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ニッサンGT-Rが表彰台を独占!19年ぶりの快挙に沸いた「SUPER GT」第3戦オートポリス

辻野ヒロシモータースポーツ実況アナウンサー/ジャーナリスト
#23 MOTUL AUTECH GT-R

国内人気レースカテゴリーの「SUPER GT」第3戦の決勝レースが6月1日(日)に九州・オートポリス(大分県)で開催され、ホンダ、トヨタ(レクサス)、ニッサンのワークスチームが参戦するGT500クラスではニッサンGT-Rが表彰台を独占した。

MOTUL AUTECH GT-Rがポールトゥウイン

昨年までの秋開催から開催時期が初夏に変更になった「SUPER GT」の九州オートポリス戦。標高が高いサーキットだけに、毎年変わりやすい不安定な天候に左右されるレースになっていたが、今年は久しぶりにレースウィークを通じて快晴に恵まれた。

今年からDTM(ドイツツーリングカー選手権)とのパーツ共通化など大幅なリニューアルが施されたGT500クラスで好調なのは「レクサスRC F」と「ニッサンGT-R」の2車種。中でもGT-Rは開幕戦こそアクシデント続出で厳しい結果になったものの、第2戦・富士スピードウェイのレースではその高いポテンシャルを披露。この第3戦でもGT-Rの速さは本命視されていた。

#23 MOTUL AUTECH GT-R
#23 MOTUL AUTECH GT-R

天候が良いばかりか、今年のオートポリス戦は初夏どころか夏のような暑さ。近隣の日田市はこの週末に35度を超える猛暑日となり、5月の過去最高気温を記録したほどだった。季節外れの暑さに見事にマッチさせてきたのは、フランスのタイヤメーカー「ミシュラン」を履くGT-Rの2台(#23 MOTUL AUTECH GT-R、#46 S ROAD MOLA GT-R)。新型GT-Rの好調さに加えて、タイヤのパフォーマンスもニッサン勢の好調さを後押しした。

5月31日(土)に行われた公式予選では#23「MOTUL AUTECH GT-R」(松田次生/ロニー・クインタレッリ)が好走。コースレコードを更新する驚異的なタイムで#23は今季初のポール獲得すると、2番手には同じミシュランを履く#46「S ROAD MOLA GT-R(本山哲/柳田真孝)が続き、決勝のフロントローを独占することに。

そして、65周の周回で争われた決勝レースでは、スタートからこの2台のマッチレースが展開。途中、#23のロニー・クインタレッリのペースが若干落ち、2番手の#46との差が接近。周回遅れにブロックされて失速した際に、本山が追突してしまうアクシデントがあったが両車共に大事には至らず、トップ2の状況は崩れることなく周回を重ねて行く。

S ROAD MOLA GT-R
S ROAD MOLA GT-R

2チームともドライバー交替し、#23の松田次生が2番手の#46柳田真孝を15秒程引き離すが、第1コーナーでGT300のマシンが大クラッシュ。さらに同じGT500クラスの#24がエンジンルームから煙を出してストップしたため、セーフティカーが導入。これで#23と#46、そして後続のマシンとの差が一気に縮まってしまう。

セーフティカーラン後のリスタートでは#23松田次生がファステストラップを記録する猛プッシュで逃げの体制を築き、2位の#46柳田に5秒以上の差をつけて優勝。#23「MOTUL AUTECH GT-R」を走らせるワークスチーム「ニスモ」にとってはGT500クラスで2年ぶりの勝利となった。

大健闘のIMPUL GT-Rは3戦連続表彰台!

第2戦・富士スピードウェイ戦で優勝を飾った#12「カルソニックIMPUL GT-R」(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/安田裕信)の走りも見事だった。4番手からスタートした#12オリベイラは#1「ZENT CERUMO RC F」や#37「KeePer TOM’S RC F」、そして#36「PETRONAS TOM’S RC F」のレクサスRC F勢と3番手争いを展開。16周目に#12オリベイラは第2ヘアピンで見事なオーバーテイクを見せて、3位に。その後、安田に変わってからもハイペースの好走を見せるが、セーフティーカーのリスタート後は#36、#37の2台のレクサスに詰め寄られる非常に厳しい展開に。しかし、安田は意地で3位を守り切り、チームに3戦連続の表彰台(3位、優勝、3位)をもたらす。これで#12「カルソニックIMPUL GT-R」はランキングでも首位の座を維持する事になった。

ランキング首位の#12 カルソニックIMPUL GT-R
ランキング首位の#12 カルソニックIMPUL GT-R

「SUPER GT」の前身である「全日本GT選手権」時代から、このレースの核として参戦を続けている「GT-R」の名前が冠された車両。数多くのチャンピオン、優勝を記録しているが、GT500クラスの表彰台をGT-Rが独占するのは、全日本GT選手権の黎明期である1995年以来、なんと19年ぶりの快挙だそうだ。

SUPER GT第3戦オートポリスの表彰台はニッサンGT-Rが独占!
SUPER GT第3戦オートポリスの表彰台はニッサンGT-Rが独占!

先日、ルマン24時間レースの最高峰クラス「LMP1」クラスに来年から参戦する事を発表したニッサン。そのプロトタイプマシンには「GT-R」の名前が加えられることになっており、ニッサン、ニスモにとってメインのレース活動である「SUPER GT」の活躍ぶりは、今後のニッサンのモータースポーツ活動に弾みをつけそうだ。ファンの喜びも今後への期待もさらに膨らむだろう。まさにそんなニッサン熱でホットになった暑いオートポリスの週末だった。

レース結果(SUPER GT.net)

NISSAN GT-R GT500
NISSAN GT-R GT500
モータースポーツ実況アナウンサー/ジャーナリスト

鈴鹿市出身。エキゾーストノートを聞いて育つ。鈴鹿サーキットを中心に実況、ピットリポートを担当するアナウンサー。「J SPORTS」「BS日テレ」などレース中継でも実況を務める。2018年は2輪と4輪両方の「ル・マン24時間レース」に携わった。また、取材を通じ、F1から底辺レース、2輪、カートに至るまで幅広く精通する。またライター、ジャーナリストとしてF1バルセロナテスト、イギリスGP、マレーシアGPなどF1、インディカー、F3マカオGPなど海外取材歴も多数。

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