ファミリーレストランの客単価のアップ傾向続く。変わらないg、価格設定のサイゼリヤ
外食の中でもファミリーレストランはこの数年好調 客単価アップが牽引
売り上げ減少がひどい外食のなかで、唯一、ファミリーレストランが好調とされていた。
確かにこの3年、売り上げも前年比よりアップ、そして客数、客単価もアップされている。
しかしこの数字は、あくまで新店もふくめたものである。
嘗て、ファミリーレストランはOPの極端な簡素化から、精彩さを失い、97年度から売り上げをじわじわと下げた。長らく低迷から、不死鳥の如く返り咲いたのがロイヤルホストである。本来のファミリーレストランのあるべき姿、つまり店舗内調理への回帰したことで付加価値商品を生み出し、売り上げをアップさせ、その功績は大きい。
その後、多くのファミリーレストランは、客単価をぐいぐいと上げてしまい、それによって減少する客数をカバーし、表面上、何とか売り上げに結びついているのである。
最近のメニューを見ると、ちょっとやりすぎでは・・・と思えるほど価格が吊り上がっており、価格は天井まで上がってしまっている印象はぬぐえない。
事実、月次情報が公表されている企業で1店舗あたりの客数を算出したデーターを見ると、今年だけでも、結果、1社(サイゼリヤのみ)を除くと、客数が前年比より下がっているのである(フードビズ参照)。そして多くは、一昨年から減少をたどっている。
2015年の客数の前年比
ジョイフル 99.9%
ロイヤルホスト 95.3%
すかいらーく(グループ全体)99.8%
セブン&アイ・ホールディングス(デニーズ他)97.3%
ガスト99.8%
サイゼリヤ102.6%となる
客数が下がることは、人口減とはいえ、リピートされていないことを意味すると言われる。
この数字を見て、嘗て、オリジン弁当の創業者 故安沢会長が言われた言葉を思い出す。
「おいしさって、年齢、地域によって違うんだよ、一概においしさって言えねえんだよ。だから生まれてから死するまで,その商品を何回食べてくれるか、その回数、これがおいしさなんだよ、わかる?」
何度も読み返している、サイゼリヤの正垣会長の本を引用したい。
つまりいずれも客数の大切さを言われている。
そこでサイゼリヤの既存店の客数、並びに客単価、そして売り上げを見てみると、
他のファミリーレストランが前年比より客数ダウンするなか、客数がアップしており、方針にぶれがないのだ。
間違えて伝わるといけないと思いまして申し上げますと、客単価を上げても、それが商品にとって適正であれば、つまり客数が維持できていれば問題はないと思う。とはいえ、この適正ということが難しく、客数、客単価、いずれも上げるのは、至難の業です。
さて、私が「ちょっと上げすぎでは・・・」と思ったきっかけは、ハンバーグ試食してからだ。
ハンバーグ はファミリーレストランの定番、そこで・・・
実は、昨年,2015年、ハンバーグを中食、外食、主要な企業を試食、その数43食。
スーパー、コンビニ、ファミリーレストラン、そして弁当専門店の大手はおおよそ網羅した。
各社のg数、そして価格も調べた。
それ以前、2010年にも同様にハンバーグの調査をかけ、そこで2015年と価格を比較してみると、2015年、価格が大きくアップしたのが、ファミリーレストランであり、1000円以上の価格設定がごく当たり前のようにメニューに並んでいたのである。
そんななか、唯一、2010年、2015年、いずれにおいても価格399円(税込) g数 変化がなかったのがサイゼリヤ。
ハンバーグは、ファミリーレストランにとって、主力商品であり、単価を上げること、下げること、いずれにしても、よくよく考えないと顧客はいろいろなところで食べつくしている。
とはいえ、現状、ハンバーグの原料である肉は、年々、上昇しており、厳しい状況でもある。この5年で牛肉は約1・8倍近く値段が上昇し、豚肉は、牛肉までいかないまでも上昇している(財務省 貿易統計参照)。多くのファミリーレストランが値段をアップせざるを得なかったことは理解できる。そんななかサイゼリヤは、5年間、価格を維持し、原料を考えると、むしろ下げる方向に向かっている。これを可能させたのは、海外出店の好調が大きいと言われる。
さてこの時、セブン・イレブンの金のハンバーグも試食した。
厚さ3センチ。食べると肉汁がしたたり、288円(税込)。
これまでも各メーカー開発者は、このハンバーグを試食し、こぞって絶賛した。なかには「驚嘆」と言った開発者もいるほど。確かに試食して、まるで出来上がったばかりのハンバーグを口にするようで、「驚嘆」という言葉がぴったりという印象を受けた。
店舗内調理の外食とはいえ、この価格、商品力を無視するわけにいかない。改めて、ファミリーレストランのハンバーグ価格は果たして顧客に支持されるのかと危惧したのであった。
今、まさにファミリーレストランは正念場と言えるのでは・・・
そんな折、新たなるニュースが飛び込んた。
ファミリーレストランを返り咲かせた立役者が、次なる展開を始めている。
一見、サイゼリヤとは、違った路線のように見えるかもしれない。しかし良い商品をお客様にという想いは同じである。
外食産業は、これからますます厳しい状況となり、ファミリーレストランも同様である。
今後、ファミリーレストランは、違った形での展開、もしくは出店は抑え気味になるかもしれない。しかし、これからも顧客にとって、なくてはならない存在であり、日常のなか、ほっと一息つける、そんな場所であり続けてほしい。