今月の住宅ローン金利情報(2021年1月) 固定10年と全期間固定が一部下げ
2021年1月の住宅ローン金利は、固定10年と全期間固定(35年)が一部下げました。
*コラム内の住宅ローン金利は、一般団体信用生命保険(死亡・高度障害時)の保障コストを含む表示で統一しています。
■2020年1月の住宅ローン金利サマリー
今月の住宅ローン金利の全体的な傾向は、次の通りです。固定10年や全期間固定は一部が下がっています。
・変動金利は動きなし
・固定10年は一部下げ
・フラット35の最多金利が下げ
・全期間固定(35年)も一部下げ
今月はジャパンネット銀行の動きが気になりました。
また、先月も触れましたが、金利競争は次のフェーズに入っています。グループ内サービス利用による優遇が広がっています。金利やコスト、団信の内容、その他プラスアルファの優遇などを確認することも大事です。
■住宅ローンに関わる日銀の金融政策に変更なし
12月17、18日に行われた日銀の金融政策決定会合では、現状の大規模な金融緩和策を維持し、企業への資金繰り支援策の期限を2021年3月末から半年間延ばすことも決めました。住宅ローンに影響する「無担保コールレート(オーバーナイト物)」をマイナス0.1%、長期金利の指標になる10年国債の金利を0%程度(±0.2%)に誘導するイールドカーブコントロール(長短金利操作)も維持されています。
注:金融機関が独自に優遇金利を変更するなど、適用金利が変動する可能性はあります。
■長期金利の動きは?
参考まで、10年固定や全期間固定に影響する10年国債の月末時点の利回りの推移は下記の通りでした。
<10年国債の利回り(月末時点)>
R2.3.31 0.031
R2.4.30 -0.036
R2.5.29 0.009
R2.6.30 0.042
R2.7.31 0.018
R2.8.31 0.056
R2.9.30 0.027
R2.10.30 0.041
R2.11.30 0.034
R2.12.30 0.035
(財務省データより)
12月末は11月末と同程度でしたが、11月に下げなかった金融機関を中心に調整的な下げになったようです。フラット35については、金利が決まるのは前月中旬だと思われますが、12月中旬は0.012%(12月15日)などやや低めだったことから、下がったと考えられます。
■「新規で借りる」住宅ローン
ここからは、実際の商品の金利を見ていきます。以下は、2021年1月現在の金利タイプごとに金利が低い注目商品をピックアップしたものです。
実際には、金利だけでなく、総返済額や団体信用生命保険(団信)など付帯サービスで比較して、最終的に選択するようにしましょう。団信とは、契約者が万が一、死亡・高度障害になった時に、残債が保険で支払われる保障です。これに、就業不能時やがんなど特定疾病、自然災害時の特約などが付いている住宅ローンもあり、特約付きは無料と有料(金利上乗せまたは別途保険料)があります。
なお、ここでは金利のほか、保証料と事務手数料、無料で特別な団信がついている場合について併記しています。
まずは変動金利。ジャパンネット銀行が2019年7月末に参入以来、最低金利を維持し続けています。
<変動金利>
・ジャパンネット銀行「住宅ローン」0.380%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん先進医療給付金付き団信無料(51歳未満)
・Yahoo! JAPAN「ヤフーの住宅ローン」0.380%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*商品はジャパンネット銀行のもの。
・auじぶん銀行「住宅ローン全期間引下げプラン変動」0.410%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん50%保障+入院保障団信無料
・SBIマネープラザ「ミスター住宅ローンREAL<通期引下げプラン>」0.410%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*全疾病保障団信無料
続いて10年固定。数カ月間続く、auじぶん銀行とジャパンネット銀行の最低金利競争ですが、12月はジャパンネット銀行が最低金利に。
<10年固定>
・ジャパンネット銀行「住宅ローン固定10年」0.499%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん先進医療給付金付き団信無料(51歳未満)
・Yahoo! JAPAN「ヤフーの住宅ローン」0.499%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*商品はジャパンネット銀行のもの。
・auじぶん銀行「住宅ローン当初期間引下げプラン」0.530%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん50%保障団信無料
全期間固定(35年)は、一部が下げました。フラット35も最多金利で0.02%下げています。フラット35のうち、物件が所定の条件をクリアすれば、0.25%の金利優遇を10年間または5年間受けられるのが「フラット35S(Aプラン、Bプラン)」です。比較のために一般的な団信に加入した場合の金利表示で統一しています。
<全期間固定>(自己資金50%以上)
・ARUHI「ARUHIスーパーフラット5S【自己資金50%以上】」0.810%(保証型、団信0.280%含む。Aプランは10年、Bプランは5年経過後は1.06%)《保証料なし、事務手数料=借入額の2.20%》
<全期間固定>(自己資金40%以上)
・ARUHI「ARUHIスーパーフラット6S【自己資金40%以上】」0.840%(保証型、団信0.280%含む。Aプランは10年、Bプランは5年経過後は1.090%)《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》
<全期間固定>(自己資金20%以上)
・住信SBIネット銀行「フラット35S(保証型)【自己資金20%以上】」0.880%(Aプランは10年、Bプランは5年経過後は1.13%)《保証料なし、事務手数料=借入額の2.20%、団信無料》*全疾病保障団信無料
・ARUHI「ARUHIスーパーフラット8S【自己資金20%以上】」0.940%(保証型、団信0.280%含む。Aプランは10年、Bプランは5年経過後は1.190%)《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》
<全期間固定>(自己資金10%以上)
・住信SBIネット銀行「フラット35S(保証型)【自己資金10%以上】」0.940%(Aプランは10年、Bプランは5年経過後は1.190%)《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%、団信無料》*全疾病保障団信無料
・ARUHI「ARUHIスーパーフラット9S【自己資金10%以上】」0.990%(保証型、団信0.280%含む。Aプランは10年、Bプランは5年経過後は1.24%)《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》
【参照】フラット35の金利表示に注意!
