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崎陽軒シウマイ弁当をクルーズ船に差し入れ:企業の社会的責任CSRと働きがい

碓井真史社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC
写真はイメージ:崎陽軒のシウマイ弁当(画像使用許可申請中)

■崎陽軒、シウマイ弁当4000個をクルーズ船の乗客乗員らに差し入れ

横浜名物の「シウマイ」で知られる崎陽軒が12日、新型コロナウイルスの集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」などに差し入れを行っていたことが分かった。~

「クルーズ船の中で不自由な生活を送っていらっしゃる乗客の方、感染拡大防止のために頑張っている乗員の方などを励ますために、何か協力できないかと社内で検討した上で、差し入れの実施を決めました」。

出典:崎陽軒、シウマイ弁当4000個をクルーズ船の乗客乗員らに差し入れ 2/12(水) 17:02スポーツ報知Y!

■やったね、グッジョブ、崎陽軒!

私、横浜と聞いて、思っていました。「崎陽軒(きようけん)のシウマイとか、食べたいと思っているんじゃないかな」って。

室外にも出られず、食事も単調になりがちな皆さんにとって、とてもありがたいことなのではないかと思います。ただの弁当ではなくて、「崎陽軒のシウマイ」というところが、特に。

災害被災地なども同様ですが、食事や栄養が全く足りないわけではないときには、何か変わったものや、イベント性のある楽しい食事の提供が好まれます。力士たちがやってきて、ちゃんこ鍋をふるまうような食事です。体の栄養に加えて、心の栄養になるからです。

横浜港での「崎陽軒のシウマイ」は、十分においしくて楽しい食事の提供です。

他の報道によれば、4000個の弁当には、現地の自衛隊向けの200個も含まれているそうで、これもグッジョブだと思います。

■企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)

企業は利益を追求します。そうでなければ、株主も怒るし、社員も困ります。しかし、利益を追求するだけが企業ではありません。

たとえば、株式会社 崎陽軒の経営理念は、次のとおりです。

  • 真に優れた「ローカルブランド」をめざします。
  • 常に挑戦し「名物名所」を創りつづけます。
  • 食をとおして「心」も満たすことをめざします。

単に売れれば良いのでありません。これは崎陽軒に限らず、多くの企業も、お客様の幸せとか、社会への貢献などをめざしています。

たとえばYahoo!Japanは、次のCSR(企業の社会的責任)をあげています。

情報技術社会の発展/災害・社会課題への支援/誰もが活躍できる社会の実現/持続可能な社会への挑戦

企業の社会的責任とは、企業の発展と共に、より良い社会づくりをめざす自発的な取り組みへの責任です。

どの企業も、直接の利益にはならないけれども、お客様のため、みんなのために、頑張っていることが、ありますよね。企業は、自分だけが儲かれば良いのではなく、そのような社会的責任があるのです。

企業が良いことをすると「売名」などと言う人がいますが、そんなことはありません。各企業が、自分たちにできる社会貢献をするのは当然のことです。

一つのグループが良いことをすれば、自分たちのグループもと思うでしょう。ある人たちを支援すれば、他の人たちのことも支援しようとも思うでしょう。こうして、支援の輪が広がります。

今回のクルーズ船でも、ヤクルトなど、他の企業からの差し入れも相次いでいるようです。

「どうせ売名行為」#あまちゃん:助け合いが「当たり前」になるように

■企業の社会的責任と社員のやりがい

個人にとっても、社会にとっても、お金は大切です。けれども、人は金のためだけに働いていたのでは、深い満足感は得られません。

心理学の研究によれば、たしかに劣悪な労働環境ではやる気は下がるのですが、どんどん給料が上がればやる気が出るものでもありません。

やりがい、生きがい、働きがい。人は働く意味を求めます。自分の給料のためだけではなく、価値のある仕事をしているのだと感じたいのです。

企業の社会的責任とは、悪いことをしないという消極的な意味だけではありません。利益の一部を寄付するということだけでもありません。

自分たちの企業には、社会的使命があって、この仕事で社会に貢献する責任があるということです(「やりがい搾取」などと揶揄されるような、社員をだますのも違います)。

どの企業も、みんな社会の役に立っているはずですが、さらに明確なビジョンが必要です。

Yahoo!Japanは、こんなビジョンを公開しています。

私たちは、信じています。

インターネットは便利な暮らしだけではなく、

新しい希望だってつくれるということを。

世界に残された孤独や、格差や、

紛争や、悲しみのすべてを

救うことだって夢じゃない。

こんなにおしゃれな言葉ではなくても、日本企業は昔から立派な企業理念を持ってきました。そして、今もう一度、企業の社会的責任が注目されています。各企業で、「CSR活動」も進められています。

崎陽軒では、CSRとして、工場見学や地域の様々な活動への参加を行っています。工場見学も、直接の利益にはならないでしょうが、子供の教育への協力になり、そして目を輝かして見学してくれる子供たちの存在は、社員のみなさんにとっても、うれしいことでしょう。

どの職場でも、毎日の仕事そのものが社会貢献なのですが、さらに意識して、自分たちのノウハウを活用した社会貢献活動がCSR活動です。

困難を抱えた様々な地域や人々のために、我が社にできることはないか。一人ひとりの社員にできることはないか。企業と社会が協力し合い、みんなのために頑張ろうという意識と行動です。

今回の崎陽軒のように、グッドアイデア、グッジョブには、拍手を送りたいと思います。企業のCSRは、人々を幸せにし、社員を幸せにし、結果として企業の持続可能な発展と社会全体の発展につながるでしょう。

働き方改革は、単なる時短だけの問題ではありません。「すばらしい仕事」を、もう一度取り戻すことなのだと思います。

社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

1959年東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。新潟市スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「めざまし8」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ホンマでっか!?TV」「チコちゃんに叱られる!」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』等。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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