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インフルエンザの流行は現在どうなっている? 居住地域の流行レベルをチェック

倉原優呼吸器内科医
(写真:イメージマート)

2023年第7週における定点医療機関あたりのインフルエンザ報告数が発表されました。全国的にピークアウトしつつある印象ですが、東京都では今シーズン初めて「注意報レベル」に到達し、一部の地域では「警報レベル」となっておりまだ油断できません。お住まいの地域の流行レベルをチェックしておきましょう。

インフルエンザは全国的に収束傾向か

定点医療機関あたりのインフルエンザ報告数は、全国平均で「注意報レベル」の10人を4週連続で超えています。

このまま警報レベルに到達するかもしれないと懸念されていましたが、12人台で止まっており、このままピークアウトするかもしれません(1)(図1)。

図1. 定点医療機関あたりのインフルエンザ報告数(参考資料1をもとに筆者作成)
図1. 定点医療機関あたりのインフルエンザ報告数(参考資料1をもとに筆者作成)

地域差が大きく北陸・関東は注意

長らく国内で最多だった沖縄県がようやく減少に転じてきました。

しかし現在、北陸で報告数がかなり多いです。福井県で48.95人、石川県で46.44人と、全国平均の約4倍の「警報レベル」水準です(図2)。また、岩手県でもインフルエンザが急増しており、今シーズン初めて「警報レベル」に入りました。

図2. 2023年第7週における定点医療機関あたりのインフルエンザ報告数(参考資料1をもとに筆者作成)
図2. 2023年第7週における定点医療機関あたりのインフルエンザ報告数(参考資料1をもとに筆者作成)

秋田県、栃木県、東京都、長野県では微増が続いており、「注意報レベル」となっています。

西高東低で始まった今シーズンのインフルエンザは、地域差が大きく、関東で今後さらなる流行を迎える可能性があります。特に東京都は人口が多いことから、まだまだ油断できません。

とはいえ、春になってから急峻なピークをつけるとは考えにくく、全国的にはこのままゆるやかに収束に向かうことが期待されます。

新型コロナ第8波も収束傾向

新型コロナの新規感染者数は随分減りました。実際に外来で診療していても、検査陽性率はかなり低くなっています。

これまで1年にわたって優勢株だったオミクロン株「BA.5」が減り、新たな変異ウイルスである「BQ.1」が全体の約4割を占めるようになりました。これが次の波の主役になるのかどうか分かりません。

多くの医療機関は次の波にそなえていますが、「5類」化される5月と波の始まりが重なるのではないかという懸念を持っています。

高齢者などへの次回の新型コロナワクチン接種は、5月に開始される見通しです。重症化予防のために重要なワクチンであるため、案内が届いたら接種をご検討ください。

(参考)

(1) インフルエンザに関する報道発表資料 2022/2023シーズン(URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou01/houdou_00010.html

呼吸器内科医

国立病院機構近畿中央呼吸器センターの呼吸器内科医。「お医者さん」になることが小さい頃からの夢でした。難しい言葉を使わず、できるだけ分かりやすく説明することをモットーとしています。2006年滋賀医科大学医学部医学科卒業。日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医・代議員、日本感染症学会感染症専門医・指導医・評議員、日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本結核・非結核性抗酸菌症学会結核・抗酸菌症認定医・指導医・代議員、インフェクションコントロールドクター。※発信内容は個人のものであり、所属施設とは無関係です。

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