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イーグルスが「ホテル・カリフォルニア」を提訴

栗原潔弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授
(写真:ロイター/アフロ)

名曲の商標権侵害とホテル提訴-米ロックバンドのイーグルス」というニュースがありました。

米人気ロックグループ「イーグルス」は2日までに、メキシコのホテルが..「ホテル・カリフォルニア」のモデルであるかのように営業しているのは商標権の侵害に当たるとして、ホテル側に賠償を求める訴訟を米カリフォルニア州の連邦地裁に起こした。

ということだそうです。日本ですと判決前の裁判関連情報はメディアか当事者からのリークに頼らざるを得ませんが、米国ではPACER(Public Access to Court Electronic Records)というシステムにより、ほぼすべての裁判情報(進行中のものも含む)がオープンデータとして公開されています。

この事件の裁判資料も「カリフォルニア地裁に5月に提訴」という条件で検索するとすぐみつかりました。原告はEagles, Ltd.、被告はHotel California Baja, LLCです。訴状をYahoo!ボックスにアップしました。

問題のホテル(旧名称:トドス・サントス・ホテル)は、メキシコのバハ・カリフォルニア半島にあるリゾート地ロスカボスから車で1時間強の町にあるホテルで、ロスカボスの観光情報の一部ではイーグルスのホテル・カリフォルニアのモデルになった(イーグルスのメンバーがこのホテルに滞在中に歌詞のヒントを得た)ホテルであるとされています(なお、レコードのジャケットになっているのはビバリーヒルズにある別のホテルです)。私もてっきりこのホテルがモデルだとばかり思っていたのですが、訴状によればそれはウソだそうです。

都市伝説で「モデルになったらしい」レベルの話ならまだよかったのでしょうが、2010年にこのホテルの新オーナーとなった人物が欲を出して「あのイーグルスのホテル・カリフォルニア」を前面に押し出し、HOTEL CALIFORNIAマーク付きの土産品Tシャツ等のグッズを売り出し、さらにはHOTEL CALIFORNIAを米国で商標登録出願するまでに至ったので、イーグルス側も黙認できなくなったということでしょう(なお、この商標登録出願に対してはイーグルス側が異議申立しています)。

訴状では衣類やアクセサリー等へのHOTEL CALIFORNIAマークの使用禁止、イーグルスと関係があるという虚偽広告の禁止、損害賠償などが請求されています。なお、ホテル自体の名称変更はメキシコで訴えないと難しいのではないかと思いますし、その場合でもこのホテルはメキシコのバハ・カリフォルニア半島に位置していますので、ホテル・カリフォルニアという名前を使うなというのは難しいかもしれません。

弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授

日本IBM ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事 『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 スタートアップ企業や個人発明家の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています お仕事のお問い合わせ・ご依頼は http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から 【お知らせ】YouTube「弁理士栗原潔の知財情報チャンネル」で知財の入門情報発信中です

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