渋谷公園通りで心震えるアートに出会う 『語りの複数性』展
渋谷公園通りギャラリーで開催中の「語りの複数性」へ
ふらっと立ち寄ったつもりが、驚くほど奥深い
アート作品の数々に心震えた。
公園通りに面したエントランスと通路に展示されていた
のは、全盲の主人公を描いた古典落語の演目「心眼」を
テーマにした写真家 大森克己さんの『心眼 柳家権太楼』
真っ白な背景で表情豊かに語る噺家の連写ショットには
見る者を引き込む不思議な吸引力が宿ってる。
写真家・川内倫子さんの写真絵本『はじまりの日』を
テーマにした展示にも魂をつかまれた。写真の下には
視覚に障害のある人も実際に触れて写真を体感できる
点字ならぬ「触図」も展示されている。
アーティスト小島美羽さんの『ごみ屋敷』や
『遺品の多い部屋』『終の棲家』をモチーフにした
ミニチュア作品は ちょっと衝撃的だった。
作家自身が遺品整理や特殊清掃の仕事をしているそう。
そのリアリティが作品の細部に息衝いている。
目を伏せたくなるような光景がミニチュア化して
生々しく再現されることで、見てはいけない
覗き箱に吸い寄せられるように
思わず目が釘付けになってしまう…。
現代社会の側面をえぐり出した異色のアート。
展示室をまたいで ふわふわ自由すぎる
インスタレーションを展開していたのは
小林紗織さんの『私の中の音の眺め』。
音を聴いた時に浮かぶ情景を五線譜に描いたのだそう。
聴覚の世界を空間いっぱいに可視化した楽しい作品!
このほかにも音声や映像のユニークな作品が多く、素晴らしいキュレーションです。
12/26までなので、ぜひお見逃しなく!
「語りの複数性」展覧会URL: https://inclusion-art.jp/exhibition/
会場:東京都渋谷公園通りギャラリー
展示室 1、2及び交流スペース
東京都渋谷区神南1-19-8 渋谷区立勤労福祉会館1F
会期:2021年10月9日(土)~ 12月26日(日)
開館時間:11時~19時
閉館日:月曜
入場料:無料