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インドネシア「ポケモンGO」やっていて軍事施設に侵入のフランス人を拘留:不審者の言い訳にされる懸念

佐藤仁学術研究員・著述家
(Tatan Syuflana/AP)

世界中で「ポケモンGO」が大人気なのは周知のことだ。

「ポケモンGO」はユーザーが街でスマホのGPSとカメラを起動すると、カメラの画面に映った現実の世界にポケモンが現れる。屋外でスマホを見ながらゲームに熱中して、世界中で「歩きスマホ」の事故が多発している。

そしてスマホのゲームに熱中しているから周囲に気が付かないうちに、民家に不法侵入してのトラブルも後を絶たない。アメリカのフロリダ州では19歳と16歳の少年が夜中に「ポケモンGO」に熱中していて、泥棒と間違われて発砲される事件が発生した。少年らに怪我はなかったようだ。

インドネシアでは軍事施設にフランス人が侵入し拘束

インドネシアでは「ポケモンGO」に夢中になっていた27歳のフランス人Romain Pierre氏が、西ジャワ州チルボンの軍事施設に迷い込んでインドネシア警察に拘束された。この青年はジャカルタで働いていて、仕事でチルボンに来ている際にジョギングしながら「ポケモンGO」を楽しんでいたようで、気が付かないで立ち入り禁止の軍事施設に入り込んでしまったようだ。いわゆる軍事施設への不法侵入だ。

フランス人男性は見つかったところ逃げようとしたので拘束され、数時間取り調べを受けてから釈放された。現地警察の広報官Yusri Yunus氏は「明らかにゲームをして、間違って入って来ただけということがわかったので釈放した」とコメントしている。

「ポケモンGO」を口実にする不審者増加の懸念

警戒が厳重な軍事施設だけでなく民家でも勝手に立ち入ったら犯罪である。ましてインドネシアはISによるテロに対して厳戒な警備をしている。立ち入った瞬間に銃殺されなかっただけでも良かったかもしれない。

インドネシアの軍報道官Mokhamad Desy Ariyanto氏は市民に対して『不審者が「ポケモンGO」をやっているフリをして、それを口実に私有地に入り込んでくる事件が多発する恐れもあるので、くれぐれも気を付けるように」と呼び掛けている。インドネシアだけでなく、全世界で注意が必要だ。

そもそも不法侵入は犯罪だ。『「ポケモンGO」をやっていたので気が付きませんでした』というのは言い訳にはならない。世界的な「ポケモンGO」ブームだが、スマホの中のゲームにばかり夢中になっていて、世界中でこのような不法侵入が増加して、拘束されたり、発砲されたりするようなトラブルがこれからも増加するのだろうか。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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