方にとっては海兵隊員の違う顔を知るよい機会になっています。
Q
何が目的ですか?
A
海兵隊はこちらに滞在して2、3年で国に帰っていきます。基地のゲートが分断するのではなく沖縄の文化というのは本土とは違って豊富なユニークな文化だと聞いています。基地の外に出て行って隊員も学べるのではないかと思っています。海兵隊は他の軍の中でも平均年齢が若いんですね。高校を卒業したばかりの兵士などが来ますので、基地の外に出て行って同年代の人たちと交流し、文化を学びあっていくというのが大事かなと思っています。
Q
戦後70年が経過してかつての敵国同士が友好関係を築いた稀有な存在。日本はアメリカによって守られてきたと思うが、ご自身は日本に対してどのような使命感で任務に当たっていますか?
A
米軍が守っているというその一言では説明できないと思っています。歩調を合わせて、自衛隊もあわせて一緒に活動しているという認識があります。そして沖縄にくることについて、韓国であったりタイであったり近隣諸国との共同訓練などもありますから、近隣諸国と協力するということで自分も楽しみにしてきました。いろいろ学べるのではないかと思って沖縄に来ました。
Q
アメリカ軍は日本を守るためにいるわけではない、日本を守ってくれないという意見を言う人もいますが実際にはどうなのでしょうか?
A
相互安全保障条約機構にありますが、アメリカのためにいるというわけではなく、私たちは強い日米同盟で結ばれています。日米同盟のもとアメリカは駐留していますので、それは当たり前のこと、日本を守るということがここに含まれていると思っています。
Q
「おもいやり予算」によって米軍の施設が維持されています。これからも必要でしょうか?
A
「おもいやり予算」については私たちはコメントする立場にないので細かい情報は言及できませんし確認が必要です。自分としてはこの70年の間に日米の同盟が結ばれましたし、友好国になりましたので、その中で自衛隊とも協力して、東日本大震災の時には一緒に活動しましたし、一緒に支援をするという強固な関係ができていると思っています。
Q
基地の問題をめぐっては沖縄県内からは反発の声もあがっていますがどう対応していきますか?
A
そうした反発の声があるというのは認識していますが、それは沖縄の声といいますか一部の声ととらえていますし、その一部には感謝している声というのもあると思っています。もしかしたらそうした声よりも反発の声が大きいからというのもあるかもしれません。私はフィリピンの災害の時に現地に行っています。オスプレイがいかに能力があるか、どれだけの物資を運ぶことができたか。どれだけ物資を運ぶことができるか目の当たりにしてきたのでどれだけ優れた航空機かというのを実感しています。東北のように危機的な状況になった時に、支援をしてもらった人々はやはり運用に対しては理解や実感が異なるんだと思います。
Q
地元の新聞メディアは反対の意見が大勢を占めていて偏っているという声も聞きますがどう捉えていますか?
A
自分は海兵隊員として、また広報官として自分の任務はアメリカであったり、米軍受け入れのホスト国に対して情報をできるだけ公開する、できる限りの情報を開示するというのが任務だと思っています。相手の報道が否定的であろうとなかろうと、そうでなかったとしても、ネガティブに書かれたとしても同じようにメディアを招待しますし、できるの情報をできる限り公開していこうと思っています。情報をどう伝えるかは相手のメディアによりますからそれは相手に任せることになります。私の任務は情報を公開するということに努めています。
Q
日本はリスクを開示することを恐れてリスクの開示を控える傾向が強いと思っています。原発の情報などもパニックを恐れて抑制されました。リスク開示についてはどのような考えをお持ちでしょうか?
A
どんなリスクでしょうか?
Q
基地があることで攻撃の対象になるとか、先日ハワイで墜落事故を起こしたオスプレイの情報など、日本側は説明を十分にしているとは言えないという批判があります。海兵隊が考える、沖縄に駐留することのリスクとはどのようなものを想定していますか?
A
ハワイの問題については私たちも情報を開示したいと思っていますが、調査中のものに関しては調査中としか発表ができません。オスプレイに関しては沖縄で問題があったわけではなく、沖縄では通常運行を続けます。海軍と共同で沖縄では通常どおり運用していくことにしています。もし、リスクに関して言及するのであれば、オスプレイはCH46の代わりに導入したのですが、それに比べるともっと早く、高く飛べるようになり、訓練の範囲が広がりました。ですので沖縄で訓練のため飛行している時間というのは少なくなっているはずです。例えばフィリピンでは隔離されているような場所に他の航空機は着陸できなくてもオスプレイは着陸が可能でした。物資を輸送する能力も通常のヘリコプターに比べると3倍の能力がありますので多くの物資を運ぶことができました。2011年の東日本大震災の話に戻りますが、当時はCH46が駐機していました。一機ずつオスプレイに置き換えていますが、そこから被災地に向かうには4日間かかったんですね。もしオスプレイがあれば5時間以内に行くことができたということです。ネパールの地震ではオスプレイを派遣しましたが、CH46では直接行くことができません。太平洋地域では支援を受けた人たちからは賛同を得ていると思っています。
Q
基地があることにより攻撃対象になりやすいということについてはどう考えていますか?
A
正しくお答えできないかもしれませんが、軍があるということは、攻撃の対象になることもあると思います。しかし、軍があることで抑止力になって攻撃を止めることもあると思います。それが数値化されているかはわからないので自分では正しくはお答えできません。
Q
海兵隊としては日本で沖縄と政府の対立が起きていることについてどのような解決策を望むのか双方へのリクエストを教えてください。
A
海兵隊の任務は色々な有事や危機的な状況の際から守るというのが任務ですから、どのような状況でも任務を遂行できるように、外からの攻撃かもしれないし、地震のような災害かもしれませんが私たちはいつでも対応できるように準備しておくことが海兵隊の任務だと思っています。
Q
辺野古は唯一の解決策だという政府の考え方については同意しますか?
A
海兵隊としては日米双方の政府が決めたところにどこにでも行きます。