■借り換えるときの住宅ローン
借り換えをする場合の住宅ローンの金利も見ておきましょう。
まず、変動金利ですが、新規借り入れ同様、ジャパンネット銀行が最低金利の地位を維持しています。
<変動金利>
・ジャパンネット銀行「住宅ローン(借り換え)」0.380%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん先進医療給付金付き団信無料
・Yahoo! JAPAN「ヤフーの住宅ローン」0.380%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*商品はジャパンネット銀行のもの。
・auじぶん銀行「住宅ローン全期間引下げプラン(借り換え)」0.410%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん50%保障+入院保障団信無料
・SBIマネープラザ「ミスター住宅ローンREAL(借り換え)<通期引下げプラン>」0.410%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*全疾病保障無料
続いて10年固定。数カ月続くauじぶん銀行とジャパンネット銀行の最低金利バトルでしたが、先月、並んだのち、1月はジャパンネット銀行が大きく下げて最低に。
<10年固定>
・ジャパンネット銀行「住宅ローン(借り換え)固定10年」0.499%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん先進医療給付金付き団信無料(51歳未満)
・Yahoo! JAPAN「ヤフーの住宅ローン(借り換え)固定10年」0.499%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*商品はジャパンネット銀行のもの。
・auじぶん銀行「住宅ローン当初期間引下げプラン(借り換え)固定10年」0.530%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん50%保障団信無料
借り換えで全期間固定を利用する際には、住宅ローンの残存期間によって選ぶべき住宅ローンは異なります。ちなみに、借換えで利用できるフラット35もありますが、新規のときのような一定期間の金利優遇(「フラット35S」)はありません。
<全期間固定>(例:残存31~35年)
・みずほ銀行「みずほネット借り換え住宅ローン(全期間固定プラン)」(21~35年)1.030~1.130%《保証料あり、電子契約手数料5,500円、固定金利手数料11,000円、保証事務手数料33,000円》
・常陽銀行「めぶき de かりかえ(ネット申込専用住宅ローン)全期間完全固定(~35年)」1.100%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん団信無料
<全期間固定>(例:残存26~30年)
・みずほ銀行「みずほネット借り換え住宅ローン(全期間固定プラン)」(26~30年)1.010~1.110%《保証料あり、電子契約手数料5,500円、固定金利手数料11,000円、保証事務手数料33,000円》
・常陽銀行「めぶき de かりかえ(ネット申込専用住宅ローン)全期間完全固定(~35年)」1.100%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん団信無料
<全期間固定>(例:残存21~25年)
・みずほ銀行「みずほネット借り換え住宅ローン(全期間固定プラン)」(21~35年)0.990~1.090%《保証料あり、電子契約手数料5,500円、固定金利手数料11,000円、保証事務手数料33,000円》
・常陽銀行「めぶき de かりかえ(ネット申込専用住宅ローン)全期間完全固定(~35年)」1.100%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん団信無料
・新生銀行「パワースマート住宅ローン(借り換え)全期間固定(21年~25年)」1.100%《保証料なし、事務手数料=55,000円》
<全期間固定>(例:残存16~20年)
・みずほ銀行「みずほネット借り換え住宅ローン(全期間固定プラン)」(16~20年)0.960~1.060%《保証料あり、電子契約手数料5,500円、固定金利手数料11,000円、保証事務手数料33,000円》
・常陽銀行「めぶき de かりかえ(ネット申込専用住宅ローン)全期間完全固定(~35年)」1.100%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん団信無料
・新生銀行「パワースマート住宅ローン(借り換え)全期間固定(21年~25年)」1.10%《保証料なし、事務手数料=55,000円》
借り換えの場合は、残っている期間と選ぶ金利タイプによって有利な商品が異なりますので、きちんと試算をして選択しましょう。
なお、借り換えは通常、現在借りている金融機関ではできないのですが、条件によっては同じ金融機関でより有利な金利の住宅ローンに借り換えることができる場合があります(要交渉)。
他の金融機関への借り換えだけでなく、今の金融機関での借り換え(条件変更)も候補として検討するといいでしょう。
■複数の商品で試算・比較を!
注目の住宅ローンとその金利を見てきましたが、紹介したのは金利面に重点を置いた商品です。金利だけでは住宅ローンを選ぶことはできません。最近は団信の保障内容も注目されるようになってきました。
また、金利を含む総返済額のほか、保証料や事務手数料、団体信用生命のコストも含めたトータルコストで比較することも重要。新規で借りる場合も、借り換えの場合も、複数を比較してより有利な商品を選ぶようにしましょう。
コロナ禍による家計への影響が、今後、本格化する可能性があります。住宅ローンの見直しをはじめ、思い切った家計見直しなど、できることはやっておきたいものですね。
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