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マスターズ首位発進のデシャンボーが握る新アイアンは3Dプリント製!? #ゴルフ

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:ロイター/アフロ)

マスターズ初日は、悪天候でスタートが遅れたため、全員がホールアウトできずに日没サスペンデッドとなったが、この日は、早々にリーダーボードの最上段に駆け上がり、通算7アンダー、65をマークして暫定単独首位となったブライソン・デシャンボーが人々の視線を引き付けた。

リブゴルフへ移籍したデシャンボーが、かつてのPGAツアー仲間の選手たちと同じ舞台に立ち、大勢のギャラリーの前でプレーするのは久しぶりのこと。

デシャンボーが打ち放ったドライバーショットは相変わらずの豪打だったが、この日はアイアンショットのキレも抜群だった。

そのアイアンは、3Dプリントの技術によって製造されたものであるとは、驚きである。

ラウンド後の会見で、デシャンボーは「今週は新しいアイアンを使っている」「とても心地よく打てている」とは語ったものの、その新アイアンが3Dによるものであることには言及しなかった。

しかし、米ゴルフウィーク誌によると、デシャンボーの長年のコーチ、マイク・シャイが、新アイアンの誕生秘話を明かしたという。

デシャンボーのアイアンといえば、すべてが同一レングスであることは、つとに有名である。PGAツアーでプレーしていたころのデシャンボーは、コブラ・プーマのアイアンを使っていたが、リブゴルフへ移籍後の昨年、同社の契約が終了。

その後は、自分に合うアイアンを探し続けていたという。

昨年11月のあるとき、研究家でも知られるコーチのシャイが、3Dプリントの技術を使ってアイアンを試作。興味津々でそのアイアンを試したデシャンボーはすぐに気に入り、それから2人は、実戦で使える3D製アイアンを作るための行動に移ったそうだ。

シャイは自分の弟子のような存在でゴルフクラブを製造しているアボダ社のオーナーに話を持ち掛けると、同社は二つ返事で動き出し、デシャンボー向けの同一レングスのアイアンセットと番手ごとに長さが変わる通常のセットの製造に成功したという。

コブラ・プーマ時代のデシャンボーのアイアンは7番アイアンの長さに合わせた37.25インチ。今回の新アイアンの長さは、シャイは明かさなかったとのことだが、同一レングスであることは認めているのだそうだ。

気になるのは、3D製のアイアンがルールに適合するのかどうかだが、シャイいわく、マスターズウィークが始まった「月曜日にUSGAがルール適合と認証された」とのことで、デシャンボーは迷わず、新アイアンをバッグに入れてオーガスタ・ナショナルを回り始めた。

「これは、アドベンチャーだ」と、コーチのシャイは言う。幼いころから、デシャンボーとシャイは、さまざまな練習器具を発明しては試し、そうやって2人は歩んできた。

デシャンボーとシャイ、2人の冒険は、マスターズ初制覇につながるのかどうか。とても楽しみである。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、長崎放送などでネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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